41 / 63
40 ラリー side
しおりを挟む
俺はランドルフ殿と別れ、彼に教えてもらったホルトンの町にすぐに向かった。
『だが後は自分で探せ。リサの家には結界が張られているからそうやすやすと辿り着けないと思うが、お前が心の奥底からリサを想うなら見つけられるはずだ。期限は一か月だ』
彼の言葉が頭の中で何度も繰り返される。期限がある。それが過ぎてしまえば二度と会うことは叶わなくなる。
自分の中にあるリサへ募る想いが今まで以上に燃え上がるのを感じた。
リサの能力は高いことはわかっている。
彼女が結界を張ったのであればそうやすやすと見つけられないだろう。
期間は一か月なのだから、のんびりしている暇はない。
ホルトンの町に着いてから、一通り町の中を探ってみたものの、なぜかここではないという気持ちが湧いてくる。
だが、見逃すわけにもいかないから、念のためにとくまなく町を回った。そして徐々に郊外へと足を延ばす。
ガレーヌの町でも郊外に住んでいたのだから、その可能性は高いだろう。
彼女は転移魔法も使えるのだから山の中でも住んでいる気がするが、ホルトンの山は違うような気がする。なぜだろう。だが今はその直感が正しいと感じる。
この日は町の南側を回ってみようと足を南へとむけた。
前日の東側では手がかりの一つも得られなかった。今日こそは何か見つかるとを期待して一生懸命探した。残された日は残り二週間ほどだ。
ポケットに入れているリサが残していった唯一の手紙を取り出し、口付けをした。ずっと持ち歩いてい、何度も見ているからか、その字はかすれ紙もボロボロになってきている。だが、彼女を感じることのできるのはこれだけだからと、肌身放さず持っていたのだ。
そして森の中へと伸びる小道が目に入り、なぜかそっちに足が向いた。
この道を進んでも家があるような感じはしないが、どういう訳か気になって仕方がない。
俺は何かに惹かれるようにその小道を歩き続けた。
両側に大きなクヌギの木が並び、奥にはモミの木も見える。どうやらこの森は人が入り込むような場所ではないらしい。
だが、ここだと魂が震えている様だ。
―――この先に、リサがいる。
確信ともいえるその気持ちに足取りは早くなった。
しばらく歩き続けると、少し身体に抵抗を感じた。違和感が少しあった程度だったが、その直後に目の前に一軒の屋敷が現れた。
そんなに大きくはないが、家族で住むには困らないほどの二階建ての屋敷だ。
そして俺は迷うことなく玄関のドアをノックした。
『だが後は自分で探せ。リサの家には結界が張られているからそうやすやすと辿り着けないと思うが、お前が心の奥底からリサを想うなら見つけられるはずだ。期限は一か月だ』
彼の言葉が頭の中で何度も繰り返される。期限がある。それが過ぎてしまえば二度と会うことは叶わなくなる。
自分の中にあるリサへ募る想いが今まで以上に燃え上がるのを感じた。
リサの能力は高いことはわかっている。
彼女が結界を張ったのであればそうやすやすと見つけられないだろう。
期間は一か月なのだから、のんびりしている暇はない。
ホルトンの町に着いてから、一通り町の中を探ってみたものの、なぜかここではないという気持ちが湧いてくる。
だが、見逃すわけにもいかないから、念のためにとくまなく町を回った。そして徐々に郊外へと足を延ばす。
ガレーヌの町でも郊外に住んでいたのだから、その可能性は高いだろう。
彼女は転移魔法も使えるのだから山の中でも住んでいる気がするが、ホルトンの山は違うような気がする。なぜだろう。だが今はその直感が正しいと感じる。
この日は町の南側を回ってみようと足を南へとむけた。
前日の東側では手がかりの一つも得られなかった。今日こそは何か見つかるとを期待して一生懸命探した。残された日は残り二週間ほどだ。
ポケットに入れているリサが残していった唯一の手紙を取り出し、口付けをした。ずっと持ち歩いてい、何度も見ているからか、その字はかすれ紙もボロボロになってきている。だが、彼女を感じることのできるのはこれだけだからと、肌身放さず持っていたのだ。
そして森の中へと伸びる小道が目に入り、なぜかそっちに足が向いた。
この道を進んでも家があるような感じはしないが、どういう訳か気になって仕方がない。
俺は何かに惹かれるようにその小道を歩き続けた。
両側に大きなクヌギの木が並び、奥にはモミの木も見える。どうやらこの森は人が入り込むような場所ではないらしい。
だが、ここだと魂が震えている様だ。
―――この先に、リサがいる。
確信ともいえるその気持ちに足取りは早くなった。
しばらく歩き続けると、少し身体に抵抗を感じた。違和感が少しあった程度だったが、その直後に目の前に一軒の屋敷が現れた。
そんなに大きくはないが、家族で住むには困らないほどの二階建ての屋敷だ。
そして俺は迷うことなく玄関のドアをノックした。
160
お気に入りに追加
397
あなたにおすすめの小説

【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】あなたのいない世界、うふふ。
やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。
しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。
とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。
===========
感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。
4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。

竜王の花嫁は番じゃない。
豆狸
恋愛
「……だから申し上げましたのに。私は貴方の番(つがい)などではないと。私はなんの衝動も感じていないと。私には……愛する婚約者がいるのだと……」
シンシアの瞳に涙はない。もう涸れ果ててしまっているのだ。
──番じゃないと叫んでも聞いてもらえなかった花嫁の話です。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

婚約者に選んでしまってごめんなさい。おかげさまで百年の恋も冷めましたので、お別れしましょう。
ふまさ
恋愛
「いや、それはいいのです。貴族の結婚に、愛など必要ないですから。問題は、僕が、エリカに対してなんの魅力も感じられないことなんです」
はじめて語られる婚約者の本音に、エリカの中にあるなにかが、音をたてて崩れていく。
「……僕は、エリカとの将来のために、正直に、自分の気持ちを晒しただけです……僕だって、エリカのことを愛したい。その気持ちはあるんです。でも、エリカは僕に甘えてばかりで……女性としての魅力が、なにもなくて」
──ああ。そんな風に思われていたのか。
エリカは胸中で、そっと呟いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる