171 / 224
第2部 6幕
インターハイ2回戦ー白岡高校ー15
しおりを挟む
慧は、俺からパスを空中で受け取ると、そのまま、ボールをリングに叩きつけるアリウープを決めてみせた。結構、強めだったためか、ゴールが大きく揺れた。
「よし! ナイスだ、慧!」
貴が声を上げた。あまりダンクやアリウープをしない慧に驚いていた。貴はほとんど、慧のダンクやアリウープを見たことがない。
といっても、俺もあまり慧のダンクやアリウープは見たことがない。だから、正直、アリウープをやるとは思っていなかった。慧のことだから、レイアップシュート、ダブルクラッチだろうと勝手に考えていた。
慧のアリウープに驚いていたのは、俺や貴だけではない。ベンチで記録をとりながら、マネージャーの仕事をしている美香も目を見開いていた。
「凄いよ! 慧!!」
美香は興奮した様子で、ベンチから立ち上がって飛び跳ねていた。そして、慧に拍手を送った。
「さぁ、すぐ、ディフェンスだよ」
智樹は、興奮が冷めない俺や貴に冷静になれるように声をかけた。
そうだ、まだ、終わっていない。きちんと、阻止できるかが大事だ。俺は、頭をディフェンスに切り替えた。
下田が1対1の勝負を仕掛けようとしている。止まったままのドリブルから、急にスピードを出して走り、ドリブルも低く速くなった。
灯は下田にゴール下まで切り込んでいくドライブをさせないように、ピッタリとディフェンスにつく。
それでも、下田は突っ込んでいこうとしたが、ゴール下までは行くことはできないと悟り、急激に動きを止めた。
急激に動きを止められた灯は、止まることができずに勢いで、下田を通り越してしまった。
この瞬間がチャンス。下田はノーマークになり、ジャンプシュートをする。あまり得意ではないミドルシュート。スリーポイントラインより前、フリースローラインより後ろから打つシュートだ。
「しまった!」
灯は慌てて、下田のシュートをブロックしようと戻るが、既に遅し。ボールは、下田の手から離れていた。
シュッと音を立てて、そのボールはリングの中に入っていった。
「おぉ、ナイスだ」
三田はニヤリと笑って、下田の背中を叩いた。下田はミドルシュートが苦手なことを知っているのだろう。それだけに、入ったことが、とても嬉しかったらしい。
「まだまだ、ここから差をつけるぞ」
下田は、先ほど入れた、ミドルシュートのことは忘れて、すぐにディフェンスのことを考えているようだ。ミドルシュートが入っても、下田自身は喜ばなかった。
城伯高校のオフェンスだ。ボールを持っているのは、慧だ。慧はゴール下でのシュートといきたいが、川崎が塞いでいてシュートはできそうにない。そこで、慧は手で広がれと、俺に合図する。
俺は一度、スリーポイントラインまで広がった。慧からパスがくると読んで、いつでも受け取れるように構えた。
慧は、貴や灯のほうを見ている。ディフェンスを戸惑わせるためか。貴にパスを出すと見せかける。貴のほうに目を向け、川崎を誘導した。
フェイクが上手い。川崎も貴にパスを出すと思っている。慧はそこを狙って、俺にパスを出す。そのとき、俺がフリーになっていることも把握していて、目で合図をした。スリーポイントを打てと。
俺は慧からパスをもらうと、慧の言う通り、スリーポイントを放つ。ここで、アピールをしないと、試合ではこの先、出られなくなる可能性もある。また、高校を卒業した後もバスケを続ける気でいる。そのためには消極的にはなれない。外してもいいから、とにかくシュートのチャンスがあれば、打つ。
俺の頭の中に今後もバスケをすることを考えた瞬間、積極的にどんどんプレーしていこうという気持ちが生まれた。ここで、絶対に引かない。
俺の放ったスリーポイントの感覚は、少しズレていた。これは外すかもしれないと打った瞬間に感じた。
このスリーポイントの行方は……
「よし! ナイスだ、慧!」
貴が声を上げた。あまりダンクやアリウープをしない慧に驚いていた。貴はほとんど、慧のダンクやアリウープを見たことがない。
といっても、俺もあまり慧のダンクやアリウープは見たことがない。だから、正直、アリウープをやるとは思っていなかった。慧のことだから、レイアップシュート、ダブルクラッチだろうと勝手に考えていた。
慧のアリウープに驚いていたのは、俺や貴だけではない。ベンチで記録をとりながら、マネージャーの仕事をしている美香も目を見開いていた。
「凄いよ! 慧!!」
美香は興奮した様子で、ベンチから立ち上がって飛び跳ねていた。そして、慧に拍手を送った。
「さぁ、すぐ、ディフェンスだよ」
智樹は、興奮が冷めない俺や貴に冷静になれるように声をかけた。
そうだ、まだ、終わっていない。きちんと、阻止できるかが大事だ。俺は、頭をディフェンスに切り替えた。
下田が1対1の勝負を仕掛けようとしている。止まったままのドリブルから、急にスピードを出して走り、ドリブルも低く速くなった。
灯は下田にゴール下まで切り込んでいくドライブをさせないように、ピッタリとディフェンスにつく。
それでも、下田は突っ込んでいこうとしたが、ゴール下までは行くことはできないと悟り、急激に動きを止めた。
急激に動きを止められた灯は、止まることができずに勢いで、下田を通り越してしまった。
この瞬間がチャンス。下田はノーマークになり、ジャンプシュートをする。あまり得意ではないミドルシュート。スリーポイントラインより前、フリースローラインより後ろから打つシュートだ。
「しまった!」
灯は慌てて、下田のシュートをブロックしようと戻るが、既に遅し。ボールは、下田の手から離れていた。
シュッと音を立てて、そのボールはリングの中に入っていった。
「おぉ、ナイスだ」
三田はニヤリと笑って、下田の背中を叩いた。下田はミドルシュートが苦手なことを知っているのだろう。それだけに、入ったことが、とても嬉しかったらしい。
「まだまだ、ここから差をつけるぞ」
下田は、先ほど入れた、ミドルシュートのことは忘れて、すぐにディフェンスのことを考えているようだ。ミドルシュートが入っても、下田自身は喜ばなかった。
城伯高校のオフェンスだ。ボールを持っているのは、慧だ。慧はゴール下でのシュートといきたいが、川崎が塞いでいてシュートはできそうにない。そこで、慧は手で広がれと、俺に合図する。
俺は一度、スリーポイントラインまで広がった。慧からパスがくると読んで、いつでも受け取れるように構えた。
慧は、貴や灯のほうを見ている。ディフェンスを戸惑わせるためか。貴にパスを出すと見せかける。貴のほうに目を向け、川崎を誘導した。
フェイクが上手い。川崎も貴にパスを出すと思っている。慧はそこを狙って、俺にパスを出す。そのとき、俺がフリーになっていることも把握していて、目で合図をした。スリーポイントを打てと。
俺は慧からパスをもらうと、慧の言う通り、スリーポイントを放つ。ここで、アピールをしないと、試合ではこの先、出られなくなる可能性もある。また、高校を卒業した後もバスケを続ける気でいる。そのためには消極的にはなれない。外してもいいから、とにかくシュートのチャンスがあれば、打つ。
俺の頭の中に今後もバスケをすることを考えた瞬間、積極的にどんどんプレーしていこうという気持ちが生まれた。ここで、絶対に引かない。
俺の放ったスリーポイントの感覚は、少しズレていた。これは外すかもしれないと打った瞬間に感じた。
このスリーポイントの行方は……
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる