【完結】SS級の冒険者の私は身分を隠してのんびり過ごします

稲垣桜

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 生まれた子は一人で育てると最初から考えていたと仲間に伝えると、呆れたような顔で一様に溜息を吐いた。


「おいおい、俺たちも一緒にだろ?」


 ランドルフはリサの頭をクシャッとしながら子供の顔を覗き込んだ。


「俺たちもアレックスの親になるさ。それなら寂しくないだろう?レイもセオもそう思っているからここにいるんだ。お前ひとりじゃない」

「ありがとう。ランディお兄ちゃん」

「ははっ、久しぶりだな?リサの兄ちゃん呼びは」

「セオもレイもありがとうね」

「気にするな。だがリサ…その子の目は隠した方がいい」


 アレックスの瞳の色は赤だ。

 この国で赤い瞳を持つのは王家の血を引く者で尚且つ直系に近いほどその色は濃く産まれてくる。そのことを中央の人間は知っていた。
 地方に行けば行くほど知っている人は少なくなるが、どこから見られているかわからないのだから注意するに越したことはない。


「俺がちゃちゃっと作ってやるよ。成長するまでは魔力を抑えるのも必要だろうしな」


 セオドアはアレックスの頭を撫でながら、そう言った。産まれる前からアレックスの魔力量は多いと感じていたが、実際に抱いてみると魔力量は相当なものだとわかって、昔、リサが使っていた魔道具を身に付けさせてとりあえずその場しのぎにはなるだろうと考えていたところでのセオドアからの申し出に、思い切り甘えることにした。


「じゃあ、リサの家と俺の家、空間を繋げておくからな。その方がランディもレイも行き来しやすいだろう?」


 そう言ってセオドアはリサの家と自分の家をドア一つくぐれば行き来できるよう、空間魔法陣を発動させた。どうやら、隣国の王宮図書館で知り合った魔導士の家に伝わる魔法書を見せてもらった際に書かれていたものらしい。
 ちゃっかり自分の物にしてしまうあたり、セオドアはしっかりしている。

 しかし、その魔導士には発動できなかったらしいので、彼の能力の高さが証明されたようなものだろう。


 その彼がアレックスの為にすぐに作り上げたのが、ピアスの形をした魔道具だった。

 右は魔力を抑え、左が髪と瞳の色を変えるもので、それぞれに紺色の石がはめられていた。どうみてもセオドアの色だが、自分が作ったとの主張が込められているのが見え見えだ。だが、彼が言うには「守護石にもなる石を選んだ」とのことだ。

 それなら素直にと受け取ってアレックスに身に着けた。


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