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深夜、参加者を装い奴隷オークションに参加した。
ラリーと共に仮面を付けて夫婦を装い、目を付けていた建物の地下を通って会場へ入り、オークションの開始時間を待った。
オークション会場は広く、その参加者も50名を超えている様だ。服装や仕草からそれらの人達は貴族だろうと推察できた。
そして彼らの目は虚ろで、ステージ上に並べられた彼らをモノとしかみていないことがわかる。
「ラリー……そろそろよね」
「ああ。もうすぐ踏み込む。元締めの方に向かうとしようか」
示し合わせ、一旦会場を出て周囲から見つからないように主催者がいる部屋へと向かう。
調べ上げた結果、奴隷商の元締めはイワンと呼ばれるこの辺りの裏組織でも有名な犯罪者で、その上に君臨していたのがレックスデール伯爵だと判明した。
彼のいる部屋の前で会場に騎士団が踏み込んだだろう喧騒を耳にして、目の前のドアを開けた。
「こんばんは。伯爵」
「君は誰だね。追い出せ!」
ドアの側で控えていた護衛騎士にそう声を張り上げるが、すぐに制圧される。
そして今この館で起こっていることを告げると、伯爵は顔面蒼白になって目が泳いでいるようだ。
「ここでの騎士団への命令の権限は俺が持っている。もう逃げられないぞレックスデール伯爵」
「お前は…誰だ!」
「俺か?ラリー・ブレイクとだけ名乗っておくさ」
後ろから入ってきた騎士団に伯爵の捕縛とこの屋敷の捜索を命令し、二人はその部屋を出た。
そしてその直後、背後から「私は絶対に捕まらない」と捨て台詞のような声が聞こえたと思ったら、騎士が慌ただしく動くのがわかった。
「ちっ、隠し通路か」
どうやら万が一の事も考えて、屋敷内からどこかへ脱出できるようにいくつもの通路が作られているらしく、伯爵が逃げたその扉は硬く閉ざされびくともしなかった。
騎士団が無理やりドアを壊し内部へと侵入したものの、枝分かれしている通路が多く伯爵の行方が掴めなかった。
リサも確認したものの通路内の音の反響が大きく、目当ての音を探している間に伯爵は通路から外へと出たようで、その行方はわからなかった。
「ダメね、もう外に出たみたい」
「すまないリサ。最後の最後で…」
取り逃がしてしまったことを謝ってくれているのだろうが、ここまで追い詰めたのだから見つかるのは時間の問題だろう。
「落ち込むなんてラリーらしくないわ。それに、これだけの騎士がいる中でそう長く潜伏できないはずよ。すぐに捕まるわよ」
ラリーの背中に気合いの平手打ちをパンとして、彼に気合いを入れる。
リサは前回も思ったが、ラリーの立ち位置はどうなのか気になっていた。
上層部に指示を出せることもありかなり上位の役職だと思うが、国政に明るくないリサからすると該当する人物が誰なのか見当もつかない。
それに、最初から調査だということでの依頼だったのだから、調査の関連部署のお偉いさんなのかもと考えた。
「後は任せたぞ」とその場の責任者であろう騎士に声をかけて屋敷を後にした。もう深夜もとうに過ぎ、空が白み始めている時間帯だ。
会場にいた参加者も一斉に捕らえられ、奴隷として捕らえられていた人達は教会へ一旦保護された。そしてそこで健康面のチェックを終えた後、それぞれの国へと戻る手続きが行われるらしい。
行先のない人に関しては、押収された金品や捕らえられた貴族たちからの罰金などから費用を出すことになり、住む場所と就労先の手配をすることになっていた。
リサが保護して逃がした人にも慰謝料という名目でお金が届けられることになっているようで、ほっと胸をなでおろした。
ラリーと共に仮面を付けて夫婦を装い、目を付けていた建物の地下を通って会場へ入り、オークションの開始時間を待った。
オークション会場は広く、その参加者も50名を超えている様だ。服装や仕草からそれらの人達は貴族だろうと推察できた。
そして彼らの目は虚ろで、ステージ上に並べられた彼らをモノとしかみていないことがわかる。
「ラリー……そろそろよね」
「ああ。もうすぐ踏み込む。元締めの方に向かうとしようか」
示し合わせ、一旦会場を出て周囲から見つからないように主催者がいる部屋へと向かう。
調べ上げた結果、奴隷商の元締めはイワンと呼ばれるこの辺りの裏組織でも有名な犯罪者で、その上に君臨していたのがレックスデール伯爵だと判明した。
彼のいる部屋の前で会場に騎士団が踏み込んだだろう喧騒を耳にして、目の前のドアを開けた。
「こんばんは。伯爵」
「君は誰だね。追い出せ!」
ドアの側で控えていた護衛騎士にそう声を張り上げるが、すぐに制圧される。
そして今この館で起こっていることを告げると、伯爵は顔面蒼白になって目が泳いでいるようだ。
「ここでの騎士団への命令の権限は俺が持っている。もう逃げられないぞレックスデール伯爵」
「お前は…誰だ!」
「俺か?ラリー・ブレイクとだけ名乗っておくさ」
後ろから入ってきた騎士団に伯爵の捕縛とこの屋敷の捜索を命令し、二人はその部屋を出た。
そしてその直後、背後から「私は絶対に捕まらない」と捨て台詞のような声が聞こえたと思ったら、騎士が慌ただしく動くのがわかった。
「ちっ、隠し通路か」
どうやら万が一の事も考えて、屋敷内からどこかへ脱出できるようにいくつもの通路が作られているらしく、伯爵が逃げたその扉は硬く閉ざされびくともしなかった。
騎士団が無理やりドアを壊し内部へと侵入したものの、枝分かれしている通路が多く伯爵の行方が掴めなかった。
リサも確認したものの通路内の音の反響が大きく、目当ての音を探している間に伯爵は通路から外へと出たようで、その行方はわからなかった。
「ダメね、もう外に出たみたい」
「すまないリサ。最後の最後で…」
取り逃がしてしまったことを謝ってくれているのだろうが、ここまで追い詰めたのだから見つかるのは時間の問題だろう。
「落ち込むなんてラリーらしくないわ。それに、これだけの騎士がいる中でそう長く潜伏できないはずよ。すぐに捕まるわよ」
ラリーの背中に気合いの平手打ちをパンとして、彼に気合いを入れる。
リサは前回も思ったが、ラリーの立ち位置はどうなのか気になっていた。
上層部に指示を出せることもありかなり上位の役職だと思うが、国政に明るくないリサからすると該当する人物が誰なのか見当もつかない。
それに、最初から調査だということでの依頼だったのだから、調査の関連部署のお偉いさんなのかもと考えた。
「後は任せたぞ」とその場の責任者であろう騎士に声をかけて屋敷を後にした。もう深夜もとうに過ぎ、空が白み始めている時間帯だ。
会場にいた参加者も一斉に捕らえられ、奴隷として捕らえられていた人達は教会へ一旦保護された。そしてそこで健康面のチェックを終えた後、それぞれの国へと戻る手続きが行われるらしい。
行先のない人に関しては、押収された金品や捕らえられた貴族たちからの罰金などから費用を出すことになり、住む場所と就労先の手配をすることになっていた。
リサが保護して逃がした人にも慰謝料という名目でお金が届けられることになっているようで、ほっと胸をなでおろした。
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