インターセプト

レイラ

文字の大きさ
上 下
168 / 224
第2部 6幕

インターハイ2回戦ー白岡高校ー12

しおりを挟む
 三田は残り10秒で、後ろへ下がりながらのシュートを強引に決めた。

 体勢も崩していて、体が完全に傾き、倒れそうになるくらいだった。

 それだけ、しつこく俺もディフェンスしていたから、三田は無理なシュートをせざるを得なかった。

 そのシュートが入ってしまうとは、誰も予想していなかった。

「感心している場合じゃないぞ!」

 冷静に声をかけたのは、慧だ。慧は手をパンパンと叩いて、気持ちを切り替えるようにアピールした。

 城伯高校のオフェンス。

 そうだった。感心している場合ではない。まずは1本取り返さないと。俺は、そう考えながら、周囲を見回す。

 スリーポイントを狙うか。

 三田の動きを見て、1対1を仕掛けるぞと見せかけて、スリーポイントを放つ。

 ズレた。シュートした瞬間、わかった。距離が短い。

 ボールは、俺が思った通り、リングに当たったものの跳ね返った。

 リバウンドを取ったのは、下田だ。

 下田はリバウンドを取った後、すぐに嶋田にパスを出す。

 嶋田はボールを受け取ると、豪快にダンクシュートを決めて見せる。

 あまりの勢いにゴールが揺れていた。

「よし、ナイシュー!」

 川崎が嶋田に声をかける。

「まだだ。城伯高校は徐々に差を詰めてくる。どんなに差があっても逆転される可能性が高い」

 嶋田はディフェンスの準備をしながら、慧を見ていた。

 城伯高校は再びオフェンス。

 智樹がドリブルをしながら、空いているところを確認する。

 貴がスクリーンをかけに来た。智樹をマークしている宮戸のほうに、貴が走ってきて、宮戸の壁になる。

 スクリーンによって宮戸は一時的に動けなくなる。

 智樹はそこ見逃さず、ドライブしていく。ゴール下までドリブルで切り込み、そのまま、ボールをリングに置いてくる。レイアップシュート。

 フワッとボールはリングの中を通過したと思ったけれど、川崎がシュートブロックをする。

 ブロックされたボールは、ラインを割った。

 オフェンスは城伯高校。もう一度、チャンスがやってきた。

 ボールを持っているのは、灯。

 灯はゴール下まで、ディフェンスを押し込みながら、ドリブルしていく。

 嶋田はシュートをさせないようにピッタリとくっつく。ファウルにならないように手は上げて。

 ゴール下までは来れたものの、灯はシュートまで行けそうにないと判断した。

 そのため、シュートができるように一歩下がり、くるっとターンした。

 嶋田が少し離れた。ここで、ジャンプシュートをする。

 このボールはリングに当たって落ちた。

 リバウンドを取ったのは慧だ。

 慧は、灯が入らなかった分をフォローしようと、ゴール下のジャンプシュートをした。

 ところが、慧のシュートも外れた。

 リバウンドを取ったのは、宮戸だ。

 2クォーターに入って、城伯高校はシュートが入らなくなっていた。気がついたら、5分も無得点。

 平常心だ。必ず、またチャンスはある。流れが変わるときがくる。

 俺は深呼吸をした。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

“5分”で読めるお仕置きストーリー

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:3,635pt お気に入り:61

Head or Tail ~Akashic Tennis Players~

SF / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:8

性的イジメ

BL / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:3

わたしの家の“変わったルール”

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:653pt お気に入り:42

回復力が低いからと追放された回復術師、規格外の回復能力を持っていた。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:12,390pt お気に入り:1,558

コート上の支配者

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:285pt お気に入り:6

天と地と空間と海

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:200pt お気に入り:1

処理中です...