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第八章
146 野外演習の説明会
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発表された日の夕方、空き教室にリストに名前の挙がった全員が集まり、グループごとに配られた詳細に目を通していた。
壇上にはリオネルの兄で、デフュール公爵家嫡子のニコラスが立っている。
リオネルよりも鮮やかな赤髪で、より大人の雰囲気を纏っている人物だ。その後ろには、リーダーを任された数人も揃いの騎士服に身を包んで並んでいる。
「聞いていると思うが、最近、国内の各地で魔物の出没が報告されている。例年にない報告数だ。そのため、この先、更にその数が増えるものと予想される。そこで、学生の中から成績優秀者を選出し、実戦野外講習を行うこととなった」
その言葉にすこしザワザワとしたが、そのまま話は続いた。
「野外講習を行う場所は、王都より西へ進んだところのカトゥリエの森周辺だ。そこでは現在、Eランクを中心に目撃が相次いでいるが、ほとんどがD~Fと報告がある。その程度であれば、君たちには余裕で討伐できるだろう。あくまでも現場の空気を知ることが目的だ。私達も一緒に行くので必要以上の心配はない」
壁に掛けられた地図を指しながら、行程の説明を始め、最後にメンバーの紹介があった。
「グループAは、私、ニコラス・ファロ・デフュールが担当する。よろしく頼む」
そして次に、透明感のある緑色の髪を後ろで束ねた、優しい笑顔を浮かべた青年が一歩前に出て話し始めた。
「グループBは、私、シモン・ヴィン・ラファーガと彼、テオドール・エーレ・ウィルバートが担当する。よろしく」
「グループCは、私、ルーファス・フォン・ルシエンテスが担当する。よろしく頼むよ」
そう言ってほほ笑む姿は、とても討伐に参加するような風体には見えなかったが、おそらくアルトゥールと同じ部類の人間だと思われた。
そしてその後、グループ毎に挨拶と詳細な説明がなされた。
その詳細は、出発の日時と持ち物、そしてさらに詳細な地図でのルートの確認だった。
出発すると、魔物の遭遇率にもよるが一週間は帰ってこられないだろう。しかし、それも仕方のないことだと諦めるしかない。参加者の多くはそう思っていた。
壇上にはリオネルの兄で、デフュール公爵家嫡子のニコラスが立っている。
リオネルよりも鮮やかな赤髪で、より大人の雰囲気を纏っている人物だ。その後ろには、リーダーを任された数人も揃いの騎士服に身を包んで並んでいる。
「聞いていると思うが、最近、国内の各地で魔物の出没が報告されている。例年にない報告数だ。そのため、この先、更にその数が増えるものと予想される。そこで、学生の中から成績優秀者を選出し、実戦野外講習を行うこととなった」
その言葉にすこしザワザワとしたが、そのまま話は続いた。
「野外講習を行う場所は、王都より西へ進んだところのカトゥリエの森周辺だ。そこでは現在、Eランクを中心に目撃が相次いでいるが、ほとんどがD~Fと報告がある。その程度であれば、君たちには余裕で討伐できるだろう。あくまでも現場の空気を知ることが目的だ。私達も一緒に行くので必要以上の心配はない」
壁に掛けられた地図を指しながら、行程の説明を始め、最後にメンバーの紹介があった。
「グループAは、私、ニコラス・ファロ・デフュールが担当する。よろしく頼む」
そして次に、透明感のある緑色の髪を後ろで束ねた、優しい笑顔を浮かべた青年が一歩前に出て話し始めた。
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そう言ってほほ笑む姿は、とても討伐に参加するような風体には見えなかったが、おそらくアルトゥールと同じ部類の人間だと思われた。
そしてその後、グループ毎に挨拶と詳細な説明がなされた。
その詳細は、出発の日時と持ち物、そしてさらに詳細な地図でのルートの確認だった。
出発すると、魔物の遭遇率にもよるが一週間は帰ってこられないだろう。しかし、それも仕方のないことだと諦めるしかない。参加者の多くはそう思っていた。
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