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第八章
133 二人の間で
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食事が終わったからさっさと着替えてしまおうと立ち上がると、部屋まで送るとテオドールがさりげなく声をかけてきたので、クラウディアはその言葉に甘えた。
やはり、こんなドレスを着ているとどうも落ち着かないので、着替えるに限ると食べながら思っていたのだ。
三人に「着替えてくる」と告げて部屋を出たのだが、クラウディアの部屋はそう離れた場所ではなかったので、あっという間に部屋にたどり着いた。
そして扉を開けて「ありがとう」と言って中へ入ろうとすると「少しいいか?」とテオドールに言われて、なにも思わずにクラウディアは頷いた。
「なあ、ディア?さっきの約束、覚えてるか?」
テオドールがクラウディアに意味あり気な視線を送っている。クラウディアも一瞬考えたが、すぐに『町へ行く』という話をしたことを思い出した。
「町へ行くっていうアレでしょ?覚えてるわよ。私が負けたんだもん、テオの言うこと聞かなきゃね」
そう言うと、テオドールはクラウディアのドレス姿をまたまじまじと見て、うっとりとした表情を浮かべた。
「ディア、そのドレス、とても似合ってる。本当に綺麗だ」
面と向かってそう言われて、クラウディアは思わず赤面した。
いつもそんなことを言わないテオドールが臆面もなく言うので、正直その返答に困ってしまったのだ。
確かに正体がばれる前は、クラウディアに対してもこんな直球で話すこともないし、ディアーナに至っては、ドレス姿を見せることは過去に1度だけだったのでこんな風に言われたことはない。
「もう、お世辞はいいわよ。サラもこんなの準備するから…恥ずかしいのよ。もう着替えるから…」
そう言ってテオドールの背中を押して部屋から出そうとする仕草をすると、手を取られた。
「……愛してる」
そう言ってテオドールはクラウディアの唇を塞いだ。
逃がさないというように頭と腰に手を回されてしっかりと抱き止められたことと、その突然の行動に動くことはできなかった。
背中に感じるテオドールの手のぬくもりが鼓動をさらに早くして、その突然の出来事に頭が真っ白になった。
「ん……」
クラウディアの口から出るのは、もう甘い吐息くらいで言葉は出ない。
「クラウディア、愛している…」
いつもと違う甘く優しい声で何度もささやかれ、苦しいほどの口付けが何度も交わされる。
「…ん……テオ…やめ…」
彼の手を取って何とか押し戻すようにして口付けから解放されたが、彼の腕の中にいることには変わりなかった。
「何度でも言う。俺と結婚してくれ。ずっと側にいてほしいんだ」
テオドールほどの男性にそう言われたら、普通なら喜んで受けるだろう。
しかし、クラウディアには誰かと共に生きるという選択肢は考えていないし、まだ未来へと向かう自分の人生に生きるという確証を持てない今、その返事は一択しかなかった。
「テオ……」
その声は静かな、決意を秘めたような落ち着きがあった。
「この間、テオに言ったよね。私は誰ともお付き合いするつもりはないって。その気持ちは変わらないの…ごめんなさい」
背を向けて立ったクラウディアを後ろから抱きしめて、耳元で囁く。
「俺はお前を諦めない…好きになってもらう努力をするだけだ。お前の心の中に誰がいても」
そう言って首筋に口づけをしたのだ。それも赤い痕を残すようなそれを。
「ちょっ…テオ!」
「約束だ、いいな」
そう言って部屋を出て行ったが、残されたクラウディアはあまりにも急の出来事に、もう疲れ果ててそのままベッドに倒れ込んだ。
―――テオとキスしちゃった…テオと……
そのことを思い出して、その事実にただただこの先どうしたらいいのかを悩み続けた。
