191 / 213
第九章
181 春の舞踏会2
しおりを挟む
会場では侯爵家までの招待客は全て入場済みで、これから六大公爵家の入場が始まる。
ウィルバート家は黒。ウェルダネス家は青紫。ラファーガ家は緑をベースにその服装を合わせている。
そしてこの三家が入場しただけで会場がざわめいた。
ここ数年の舞踏会では、六代公爵家の令息令嬢に注目が集まっていることもあり、そのざわめきは仕方がないとしか言えない。
それもそのはず、公爵家の嫡子のすべてがまだ独身で、婚約者の公表もないのだから縁を繋ぎたいと思う貴族からすると、格好の婚活の場なのだ。
そして今年は、深層の令嬢として長い間 噂になっていたクロスローズ公爵令嬢が初めて顔を見せるのだから、更に期待が高まる。
続くこと、グレイシア家はオレンジ。デフュール家は赤。クロスローズ家は白がベースになっている。それぞれの魔力の色を取り入れているのだが、あくまでもベースであり、細かい規定があるわけではない。
「ベイリー・リュカ・クロスローズ公爵、グレース公爵夫人、令息アルトゥール殿、令息ジェラルド殿、息女クラウディア嬢、ご入場です。
案内の声と共にクロスローズの面々が入場すると同時に、会場の声はどよめきに変わった。そしてクラウディアに視線が集まるのがわかった。
長い間、噂となっていた深窓の令嬢が初めてこの場に姿を現したのだ。そして、その少女の姿が想像していた以上に美しく、その場に居合わせた人々はそろって目を奪われていた。
顔立ちは社交界の華と呼ばれたグレース公爵夫人の若い頃を彷彿とさせるが、それをはるかに上回るほどの美しさだった。そして、全員が入場を終えた後、次は王家のメンバーの入場だ。
「とても美しいご令嬢ですわね。若い頃のグレース様によく似ていらっしゃいますわ」
「しかし、公爵家なのに魔力が少ないとか……それはどうかと」
「そうですわね……筆頭のご令嬢ですのに、あまりにもお粗末ですわねぇ」
「あの美しさだけでも価値はあるのでは?」
「まあ、それはお飾り…ということでしょうか?」
会場のあちらこちらからそんな話声が聞こえてくる。本人たちの耳には届かないものの、気分の良いものではない。しかし、それが社交界という場でもあった。
「エストレージャ王国、プロスペール・リリー・エストレージャ陛下、セシリア王妃、レイナルド王太子殿下、お出ましでございます」
高い壇上に据えられた椅子に王家の面々が座り、舞踏会が始まった。
最初に国王として新年を迎えた喜びを表し、グラスを掲げる。
公爵家から順番に挨拶をはじめ、最後には前年の功労者や叙勲、褒章対象者を順に迎えることになっている。
「皆、今年も無事に新しい年を迎えられたこと嬉しく思う。今日、我が弟は隣国に出向いておるので、この場には参加できなく残念に思っている。弟も同じ気持ちだろう。では、新しい年に…」
そう言って手に持ったグラスを掲げた。
「ベイリー、今年は娘が初めての参加だな。紹介はしてくれないのか?」
「陛下。そのように急かさないでいただきたい。クラウディア、挨拶を」
ベイリーは後ろに控えていたクラウディアを呼び、自身の横へ立たせた。クラウディアの顔には緊張しているのか少し強張っている様なそんな風に見える。
「クラウディア・リュカ・クロスローズです。今年よりこの場に参加し、王家の皆様にお会いできましたこと、大変嬉しく思います」
クラウディアはとても綺麗なカーテシーを披露し、それを見ていた周囲の貴族からは感嘆の息が漏れる。
「そなたがクラウディアか。いつもベイリーから話は聞いておる。とても聡明だそうだな」
「勿体ないお言葉です。陛下」
「クラウディア、あとで、レイナルドと踊ってはくれぬか?」
「私が王太子殿下とですか?」
「クラウディア嬢、私からもお願いしよう。後で私の相手をしてくれると嬉しい」
「かしこまりました」
「陛下、娘は初めてなのです。そう緊張させないでいただきたい」
ベイリーは国王に対し苦情を言いつつ、挨拶を終えた。そしてダンスの時間が始まった。
最初は王族という事もあり、国王陛下と王妃、レイナルド王太子殿下の相手にはルシエンテス侯爵家のブリジットが選ばれていた。
婚約者のいない王太子の相手は、政治的なことも考え年齢的に見合う令嬢が順に務めることになっていたのだ。正直言ってその方が揉めたり噂になることはないのだからメリットしかないらしい。
王族のダンスが終わり、次の曲が流れて二曲目が始まった。
会場のホールの中央には、夫婦や婚約者同士で踊りはじめる姿が見られ、そのホールの端のテーブルには食事も用意されており、立食形式だが色とりどりに飾られた見事な食事も並んでいる。
この日、初めてのダンスをアルトゥールと踊ることになっていたクラウディアは、兄の手を取りホールへと進んだ。
兄の姿はとても人目を引き、まさに王子様のような容貌なのだから仕方がないのだが、クラウディアの姿もまたとても人目を引いている。二人が並ぶことで、そこには近づきがたい雰囲気が漂い、ただただ憧れの視線を向ける事しかできない。まさに、物語に出てくる美男美女の二人だ。
「クラウ、緊張しているのか?」
「そうですわ。こんなに人目がある場所など初めてです。その前で踊るなど、心臓が止まりそうです」
そう話しながらも、とても美しい完璧なダンスを披露し二人とも満足この上ない表情を浮かべている。
「クラウのデビューの相手が私で嬉しいよ」
「ずっと昔からお兄様に相手をしてもらうつもりでしたわ」
微笑と共にその言葉を返すと、とても喜んだようで優しく腕を組んでみんなの居る場所へとさりげなくエスコートし、最後まで離すつもりはないようだった。
そして続けてジェラルドが進み出て、クラウディアの手を取る。アルトゥールもジェラルドに目配せをしながら何かを伝えるようにジッと視線を向ける。
「クラウ。俺とも一曲、踊ってくれないか?」
「ふふっ、ジェラルドお兄様。そんな風におっしゃらなくても踊りますわ」
「このまま最後まで離したくないくらい、綺麗だよ」
「まあ、おりがとうございます」
ジェラルドはこの日の為に苦手なダンスの練習を欠かさなかったのだ。
何でも熟すアルトゥールに負けないよう、必死に練習を続けた甲斐があったのか、周囲から感嘆の声が上がるのを耳にして、少し緊張がほぐれ笑顔が零れた。
ジェラルドとのダンスが終わりベイリーの元へと戻ると、そこには他家の公爵家当主の姿もあった。
テオドールがジークフリートと一緒にベイリーといるのが見え、前日同様、この日もその正装姿に見惚れてしまう。いつもは高く結いあげる長い髪も正装の時は下で結んでいるようで、いつもとは違う雰囲気が新鮮で心臓はドキドキと速く打っていた。
「クラウディア嬢、よろしければ一曲、ご一緒しませんか?」
テオドールのその言葉にベイリーが微笑みながら頷くので、クラウディアもまた「はい」と返事をした。テオドールから差し出された手を取ると、周囲がざわざわし始める。
「まあ、あの噂は本当だったのね」
「テオドール様がクロスローズ公爵令嬢にアプローチをなさっている話でしょう?」
「見てください。テオドール様のあのお顔。とても嬉しそうですわね」
周囲からそうな声がクラウディアの耳にも入ってきた。噂があるとはロスから聞いていたが、こう直接聞くのは初めてだったのだ。
「ディア、今日は注目を浴びているな」
「そうかしら?自分の事でいっぱいいっぱいなのに、周りを見ている余裕なんてないのよね」
「ははっ、お前らしいな。ディアは今まで表に出なかっただろう?みんなお前に興味があるんだよ」
「そうなの?私からしたら、令嬢達のテオやニックに向けてる視線の方がすごいなぁって思うけど」
「まあ、ニックは踊ることはないし、俺も知り合いとだけしか踊らないからな」
「そうなの?」
「俺やシモンは付き合い上、何度かは踊るが、ニックは…今まで一度も踊ったことがないからな」
「一度も?」
「ああ、春の舞踏会に参加し始めた9年前からずっとだぞ。ある意味凄い奴だろ」
その後、シモンにも声を掛けられ、兄との楽しいひと時を過ごした。
クラウディアにとって、シモンは優しく頼りになる兄でもあり、憧れの存在でもあったので、アルトゥール同様、見守られている感じが心地良かった。
「シモンお兄様と、こうして踊るとは思いもしませんでしたわ」
「どうしてだい?私の可愛い天使のデビュタントなんだよ。一緒に踊って祝いたいんだ」
「ありがとうございます。お兄様」
ふふふっと笑いながら、シモンの笑顔を見ながら色々なことを話した。
今まで色々なことを教えてもらったクラウディアにとっての先生でもあり、そして兄でもあるのだから緊張することはないが、周囲の令嬢はそう感じていない様だった。
ウィルバート家は黒。ウェルダネス家は青紫。ラファーガ家は緑をベースにその服装を合わせている。
そしてこの三家が入場しただけで会場がざわめいた。
ここ数年の舞踏会では、六代公爵家の令息令嬢に注目が集まっていることもあり、そのざわめきは仕方がないとしか言えない。
それもそのはず、公爵家の嫡子のすべてがまだ独身で、婚約者の公表もないのだから縁を繋ぎたいと思う貴族からすると、格好の婚活の場なのだ。
そして今年は、深層の令嬢として長い間 噂になっていたクロスローズ公爵令嬢が初めて顔を見せるのだから、更に期待が高まる。
続くこと、グレイシア家はオレンジ。デフュール家は赤。クロスローズ家は白がベースになっている。それぞれの魔力の色を取り入れているのだが、あくまでもベースであり、細かい規定があるわけではない。
「ベイリー・リュカ・クロスローズ公爵、グレース公爵夫人、令息アルトゥール殿、令息ジェラルド殿、息女クラウディア嬢、ご入場です。
案内の声と共にクロスローズの面々が入場すると同時に、会場の声はどよめきに変わった。そしてクラウディアに視線が集まるのがわかった。
長い間、噂となっていた深窓の令嬢が初めてこの場に姿を現したのだ。そして、その少女の姿が想像していた以上に美しく、その場に居合わせた人々はそろって目を奪われていた。
顔立ちは社交界の華と呼ばれたグレース公爵夫人の若い頃を彷彿とさせるが、それをはるかに上回るほどの美しさだった。そして、全員が入場を終えた後、次は王家のメンバーの入場だ。
「とても美しいご令嬢ですわね。若い頃のグレース様によく似ていらっしゃいますわ」
「しかし、公爵家なのに魔力が少ないとか……それはどうかと」
「そうですわね……筆頭のご令嬢ですのに、あまりにもお粗末ですわねぇ」
「あの美しさだけでも価値はあるのでは?」
「まあ、それはお飾り…ということでしょうか?」
会場のあちらこちらからそんな話声が聞こえてくる。本人たちの耳には届かないものの、気分の良いものではない。しかし、それが社交界という場でもあった。
「エストレージャ王国、プロスペール・リリー・エストレージャ陛下、セシリア王妃、レイナルド王太子殿下、お出ましでございます」
高い壇上に据えられた椅子に王家の面々が座り、舞踏会が始まった。
最初に国王として新年を迎えた喜びを表し、グラスを掲げる。
公爵家から順番に挨拶をはじめ、最後には前年の功労者や叙勲、褒章対象者を順に迎えることになっている。
「皆、今年も無事に新しい年を迎えられたこと嬉しく思う。今日、我が弟は隣国に出向いておるので、この場には参加できなく残念に思っている。弟も同じ気持ちだろう。では、新しい年に…」
そう言って手に持ったグラスを掲げた。
「ベイリー、今年は娘が初めての参加だな。紹介はしてくれないのか?」
「陛下。そのように急かさないでいただきたい。クラウディア、挨拶を」
ベイリーは後ろに控えていたクラウディアを呼び、自身の横へ立たせた。クラウディアの顔には緊張しているのか少し強張っている様なそんな風に見える。
「クラウディア・リュカ・クロスローズです。今年よりこの場に参加し、王家の皆様にお会いできましたこと、大変嬉しく思います」
クラウディアはとても綺麗なカーテシーを披露し、それを見ていた周囲の貴族からは感嘆の息が漏れる。
「そなたがクラウディアか。いつもベイリーから話は聞いておる。とても聡明だそうだな」
「勿体ないお言葉です。陛下」
「クラウディア、あとで、レイナルドと踊ってはくれぬか?」
「私が王太子殿下とですか?」
「クラウディア嬢、私からもお願いしよう。後で私の相手をしてくれると嬉しい」
「かしこまりました」
「陛下、娘は初めてなのです。そう緊張させないでいただきたい」
ベイリーは国王に対し苦情を言いつつ、挨拶を終えた。そしてダンスの時間が始まった。
最初は王族という事もあり、国王陛下と王妃、レイナルド王太子殿下の相手にはルシエンテス侯爵家のブリジットが選ばれていた。
婚約者のいない王太子の相手は、政治的なことも考え年齢的に見合う令嬢が順に務めることになっていたのだ。正直言ってその方が揉めたり噂になることはないのだからメリットしかないらしい。
王族のダンスが終わり、次の曲が流れて二曲目が始まった。
会場のホールの中央には、夫婦や婚約者同士で踊りはじめる姿が見られ、そのホールの端のテーブルには食事も用意されており、立食形式だが色とりどりに飾られた見事な食事も並んでいる。
この日、初めてのダンスをアルトゥールと踊ることになっていたクラウディアは、兄の手を取りホールへと進んだ。
兄の姿はとても人目を引き、まさに王子様のような容貌なのだから仕方がないのだが、クラウディアの姿もまたとても人目を引いている。二人が並ぶことで、そこには近づきがたい雰囲気が漂い、ただただ憧れの視線を向ける事しかできない。まさに、物語に出てくる美男美女の二人だ。
「クラウ、緊張しているのか?」
「そうですわ。こんなに人目がある場所など初めてです。その前で踊るなど、心臓が止まりそうです」
そう話しながらも、とても美しい完璧なダンスを披露し二人とも満足この上ない表情を浮かべている。
「クラウのデビューの相手が私で嬉しいよ」
「ずっと昔からお兄様に相手をしてもらうつもりでしたわ」
微笑と共にその言葉を返すと、とても喜んだようで優しく腕を組んでみんなの居る場所へとさりげなくエスコートし、最後まで離すつもりはないようだった。
そして続けてジェラルドが進み出て、クラウディアの手を取る。アルトゥールもジェラルドに目配せをしながら何かを伝えるようにジッと視線を向ける。
「クラウ。俺とも一曲、踊ってくれないか?」
「ふふっ、ジェラルドお兄様。そんな風におっしゃらなくても踊りますわ」
「このまま最後まで離したくないくらい、綺麗だよ」
「まあ、おりがとうございます」
ジェラルドはこの日の為に苦手なダンスの練習を欠かさなかったのだ。
何でも熟すアルトゥールに負けないよう、必死に練習を続けた甲斐があったのか、周囲から感嘆の声が上がるのを耳にして、少し緊張がほぐれ笑顔が零れた。
ジェラルドとのダンスが終わりベイリーの元へと戻ると、そこには他家の公爵家当主の姿もあった。
テオドールがジークフリートと一緒にベイリーといるのが見え、前日同様、この日もその正装姿に見惚れてしまう。いつもは高く結いあげる長い髪も正装の時は下で結んでいるようで、いつもとは違う雰囲気が新鮮で心臓はドキドキと速く打っていた。
「クラウディア嬢、よろしければ一曲、ご一緒しませんか?」
テオドールのその言葉にベイリーが微笑みながら頷くので、クラウディアもまた「はい」と返事をした。テオドールから差し出された手を取ると、周囲がざわざわし始める。
「まあ、あの噂は本当だったのね」
「テオドール様がクロスローズ公爵令嬢にアプローチをなさっている話でしょう?」
「見てください。テオドール様のあのお顔。とても嬉しそうですわね」
周囲からそうな声がクラウディアの耳にも入ってきた。噂があるとはロスから聞いていたが、こう直接聞くのは初めてだったのだ。
「ディア、今日は注目を浴びているな」
「そうかしら?自分の事でいっぱいいっぱいなのに、周りを見ている余裕なんてないのよね」
「ははっ、お前らしいな。ディアは今まで表に出なかっただろう?みんなお前に興味があるんだよ」
「そうなの?私からしたら、令嬢達のテオやニックに向けてる視線の方がすごいなぁって思うけど」
「まあ、ニックは踊ることはないし、俺も知り合いとだけしか踊らないからな」
「そうなの?」
「俺やシモンは付き合い上、何度かは踊るが、ニックは…今まで一度も踊ったことがないからな」
「一度も?」
「ああ、春の舞踏会に参加し始めた9年前からずっとだぞ。ある意味凄い奴だろ」
その後、シモンにも声を掛けられ、兄との楽しいひと時を過ごした。
クラウディアにとって、シモンは優しく頼りになる兄でもあり、憧れの存在でもあったので、アルトゥール同様、見守られている感じが心地良かった。
