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2幕
王者、福岡私立富滝高校との練習試合2
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強豪校の福岡私立富滝高校と練習試合をすると聞いて、恐怖感を覚えた俺。
ただ、富滝高校が強豪校だから怖いという理由だけではないことを察した、美香は俺に気を遣ってくれた。
「まだ、あのこと気にしているの?」
美香にあまり心配をかけたくなかった俺は、首を横に振って大丈夫と合図した。
美香はじっと俺を見ている。全然大丈夫じゃないじゃんっていう顔をしている。バレバレか。
「気にしてるかもな……あいつのこと」
俺は白状した。
富滝高校には武田大地という、俺と同じ、ポイントガードがいる。
中学の時から有望な選手で、バスケの関係者にも注目されるほど。
武田は俺と美香と同じ中学でバスケ仲間だった。
武田は俺の兄ちゃんを尊敬しているらしく、兄ちゃんみたいになるんだと、日々、練習していた。
武田は天才肌で、何でもすぐにできるタイプ。
俺はどんどん抜かされて、レギュラーをとることはできなかった。
一方で武田のほうは、どんどんレベルを上げていく。
武田は注目の的になっていたから、浮かれているのもあるのかもしれない。挫折したことがないのかと思うほどに。
俺は、武田には絶対に勝てる気がしないと感じた記憶が残っている。俺は、中学の時に始めたばかりだったし。
屈辱的だった。
その頃から、武田は頻繁に兄ちゃんと比較してくるようになった。
「おまえ、村野拓海の弟だろ? なのに、なんで、こんなに下手なんだ。全然。お兄ちゃんと違うんだな」
俺は、兄ちゃんといつも比較されてきて、バスケは大嫌いだった。でも、兄ちゃんとバスケをしているときは楽しかったし、結局、バスケがなかったら、俺には何もなかったから、中学でもバスケをやった。
だけど、やっぱり兄ちゃんとは比較されるわけで。そのうち、姉ちゃんもバスケで活躍するようになって、注目を浴びる存在。
俺は悔しくてバスケを辞めようと思った。俺がバスケやってたら、村野拓海の弟だ、村野香の弟だ。それなのに、兄や姉のようには上手くないとか、いろいろ言われて、ダメだというレッテルを貼られるから。
中学の時にそういうことがあったのを美香も知っている。美香も一緒にバスケをしていたから。
それでも、バスケを辞めなかったのは、美香がバスケをしようと言ってくれたからだ。
また、兄ちゃんも姉ちゃんも気にしないで、自分のバスケをすればいいと言ってくれたから、バスケを辞めないでいられた。
でも、流石にコーチにまで言われたら、バスケを続けようという気もなくなってしまう。高校でも高宮コーチが来るまでは、1年に暴力振るうわ、暴言吐く。俺に対しては、やっぱり兄ちゃんと姉ちゃんの弟のくせに……とけなしてきた。
本当に悔しい。だから、正直、弟のくせにと言ってきた奴らを見返してやりたい。だけど、強くなれない。自然と俺自身も、兄ちゃんや姉ちゃんと違うところはどこなのか、なんで、俺だけ強くなれないのか、凄く悩んだ。
そんなとき、高宮コーチがやってきて、比較する必要はないと言ってくれた。俺は俺なんだ。俺にできることをしよう。そう思えるようになってきた。
それでも、まだ、トラウマなのか、いざ、富滝高校と聞いて、武田のことを思い出し、怖くなってしまう。
「樹、大丈夫だよ。高宮コーチが言ってたじゃん。樹は樹。樹ができることをすればいい。勝手に言わせておけばいいんだよ」
美香が言った。
美香は俺の背中をバシッと叩く。
俺は思ったよりも強く叩かれて、背中に痛みを感じながら呟いた。
「あぁ、そうだよな」
俺は美香と一緒に帰る。
なんだか美香に励まされた。
「美香、ありがとな」
ただ、富滝高校が強豪校だから怖いという理由だけではないことを察した、美香は俺に気を遣ってくれた。
「まだ、あのこと気にしているの?」
美香にあまり心配をかけたくなかった俺は、首を横に振って大丈夫と合図した。
美香はじっと俺を見ている。全然大丈夫じゃないじゃんっていう顔をしている。バレバレか。
「気にしてるかもな……あいつのこと」
俺は白状した。
富滝高校には武田大地という、俺と同じ、ポイントガードがいる。
中学の時から有望な選手で、バスケの関係者にも注目されるほど。
武田は俺と美香と同じ中学でバスケ仲間だった。
武田は俺の兄ちゃんを尊敬しているらしく、兄ちゃんみたいになるんだと、日々、練習していた。
武田は天才肌で、何でもすぐにできるタイプ。
俺はどんどん抜かされて、レギュラーをとることはできなかった。
一方で武田のほうは、どんどんレベルを上げていく。
武田は注目の的になっていたから、浮かれているのもあるのかもしれない。挫折したことがないのかと思うほどに。
俺は、武田には絶対に勝てる気がしないと感じた記憶が残っている。俺は、中学の時に始めたばかりだったし。
屈辱的だった。
その頃から、武田は頻繁に兄ちゃんと比較してくるようになった。
「おまえ、村野拓海の弟だろ? なのに、なんで、こんなに下手なんだ。全然。お兄ちゃんと違うんだな」
俺は、兄ちゃんといつも比較されてきて、バスケは大嫌いだった。でも、兄ちゃんとバスケをしているときは楽しかったし、結局、バスケがなかったら、俺には何もなかったから、中学でもバスケをやった。
だけど、やっぱり兄ちゃんとは比較されるわけで。そのうち、姉ちゃんもバスケで活躍するようになって、注目を浴びる存在。
俺は悔しくてバスケを辞めようと思った。俺がバスケやってたら、村野拓海の弟だ、村野香の弟だ。それなのに、兄や姉のようには上手くないとか、いろいろ言われて、ダメだというレッテルを貼られるから。
中学の時にそういうことがあったのを美香も知っている。美香も一緒にバスケをしていたから。
それでも、バスケを辞めなかったのは、美香がバスケをしようと言ってくれたからだ。
また、兄ちゃんも姉ちゃんも気にしないで、自分のバスケをすればいいと言ってくれたから、バスケを辞めないでいられた。
でも、流石にコーチにまで言われたら、バスケを続けようという気もなくなってしまう。高校でも高宮コーチが来るまでは、1年に暴力振るうわ、暴言吐く。俺に対しては、やっぱり兄ちゃんと姉ちゃんの弟のくせに……とけなしてきた。
本当に悔しい。だから、正直、弟のくせにと言ってきた奴らを見返してやりたい。だけど、強くなれない。自然と俺自身も、兄ちゃんや姉ちゃんと違うところはどこなのか、なんで、俺だけ強くなれないのか、凄く悩んだ。
そんなとき、高宮コーチがやってきて、比較する必要はないと言ってくれた。俺は俺なんだ。俺にできることをしよう。そう思えるようになってきた。
それでも、まだ、トラウマなのか、いざ、富滝高校と聞いて、武田のことを思い出し、怖くなってしまう。
「樹、大丈夫だよ。高宮コーチが言ってたじゃん。樹は樹。樹ができることをすればいい。勝手に言わせておけばいいんだよ」
美香が言った。
美香は俺の背中をバシッと叩く。
俺は思ったよりも強く叩かれて、背中に痛みを感じながら呟いた。
「あぁ、そうだよな」
俺は美香と一緒に帰る。
なんだか美香に励まされた。
「美香、ありがとな」
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