テオドールが元の部屋に戻ると、ローラントとサラの姿はなく、ニコラスだけが残っていた。
戻ってきたテオドールの様子が出て行った時と何か様子が違うことに気が付いて、じっと見ていると、彼の口に彼女の紅が付ていることに気が付いた。
「お前、ディアに……」
冷静に言おうと思ったが、口に出た言葉は少し感情的だったことは否めなかった。テオドールの気持ちを知っていて、二人にしたのは自分の落ち度だったと受け止めるしかない。
「ニック、クラウディアのこと、お前には負けたくない。だが俺はお前を尊敬しているし親友だと思っている。だから、隠し事はしたくはない。お前もちゃんと話してくれないか」
テオドールのその言葉は至極真っ当に思えた。
今まで彼に隠し事をしたことなどなかったし、なんでも心置きなく話せる親友だと思っていた。だが、テオドールには一切話をしていないことを改めて思い出し、この辺りではっきりとしてくべきだろうとも考えた。
テオドールもクラウディアのことをニコラスの口から直接聞いていないということは、これからの友情にいい影響は与えないとも思っていた。
「わかった…話すよ。だが、その前にディアのとこに行かせてくれ」
◇
「ディアいるか?……入るぞ?」
彼女の部屋の扉をノックしたが、返事を待っても返ってこないので声を掛けながら扉を開けた。
そこにはドレスを着たままベッドに横になり、何かを考えているのかボーっとしている彼女の姿があった。
ニコラスが扉が開けて中に入り声をかけると、ようやくクラウディアの視界にニコラスが映った。
「えっ……ニック??どうしたの?」
その姿を見て現実に引き戻されたクラウディアは、慌てて飛び起きて身なりを整えた。だが、テオドールに付けられたあの跡のことはすっかり失念していた。
そしてニコラスは部屋に入るなりそれにすぐに気づいて彼女の元へと歩み寄る。
「ディア」
ただ一言、名前だけのその一言だけを発し、強く抱きしめてきた。
―――ああ、どうしてこう安心するんだろう。
クラウディアはどういう訳かニコラスに抱きしめられると、得も言われぬ安堵感が広がるのを感じていた。心のなにかがクラウディアにそう訴えている様な、安心してもいいと告げている様な不思議な感じがするのだ。
「ニック…?」
「ねえ…ニックってば?」
身動き一つしないまま抱きしめ続けているか彼に、何度呼びかけても全く返事がない。
「はぁ…俺が送ればよかったな」
「えっ?ニック……?」
「ディア…テオに落ちるなよ」
自身の指を彼女の唇に当て「俺だってまだなのにな…」そう呟いて肩に顔を埋めるようにまた抱きしめてきた。
確かにいままでニックとキスをしたことがない……そう思うと、突然恥ずかしくなって。顔をそむけた。
ニコラスが動いたと思ったら、テオドールに付けられた痕に上書きをするかのように首筋に口づけをする。『俺のだ…』そう言うように。そして、この間の火の祭典の時の後日談をしてくれた。
「この間のことだが…あらましはマークから聞いたが、デフュールの領地で、しかも一族の人間が危害を加えるなどあってはならないことだ。本当にすまなかった。怖かっただろう?」
クラウディアは背筋が凍る思いがしたあの瞬間を思い出した。ただあの伯爵が気持ち悪かっただけで、怖かったと言われれば少し違う。でもそれは言わなかった。
そしてニコラスは、あの日、傷があった彼女の手首にそっと触れた。
「次の日に、おじさまもリオネル様も謝罪に来られたわ。もちろん、私は受けてないけど。だからニックも謝罪する必要なんてないのよ。リオネル様が来てくれるとわかっていたし」
「リオネルに感謝だな。しかし、もし間に合わなかったらと考えると…」
抱きしめる腕に力が入り、かすかに震えているのを感じた。
「必ずロウファッジは捕まえる」
「でも、ニック。あの日の態度…あれは、ちょっとやりすぎよ。リオネル様に『兄上とはどういう関係ですか』って聞かれたんだから」
