インターセプト

レイラ

文字の大きさ
上 下
125 / 224
第2部 4幕

久しぶりのオフ3

しおりを挟む
 兄ちゃんがNBAでプレーすることが正式に決まった翌日、学校に来るとバスケ部のメンバーが祝福してくれた。

「兄ちゃん、とうとう、NBAに行くことになったんだな。おめでとう」

 真っ先に慧が声をかけてくれた。

「ありがとう」

 俺はお礼を言うと、貴や灯も兄ちゃんのNBA入りを祝う。

「やっぱり、NBAは夢だよなぁ。俺もNBAでプレーしてみたいな」

 貴はエアーでシュートして見せた。

「そうだなぁ、なかなか厳しい世界だとは思うけど」

 俺もNBAに行きたいと思っているが、今の段階では、全然、NBAでプレーすることがイメージできていない。また、今のプレーでは、NBAからも注目されない。本当に厳しい世界だと思っているから、本音が出た。

「あまりプレッシャーになるなよ。また、いろいろと言われるだろうからさ」

 灯は俺の肩を叩く。心配してくれているのか。

「そういえば、美香ちゃんとデートするんだって?」

 慧はガシッと肩を組んだ。

「えっ……? デートって……」

 何故か戸惑う俺。

「あれ……? 照れてるのか?」

 貴がニヤニヤしている。

「別に照れてねぇよ」

 俺は貴を睨みつけた。

 そんな会話をしながら、今日も1日過ごす。

 意外と1週間休みは長いな。早くバスケがしたい。

 俺は帰宅途中で、バスケットゴールのある公園で足を止めた。イメージをしながら、ゴールを見つめる。

 やっぱりやりたいなぁ。早く1週間経たないかなぁ。

「何、黄昏れてるの?」

 美香が俺の背後から背中を押しながらやってきた。

「おい、美香、何してんだよ」

 俺は振り返った。

「約束覚えてる?」

 美香はにっこりと笑う。

「約束?」

 俺は首を傾げる。

「もう、デートの約束だよ!」

 美香は腕を組んできた。

「あぁ、そうか」

 俺は美香に腕を組まれて、恥ずかしくなった。

「忘れてたな、これは」

 美香は俺の頬を小突いた。

「忘れてないって」

 美香の指が頬に触れただけで、俺はドキドキした。

「ってか、平気でくっついてくるけど、恥ずかしくないのか?」

 俺は喜んでいる美香を見て驚く。

「別に。それにしても……」

 美香はひと呼吸してから続ける。

「プレッシャーになってない? お兄さんがNBA入りして、また、比較され始めているからさ」

 俺は目を丸くした。

 美香も心配してくれていたのか。

「あぁ……まぁ、プレッシャーはないと言ったら噓になるけれど、俺は俺だからな。俺のプレーする」

 俺は美香に感謝した。

「ありがとう」

 俺の声は、ちょっと小さくなっていいたようで、美香には聞こえなかったようだ。

「えっ? なんて言ったの?」

 美香は聞き返してきたが、恥ずかしくなって俺は素直に言わなかった。

「なんでもねぇよ」

「じゃあ、約束忘れないでね」

 美香はそう言うと、手を振って去っていく。

「お……おう……」

 俺は美香に手を振り返す。

 なんで、こんなドキドキしてるんだ。俺は。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

“5分”で読めるお仕置きストーリー

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:3,550pt お気に入り:61

Head or Tail ~Akashic Tennis Players~

SF / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:8

性的イジメ

BL / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:3

わたしの家の“変わったルール”

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:482pt お気に入り:42

回復力が低いからと追放された回復術師、規格外の回復能力を持っていた。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:12,632pt お気に入り:1,557

コート上の支配者

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:292pt お気に入り:6

天と地と空間と海

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:200pt お気に入り:1

処理中です...