【完結】SS級の冒険者の私は身分を隠してのんびり過ごします

稲垣桜

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 次の目的地でもあるオーンジェ州までは馬車で3日の距離だったが、今回は道中に変わったこともなく、すんなりと端っこの街クローグへ辿り着いた。

 ここで一泊し、明日には州都でもありクラークソン侯爵の治めるソディアルに到着することになる。


 
 ラリーからの話では、このオーンジェ州は隣国に面していて、国内へ輸入される品々と国外への輸出品の検閲や申請書と品物の確認から禁制品の取り締まりを行っている。
 だが、どうやら禁制品をこっそりと国内へと持ち込むことを、賄賂をもらって容認していると密告があったらしい。

 その方法は少量であれば箱を二重底にして運び込んでいたらしいが、ここ最近はその事実を知った侯爵を抱き込み、買収した仲間の検閲官に見なかったふりをさせて大量の荷物を持ち込んでいるという情報が入ったのだ。

 だが品物を押さえても、首謀者へたどり着く証拠がなくてはクラークソン侯爵をとらえることはできない。

 
「禁制品ね……、その侯爵ってよっぽどお金が好きなのね」

「はははっ、リサにかかればお金で片付くのか」

「だって、ほかに理由がある?欲しいものがあって密輸してるよりお金が入るから密輸しているんでしょ?」

「まあ、そうだな。禁制品がその後何処でどうなるかなんて考えてないだろうな」

「麻薬もあるんでしょ?許せないわね」

「ああ、王都では貧困者から広がって、今では貴族でも使っている奴がいる。まあ、その貴族は見せしめみたいに騎士団が捕まえているらしいけどな」


 少し呆れたような苦い表情を浮かべてそう言い放ったラリーだったが、麻薬の密輸を阻止したいことがよく分かった。


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