「あいつには先に牽制しとかないと、ディーに言い寄られると困るからな」
「言い寄られるって……」
クラウディアが微妙な表情を浮かべたのがニコラスの何かに触れたらしく、急に表情を変えた。
「お前…まさか……」
「あの日、ニックに会う前に、もうリオネル様から申し込まれた……」
「申し込まれたって……」
「うん…学園を卒業したら結婚してほしいって……」
「はあ……リオネルの奴、油断も隙も無いやつだな」
「しっかりと、釘をさしておく必要があるな」
あの時のリオネルを思い出し、苦々しい気持ちがよみがえってきた。それと共に違う想いもまたふと思い出した。あの時に感じたあの気持ちだ。
「なあ、ディア……、前から聞きたかったんだが、クラウディアの姿で会ったのは、本当にあの時が初めてだよな」
「ウィルヴァルト・フェストの時でしょ?そうよ」
「そうだよな……」
「どうしたの?」
「いや……、クラウディアの姿を見た時、忘れてる何かを思い出しそうな、そんな感じがしたんだ」
「忘れてる何か?」
「ああ……、なぜかお前を護らなきゃいけないような、そんな気持ちが湧いてきたんだ」
「……」
「あの時、休憩室へ連れて行ったときに、聞いてみようと思っていたんだが、クラウディアがディアーナだってわかったから、だからそう思ったのかと考えた。だが、なんかこう……違うような気がして」
「そう言われても、あの時が初めてだったのは事実だし……どうしてそう思うのかしら」
「そうだよな…。まあ、どっちにしても、護ることには変わりないからな」
その後、クラウディアを再度抱きしめ、着替えるように告げてテオドールのところへと戻った。
ニコラスが出て行った後、クラウディアは彼がなぜそう思ったのかを考えてみた。
もしかしたら、彼の中にも前回の記憶があるのではないかと考えたのだが、クラウディアが思い出している記憶の中で、今のところニコラスが出てきた覚えはない。
もしニコラスが覚えていたとして、自分を『守らなければいけない気持ち』というのはどういう対象に向かってそう思っていたのかもわからない。
―――でも、私も覚えていないのだから、どうしようもないか。
色々な事を考えてみたものの、結局そう言う考えに至った。
やはり、こんなドレスを着ているとどうも落ち着かないので、着替えるに限ると食べながら思っていたのだ。
三人に「着替えてくる」と告げて部屋を出たのだが、クラウディアの部屋はそう離れた場所ではなかったので、あっという間に部屋にたどり着いた。
そして扉を開けて「ありがとう」と言って中へ入ろうとすると「少しいいか?」とテオドールに言われて、なにも思わずにクラウディアは頷いた。
「なあ、ディア?さっきの約束、覚えてるか?」
テオドールがクラウディアに意味あり気な視線を送っている。クラウディアも一瞬考えたが、すぐに『町へ行く』という話をしたことを思い出した。
「町へ行くっていうアレでしょ?覚えてるわよ。私が負けたんだもん、テオの言うこと聞かなきゃね」
そう言うと、テオドールはクラウディアのドレス姿をまたまじまじと見て、うっとりとした表情を浮かべた。
「ディア、そのドレス、とても似合ってる。本当に綺麗だ」
面と向かってそう言われて、クラウディアは思わず赤面した。
いつもそんなことを言わないテオドールが臆面もなく言うので、正直その返答に困ってしまったのだ。
確かに正体がばれる前は、クラウディアに対してもこんな直球で話すこともないし、ディアーナに至っては、ドレス姿を見せることは過去に1度だけだったのでこんな風に言われたことはない。
「もう、お世辞はいいわよ。サラもこんなの準備するから…恥ずかしいのよ。もう着替えるから…」
そう言ってテオドールの背中を押して部屋から出そうとする仕草をすると、手を取られた。
「……愛してる」
そう言ってテオドールはクラウディアの唇を塞いだ。
