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第八章

141 二人で飲みに

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 夜になってから、テオドールは昼間にコルビーと会った店へと向かった。
 あの店は夜になるとお酒を出す店になり、昼間とは全く違う雰囲気の店へと変わる。


 カウンターで店主と話をしているコルビーの姿を見つけ、テオドールは隣に座った。


「お、テオ、来たか」

「コルビー、お前、よくも邪魔したな」

「仕方ないだろう?俺だってクラウディアの友人なんだから、いいじゃないか」

「お前、彼女の正体は知っているんだろう?」

「最初から知っているさ。俺には高嶺の花もいいところだからな。お前はどうなんだ?」

「もう三年くらい前からの付き合いだが、正体を知ったのはほんの数か月前だ」


 ウィルバートに来た時にはディアーナとして出会ったこと、クラウディアとして交流があったことなどを話した。


「お前…、ディアーナが好きなのか?クラウディアが好きなのか?」

「ディアーナに好感は持っていたさ。妹以外で気負うことなく話せる、唯一の存在だったからな」

「お前の言ってることはわかるさ。俺が知ってるクラウディアは、多分、お前の言うディアーナだな。確かに彼女なら、お前が惹かれるのもわかるさ。だが、お前、自分でも遅かったと気付いているんだろう?」

「……正直言うとな。だが、遅くても、引けないことはあるだろう?」

「まあな…だが、彼女は一筋縄じゃいかないところがあるからな。…頑張れよ」


 話を聞きながら、グラスを傾けた。

 コルビーもテオドールが優しすぎると思っていたが、まさかここまで優しいとは思わなかった。それだけ本気なのだろうと思うが、なんともアドバイスも出来なくてただ頷いて聞くことしかできなかった。

 彼女が言った『色々と複雑なのよ』という言葉と、あの赤いピアスには深い意味があるのだろうと思ったがその事をテオドールに言う事は気が引けた。


 ―――はぁ、こいつは本当に不器用だな。





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