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第八章

147 罠を仕掛ける

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「ロウファッジのところの倅はいるな。コレールを付かせよう。そしてには頑張ってもらわねばな」

「そうですね。必要なものも用意済みですからご心配なく」


 学園長室のなかで、アーモア侯爵とアーテル伯爵の二人の声が静かに響いていた。



「ロウファッジの息子のフレデリックですが、親の一件でリオネルを恨んでいる様です」

「あいつは私欲に走りすぎたせいで事が露見したんだからな。所謂、自業自得だが倅はそう思わんのだろう」


 あの人身売買の摘発の件で、騎士団から逃れたロウファッジは、未だに身を隠したままなのだ。もちろん、ただの貴族が姿を隠すことはたやすいことではないが、の人間であれば、それも容易いことだ。
 手を貸すの者も多いのだから。ただ、ロウファッジにとっては己が一番大事なのであって、妻や子供はその対象にはなっていない。薄情と言えばそれまでだが、所詮は悪人と呼ばれる側の人間なのだから、それも普通の事なのかもしれない。


はどうだ?」

「近くまで来ております。当日までにいくつかのは成長しているでしょう。もちろん対応する石も抜かりなく」

「流石だな。そこまで準備が出来ていれば、コレールも失敗することはないだろう」

「コレール子爵は、少々ですから、全て任せるよりはお膳立てをしてやった方が最後までやり遂げるでしょう」


 アーテルが部屋の奥にある棚の奥から箱を取り出し机の上に置き、その蓋を開けた。その中には魔道具があり、中央に何かをはめ込むような台座がある。


「コレを作る者も扱える者も少なくなったな」

「アーモア侯爵、私が知り合いに作らせましょう。まだ日は十分あります」


 ニヤッと笑いを浮かべて、二人は顔を見合わせた。
 そしてカトゥリエの森で行われる野外実戦講習の場での留学生魔物をどうするか、どう配置するのかを話し始めた。


「フレデリックはリオネルを狙いたいだろう。そのような班分けをするつもりですが、いかがでしょう」

「それはいい。一人ずつ、潰していくとしよう」


 この日は遅くまで笑い声が響いていた。






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