逃がさないというように頭と腰に手を回されてしっかりと抱き止められたことと、その突然の行動に動くことはできなかった。
背中に感じるテオドールの手のぬくもりが鼓動をさらに早くして、その突然の出来事に頭が真っ白になった。
「ん……」
クラウディアの口から出るのは、もう甘い吐息くらいで言葉は出ない。
「クラウディア、愛している…」
いつもと違う甘く優しい声で何度もささやかれ、苦しいほどの口付けが何度も交わされる。
「…ん……テオ…やめ…」
彼の手を取って何とか押し戻すようにして口付けから解放されたが、彼の腕の中にいることには変わりなかった。
「何度でも言う。俺と結婚してくれ。ずっと側にいてほしいんだ」
テオドールほどの男性にそう言われたら、普通なら喜んで受けるだろう。
しかし、クラウディアには誰かと共に生きるという選択肢は考えていないし、まだ未来へと向かう自分の人生に生きるという確証を持てない今、その返事は一択しかなかった。
「テオ……」
その声は静かな、決意を秘めたような落ち着きがあった。
「この間、テオに言ったよね。私は誰ともお付き合いするつもりはないって。その気持ちは変わらないの…ごめんなさい」
背を向けて立ったクラウディアを後ろから抱きしめて、耳元で囁く。
「俺はお前を諦めない…好きになってもらう努力をするだけだ。お前の心の中に誰がいても」
そう言って首筋に口づけをしたのだ。それも赤い痕を残すようなそれを。
「ちょっ…テオ!」
「約束だ、いいな」
そう言って部屋を出て行ったが、残されたクラウディアはあまりにも急の出来事に、もう疲れ果ててそのままベッドに倒れ込んだ。
―――テオとキスしちゃった…テオと……
そのことを思い出して、その事実にただただこの先どうしたらいいのかを悩み続けた。
テオドールが元の部屋に戻ると、ローラントとサラの姿はなく、ニコラスだけが残っていた。
戻ってきたテオドールの様子が出て行った時と何か様子が違うことに気が付いて、じっと見ていると、彼の口に彼女の紅が付ていることに気が付いた。
「お前、ディアに……」
冷静に言おうと思ったが、口に出た言葉は少し感情的だったことは否めなかった。テオドールの気持ちを知っていて、二人にしたのは自分の落ち度だったと受け止めるしかない。
「ニック、クラウディアのこと、お前には負けたくない。だが俺はお前を尊敬しているし親友だと思っている。だから、隠し事はしたくはない。お前もちゃんと話してくれないか」
テオドールのその言葉は至極真っ当に思えた。
今まで彼に隠し事をしたことなどなかったし、なんでも心置きなく話せる親友だと思っていた。だが、テオドールには一切話をしていないことを改めて思い出し、この辺りではっきりとしてくべきだろうとも考えた。
テオドールもクラウディアのことをニコラスの口から直接聞いていないということは、これからの友情にいい影響は与えないとも思っていた。
「わかった…話すよ。だが、その前にディアのとこに行かせてくれ」
◇
「ディアいるか?……入るぞ?」
彼女の部屋の扉をノックしたが、返事を待っても返ってこないので声を掛けながら扉を開けた。
そこにはドレスを着たままベッドに横になり、何かを考えているのかボーっとしている彼女の姿があった。
ニコラスが扉が開けて中に入り声をかけると、ようやくクラウディアの視界にニコラスが映った。
「えっ……ニック??どうしたの?」
その姿を見て現実に引き戻されたクラウディアは、慌てて飛び起きて身なりを整えた。だが、テオドールに付けられたあの跡のことはすっかり失念していた。
そしてニコラスは部屋に入るなりそれにすぐに気づいて彼女の元へと歩み寄る。
「ディア」
ただ一言、名前だけのその一言だけを発し、強く抱きしめてきた。
―――ああ、どうしてこう安心するんだろう。