「シモンお兄様と、こうして踊るとは思いもしませんでしたわ」
「どうしてだい?私の可愛い天使のデビュタントなんだよ。一緒に踊って祝いたいんだ」
「ありがとうございます。お兄様」
ふふふっと笑いながら、シモンの笑顔を見ながら色々なことを話した。
今まで色々なことを教えてもらったクラウディアにとっての先生でもあり、そして兄でもあるのだから緊張することはないが、周囲の令嬢はそう感じていない様だった。
13
お気に入りに追加
266
あなたにおすすめの小説

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

「君の作った料理は愛情がこもってない」と言われたのでもう何も作りません
今川幸乃
恋愛
貧乏貴族の娘、エレンは幼いころから自分で家事をして育ったため、料理が得意だった。
そのため婚約者のウィルにも手づから料理を作るのだが、彼は「おいしいけど心が籠ってない」と言い、挙句妹のシエラが作った料理を「おいしい」と好んで食べている。
それでも我慢してウィルの好みの料理を作ろうとするエレンだったがある日「料理どころか君からも愛情を感じない」と言われてしまい、もう彼の気を惹こうとするのをやめることを決意する。
ウィルはそれでもシエラがいるからと気にしなかったが、やがてシエラの料理作りをもエレンが手伝っていたからこそうまくいっていたということが分かってしまう。
悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?
ぽんぽこ狸
恋愛
仕事帰りのある日、居眠り運転をしていたトラックにはねられて死んでしまった主人公。次に目を覚ますとなにやら暗くジメジメした場所で、自分に仕えているというヴィンスという男の子と二人きり。
彼から話を聞いているうちに、なぜかその話に既視感を覚えて、確認すると昔読んだことのある児童向けの小説『ララの魔法書!』の世界だった。
その中でも悪役令嬢である、クラリスにどうやら成り代わってしまったらしい。
混乱しつつも話をきていくとすでに原作はクラリスが幽閉されることによって終結しているようで愕然としているさなか、クラリスを見限り原作の主人公であるララとくっついた王子ローレンスが、訪ねてきて━━━━?!
原作のさらに奥深くで動いていた思惑、魔法玉(まほうぎょく)の謎、そして原作の男主人公だった完璧な王子様の本性。そのどれもに翻弄されながら、なんとか生きる一手を見出す、学園ファンタジー!
ローレンスの性格が割とやばめですが、それ以外にもダークな要素強めな主人公と恋愛?をする、キャラが二人ほど、登場します。世界観が殺伐としているので重い描写も多いです。読者さまが色々な意味でドキドキしてくれるような作品を目指して頑張りますので、よろしくお願いいたします。
完結しました!最後の一章分は遂行していた分がたまっていたのと、話が込み合っているので一気に二十万文字ぐらい上げました。きちんと納得できる結末にできたと思います。ありがとうございました。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

【完結】100日後に処刑されるイグワーナ(悪役令嬢)は抜け毛スキルで無双する
みねバイヤーン
恋愛
せっかく悪役令嬢に転生したのに、もう断罪イベント終わって、牢屋にぶち込まれてるんですけどー。これは100日後に処刑されるイグワーナが、抜け毛操りスキルを使って無双し、自分を陥れた第一王子と聖女の妹をざまぁする、そんな物語。

(完結)王家の血筋の令嬢は路上で孤児のように倒れる
青空一夏
恋愛
父親が亡くなってから実の母と妹に虐げられてきた主人公。冬の雪が舞い落ちる日に、仕事を探してこいと言われて当てもなく歩き回るうちに路上に倒れてしまう。そこから、はじめる意外な展開。
ハッピーエンド。ショートショートなので、あまり入り組んでいない設定です。ご都合主義。
Hotランキング21位(10/28 60,362pt 12:18時点)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる