インターセプト

レイラ

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4幕

インターハイ予選10

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 俺は、ドリブルをしている河田からボールを奪う、スチールに成功して、ひとりでレインアップシュートまで持っていた。

 そのシュートは決まって、再びディフェンス。

 次は何をしてくるのか、河田の目から動きからじっくり観察する。観察するといっても、一瞬で見極めないといけないので難しい。

 河田はワンバウンドしただけでドリブルを止めて、越野へとパスを出した。

 俺は河田をマークしつつも、越野にも目を向け、見極めようとしていた。

 越野はすかさず、3ポイントシュートを打った。

 達也は越野にしっかりとついていた。でも、距離があって、越野に打たせやすい状況を作ってしまった。

 越野の放ったボールは、リングに当たって誰もが入るかと思う。

 コロン

 ボールは入るかと思いきや、入りそうだったのにリングに嫌われた。

「リバウンド、もらったぁぁ!」

 慧はすかさずジャンプをしてボールを取りに行く。同時に吉本もリバウンドをしようと手を伸ばす。

 ボールを奪ったのは慧だ。

 慧はすでに走っている貴にロングパスを出す。

 貴はボールを受け取ると、そのままジャンプシュートをしようとした。

「貴、気をつけろ! すでに来てるぞ!」

 灯が叫んでいる。

「こっちだ!」

 ボールをくれとアピールしたのは、達也だ。

 達也にはマークがまだいないし、3ポイントも打てる状況だ。

 貴、ここは達也にパスしても良いぞ。

 俺は貴に合図する。

 貴は合図を読み取ったか、達也にボールを渡した。

 達也がボールを持ったとき、越野が戻ってきていてマークにつこうとしていた。

 そのタイミングで、達也は、一歩、右足を踏み出し、また右足を戻してジャンプして3ポイントシュートを放った。

 そのボールは迷うことなくリングへと吸い込まれていった。

「さすが!」

 俺は達也の肩を叩いて喜んだ。

「よし、これからだ!」

 気がついたら、得点は65-68と逆転していた。

 徳丸高校は3クォーターになって、あまり得点がない。

 これはチャンスだ。

 城伯高校のディフェンス。

 宮田がドリブルで抜こうとしている。

 灯が宮田をマークし、進行を塞ぐと、達也も加わり、ダブルチームを作った。

 ダブルチームでのディフェンス成功。

 宮田はシュートもパスもできない状況。

 ドリブルで切り抜けようと考えたが、その時にブザーが鳴る。

「24秒バイオレーション!」

 24秒以内にシュートできなかった徳丸高校。

 再び、オフェンスは城伯高校に。

「よし、ゆっくり行こう! 慌てるな!」

 俺はボールを持つと、人差し指を立てて声を出した。

「樹、だんだんとゲームをコントロールできるようになってきた」

 美香はスコアノートを書きながら、キラキラさせた目で俺を見る。

「ん? なんだ? 美香……」

 俺は目を輝かせている美香にキョトンとしてしまった。

 なんで、そんな目で見ているんだ。俺、何かしたのか?

 ちなみに美香が書いているスコアノートには、誰がシュートを何本決めたか、ファウルは何個かリバウンドはいくつ取ったかなどを記録しておくノートだ。

 城伯高校も徳丸高校もファウルは少ない。

 ファウルをしてでも止めなくてはいけないこともあるけれど、それも少ないな。

 こっちとしては、ファウルを誘うようなプレイをしたいな。ファウルが積み重なって、チームファウルが5に達すると、ファウルをするたびにフリースローが貰える。

 チームファウル4までは、シュートモーションの時にファウルをすれば、フリースローだけど。

 3クォーターになってくると、このフリースローが大事になってくるんだ。ボクシングのボディーフローのように、ジワジワと得点が響いてくる。

 城伯高校のスローインでボールをコートに入れるとき、笛が鳴った。

 選手交代だ。

 城伯高校も徳丸高校も選手を入れ替える。

 城伯高校は、達也に代わり智樹、慧に代わり快が入る。

 徳丸高校は、全員選手を交代する。

 ポイントガード、安藤空あんどうそら。シューティングガード、入間卓いるまたく。スモールフォワード、安見敬一やすみけいいち。パワーフォワード、横野メルテス欄よこのめるてすらん。センター、澤本崇人さわもとたかと

 全員が2年生だ。

「よし、落ち着いていこう」

 自分に言い聞かせるためもあるけど、俺は仲間に声をかけた。

 ボールがコート内に入り、俺はボールを持つ。

 目と指で仲間に合図をすると、その意図を汲み取った仲間がそれぞれ動く。

 快がパスをくれとアピールすると同時に、灯はスリーポイントラインに開き、待っている。

 俺は灯にボールを渡す。

 灯はボールを受け取った瞬間に、快にパスをしていた。

 快についている澤本が灯のほうへつき、横野とダブルチームで来ると感じたために、来る前にボールを手放した。

 灯の考えが俺にも理解できる。

 快は、戻ってきた澤本のディフェンスを、スルッと躱して、ゴール下のジャンプシュートを放つ。

 ボールは見事にリングにスーッと入っていった。

「よしっ!」

 快は小さくガッツポーズをする。
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