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1章 セルティスと仲間たち

第8話 急所

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 セルティスとホークは四天王と聞いて、体を膠着させた。
 
四天王はセルティスとホークの大事な人の命を奪った人間型モンスターだ。

 モンスターの中でも特別な存在で最強とも言われている。

 最も四天王を作り出したのは人間だ。

 四天王を作り出し、人の命を奪った。

 そして、世界を滅ぼした。それでも、10年前に激闘の末、四天王を封じ込めることに成功した。

 四天王は凶暴だ。四天王を作り出した張本人でさえ殺してしまうのだから。

 その四天王が今、また復活をしようとしている。

 だから、最近、モンスターが増えて罪のない人たちの命を奪うようになった。

 セルティスは唇を噛んだ。

「四天王……」

 過去を思い出して拳を握り締める。
 レムはそんなセルティスの顔を面白そうに見ている。

 ホークはレムが面白そうにしていることが許せず、ダガーを2本まとめて投げた。

 レムはにっこりと笑ってダガーを腕で受け止めた。

「人間如きが俺に敵うはずない。そろそろ死ね」

 レムの冷めた声が洞窟に響いた。

 レムはマシンガンを撃ち、稲妻を落とした。

 稲妻は容赦なくセルティスとホークを突き刺していく。

 セルティスは片膝をついて、ホークの様子を窺う。

「大丈夫か?」

 セルティスはゆっくりと立ち上がるとレムの急所を探った。

 ホークは手で大丈夫と合図する。

「必ず、急所があるはず」

 ホークもレムの急所を探っている。

 レムは半ば呆れていた。

「勝てないってわかってて、まだ戦う気か?」


 レムはホークにパンチをしてノックダウンさせた。

 ホークは数分、そのままの状態だった。

 強烈なパンチだ。

 セルティスはラグナロクを横なぎにして、レムを斬っていく。

 炎がレムのお腹あたりを燃やす。

 レムは大きなダメージをくらって倒れたはずなのに、すぐ立ち上がる。

「人間はすぐ回復することができないから、辛いなぁ。もっと苦しめてやる」

 レムはそう言って雷を起こした。

 ホークとセルティスは雷をよけることは、できなかった。稲妻が直撃する。

 ホークとセルティスは地面に手をついてしばらく動けなかった。

 ホークはゆっくりと立ち上がると、ダガーを投げつけて、レムを攻撃した。

 しかし、レムはダガーをキャッチした。

 そのキャッチしたダガーを、投げ返してホークを狙う。

 ホークは投げ返されたダガーをよけた。

 ダガーは土を突き刺した。

 レムは大笑いしている。

「お前たち人間はどんどん体力がなくなっていく。それでも戦う気か?」

 セルティスは高くジャンプした。

 真上からラグナロクを、レムに振り下ろした。

 その時にレムを炎が包んだ。

 レムは頭が破壊されたが、すぐに元に戻る。

 セルティスは舌打ちした。

 どこかに急所があるはず。

 そこを狙えば倒せるとセルティスは思っているが、どこが急所なのかがわからない。

(頭でもない。急所は何処だ? 急所がわかれば回復もすぐにできないはず)

 セルティスは急所がどこなのか探している。しかし、なかなか見つからない。

(頭がダメなら、どこが急所なんだ。他には、心臓……?)

 セルティスはラグナロクで心臓を狙った。

 ところが、レムは心臓を隠すかのように腕でガードした。

 レムはマシンガンを放ち、セルティスの肩を的にした。

 セルティスは軽いステップで、マシンガンをかわした。

 しかし、完全にかわしきれなくて、肩を掠ってしまった。

 フーッと息を吐いたセルティスは、素早くレムの背後に回り、背中から心臓にかけてラグナロクで刺した。

 レムは雄叫びを上げた。

 大きな音を立てて、倒れる。

 レムは倒れたと同時に身体が破壊され、粉々になった。セルティスは安堵のため息をついた。

(心臓に急所があったか)

 もう一度、ため息をつくとホークのほうへ駆け寄った。

「大丈夫か?」

 セルティスが聞くと、ホークはニッと笑った。

「心配してくれるのか? 嬉しいな」

 セルティスはこれなら大丈夫と、ホークを無視した。
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