【完結】SS級の冒険者の私は身分を隠してのんびり過ごします

稲垣桜

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 リサは渋々ながら頷いた。三日間の間に被害者が出ないことで納得したようだったが、不機嫌なことには変わりなかった。

 しっかり食べないことには計画も上手く運べないだろうとラリーは取って付けた言い訳のようなセリフを吐いた。


「ほら、しっかりと食べておけよ。そうしないと動けないだろう?」

「もう、ちゃんと食べるわ」


 目の前に並んでいるのは、この州の名物料理でもあるジャガイモを使ったパイだった。そのパイを中心にサラダや鶏肉のロースト、ワインが並んでいる。

 ジャガイモのパイは、ひき肉と潰したジャガイモを層にしてこんがりと焼いたもので、意外と腹持ちがよさそうだ。
 鶏肉のローストも皮がパリパリで美味しくて、注がれたワインは香りが良くてついついお代わりをしてしまう。


「ねえ、ラリー」

「なんだリサ?」

「ごめんね。気を遣わせちゃったわね」

「何言ってるんだ。可愛い妻の機嫌を取るのも夫の役目だろ?」


 そう言いながらワインを注いでくれた。食事をするために宿の外の食堂にいるから、夫婦を装うのはわかっているが、そんなに優しい笑顔を向けるのは反則だとリサは思った。

 そして彼の耳環にチラッと視線を向けて、ラリーの素顔はどんな顔をしているのだろうかと考えてしまう。


「優しい旦那様。ありがとう」


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