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「新国王の即位だそうだ」
街で配られた号外を手にしたラリーが、その記事を読みながら優しそうに微笑んでいる姿を見て、リサは「あぁ、やっぱりね」って同じように笑った。
あれほど冷たいことを言いながらも、年の近い甥っ子の事が大好きなんだなと彼の顔を思い出した。
「お祝い…言いに行ってくる?」
リサの言葉にラリーは少し顔を赤くしながら「いや、行かない」とプイッとそっぽを向いた時、アレックスとレリアナがその号外をみて目をキラキラとさせていた。
「あっ!これ、ジークお兄ちゃんだよね?王様になったの?」
「そうよ。この国の新しい王様になったのよ」
「お父さん!おめでとうって言わなくっちゃね。いつ行くの?」
レリアナのその言葉に、さすがに行かないとも言い出せず、だからと言って、行くとも言えずに口を開けてなんと言おうか考えていた。その顔を見たリサは思わず…
「ふふふっ、ラリー、あなたの負けね。アル、アナ、じゃあ今日の夜にでも行ってこようか?」
「うん!行く!お父さんも一緒に行こうね」
満面の笑みを浮かべた二人の顔を見て、ラリーも軽く息を吐いて「そうだな…行くか」と笑った。
7年前のあの日からラリーは何度か王宮に、そしてリサ達は王都の屋敷に顔を出していた。そして王宮のあの部屋は、当時の国王でもあるラリーの兄の計らいでずっと空いたままで、いつでも使えるように整えられていた。
そしていきなり現れて驚かれないようにと、王宮内の魔法士たちが常駐する区画に転移で移動できる場所を用意していたのだが、実は新国王になったジークフリートには知らせていなかった。
そしてこの日の夜。
転移で王宮へ着いた四人は、新国王ジークフリートに贈り物を持ってやってきた。
もちろん、本人には先触れはないのだが、宰相はじめ他の側近はみんな知っていたので、内心、ジークフリートの反応が楽しみで仕方なかった。
ジークフリートは宰相から応接室に行くように言われ、誰か来る予定はあったかと考えながらも部屋の扉を開けて中へ入ると、彼の目にそこにいるはずのない人物が映り、その足が止まった。
「お…叔父上……どうしてここに?」
「アルとアナがお前にお祝いを言うというんでな。仕方なくだな…その…」
「ジークのお兄ちゃん。じゃなかった…国王様。即位おめでとうございます」
アルとアナが声を揃えてジークフリートにそう伝えると、ラリーの手を引っ張ってジークフリートの前に押し出した。
子供に心配されるとは親として情けないと感じたラリーは、子供たちの頭を撫でてから甥っ子の正面に立った。
「ジーク。即位おめでとう。色々と頑張ったな」
「叔父上…ありがとうございます…」
ラリーはジークフリートが一生懸命政務に取り組んでいることは兄から聞いていたし、新聞からも情報を仕入れていた。突き放しはしたものの、なんだかんだと甥っ子が可愛くて仕方ないのだ。
そしてジークフリートもまた、叔父に胸を張って会えるように頑張ってここまで来たのだ。その敬愛する叔父が目の前に現れ、その目は涙で潤み始めた。
「叔父上…話したいことがたくさんあります」
「ああ、ゆっくりと聞こうか」
リサは二人の姿を見て、アルとアナを連れてそっとその部屋を出た。
街で配られた号外を手にしたラリーが、その記事を読みながら優しそうに微笑んでいる姿を見て、リサは「あぁ、やっぱりね」って同じように笑った。
あれほど冷たいことを言いながらも、年の近い甥っ子の事が大好きなんだなと彼の顔を思い出した。
「お祝い…言いに行ってくる?」
リサの言葉にラリーは少し顔を赤くしながら「いや、行かない」とプイッとそっぽを向いた時、アレックスとレリアナがその号外をみて目をキラキラとさせていた。
「あっ!これ、ジークお兄ちゃんだよね?王様になったの?」
「そうよ。この国の新しい王様になったのよ」
「お父さん!おめでとうって言わなくっちゃね。いつ行くの?」
レリアナのその言葉に、さすがに行かないとも言い出せず、だからと言って、行くとも言えずに口を開けてなんと言おうか考えていた。その顔を見たリサは思わず…
「ふふふっ、ラリー、あなたの負けね。アル、アナ、じゃあ今日の夜にでも行ってこようか?」
「うん!行く!お父さんも一緒に行こうね」
満面の笑みを浮かべた二人の顔を見て、ラリーも軽く息を吐いて「そうだな…行くか」と笑った。
7年前のあの日からラリーは何度か王宮に、そしてリサ達は王都の屋敷に顔を出していた。そして王宮のあの部屋は、当時の国王でもあるラリーの兄の計らいでずっと空いたままで、いつでも使えるように整えられていた。
そしていきなり現れて驚かれないようにと、王宮内の魔法士たちが常駐する区画に転移で移動できる場所を用意していたのだが、実は新国王になったジークフリートには知らせていなかった。
そしてこの日の夜。
転移で王宮へ着いた四人は、新国王ジークフリートに贈り物を持ってやってきた。
もちろん、本人には先触れはないのだが、宰相はじめ他の側近はみんな知っていたので、内心、ジークフリートの反応が楽しみで仕方なかった。
ジークフリートは宰相から応接室に行くように言われ、誰か来る予定はあったかと考えながらも部屋の扉を開けて中へ入ると、彼の目にそこにいるはずのない人物が映り、その足が止まった。
「お…叔父上……どうしてここに?」
「アルとアナがお前にお祝いを言うというんでな。仕方なくだな…その…」
「ジークのお兄ちゃん。じゃなかった…国王様。即位おめでとうございます」
アルとアナが声を揃えてジークフリートにそう伝えると、ラリーの手を引っ張ってジークフリートの前に押し出した。
子供に心配されるとは親として情けないと感じたラリーは、子供たちの頭を撫でてから甥っ子の正面に立った。
「ジーク。即位おめでとう。色々と頑張ったな」
「叔父上…ありがとうございます…」
ラリーはジークフリートが一生懸命政務に取り組んでいることは兄から聞いていたし、新聞からも情報を仕入れていた。突き放しはしたものの、なんだかんだと甥っ子が可愛くて仕方ないのだ。
そしてジークフリートもまた、叔父に胸を張って会えるように頑張ってここまで来たのだ。その敬愛する叔父が目の前に現れ、その目は涙で潤み始めた。
「叔父上…話したいことがたくさんあります」
「ああ、ゆっくりと聞こうか」
リサは二人の姿を見て、アルとアナを連れてそっとその部屋を出た。
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