クラウディアはどういう訳かニコラスに抱きしめられると、得も言われぬ安堵感が広がるのを感じていた。心のなにかがクラウディアにそう訴えている様な、安心してもいいと告げている様な不思議な感じがするのだ。
「ニック…?」
「ねえ…ニックってば?」
身動き一つしないまま抱きしめ続けているか彼に、何度呼びかけても全く返事がない。
「はぁ…俺が送ればよかったな」
「えっ?ニック……?」
「ディア…テオに落ちるなよ」
自身の指を彼女の唇に当て「俺だってまだなのにな…」そう呟いて肩に顔を埋めるようにまた抱きしめてきた。
確かにいままでニックとキスをしたことがない……そう思うと、突然恥ずかしくなって。顔をそむけた。
ニコラスが動いたと思ったら、テオドールに付けられた痕に上書きをするかのように首筋に口づけをする。『俺のだ…』そう言うように。そして、この間の火の祭典の時の後日談をしてくれた。
「この間のことだが…あらましはマークから聞いたが、デフュールの領地で、しかも一族の人間が危害を加えるなどあってはならないことだ。本当にすまなかった。怖かっただろう?」
クラウディアは背筋が凍る思いがしたあの瞬間を思い出した。ただあの伯爵が気持ち悪かっただけで、怖かったと言われれば少し違う。でもそれは言わなかった。
そしてニコラスは、あの日、傷があった彼女の手首にそっと触れた。
「次の日に、おじさまもリオネル様も謝罪に来られたわ。もちろん、私は受けてないけど。だからニックも謝罪する必要なんてないのよ。リオネル様が来てくれるとわかっていたし」
「リオネルに感謝だな。しかし、もし間に合わなかったらと考えると…」
抱きしめる腕に力が入り、かすかに震えているのを感じた。
「必ずロウファッジは捕まえる」
「でも、ニック。あの日の態度…あれは、ちょっとやりすぎよ。リオネル様に『兄上とはどういう関係ですか』って聞かれたんだから」
「あいつには先に牽制しとかないと、ディーに言い寄られると困るからな」
「言い寄られるって……」
クラウディアが微妙な表情を浮かべたのがニコラスの何かに触れたらしく、急に表情を変えた。
「お前…まさか……」
「あの日、ニックに会う前に、もうリオネル様から申し込まれた……」
「申し込まれたって……」
「うん…学園を卒業したら結婚してほしいって……」
「はあ……リオネルの奴、油断も隙も無いやつだな」
「しっかりと、釘をさしておく必要があるな」
あの時のリオネルを思い出し、苦々しい気持ちがよみがえってきた。それと共に違う想いもまたふと思い出した。あの時に感じたあの気持ちだ。
「なあ、ディア……、前から聞きたかったんだが、クラウディアの姿で会ったのは、本当にあの時が初めてだよな」
「ウィルヴァルト・フェストの時でしょ?そうよ」
「そうだよな……」
「どうしたの?」
「いや……、クラウディアの姿を見た時、忘れてる何かを思い出しそうな、そんな感じがしたんだ」
「忘れてる何か?」
「ああ……、なぜかお前を護らなきゃいけないような、そんな気持ちが湧いてきたんだ」
「……」
「あの時、休憩室へ連れて行ったときに、聞いてみようと思っていたんだが、クラウディアがディアーナだってわかったから、だからそう思ったのかと考えた。だが、なんかこう……違うような気がして」
「そう言われても、あの時が初めてだったのは事実だし……どうしてそう思うのかしら」
「そうだよな…。まあ、どっちにしても、護ることには変わりないからな」
その後、クラウディアを再度抱きしめ、着替えるように告げてテオドールのところへと戻った。
ニコラスが出て行った後、クラウディアは彼がなぜそう思ったのかを考えてみた。
もしかしたら、彼の中にも前回の記憶があるのではないかと考えたのだが、クラウディアが思い出している記憶の中で、今のところニコラスが出てきた覚えはない。
もしニコラスが覚えていたとして、自分を『守らなければいけない気持ち』というのはどういう対象に向かってそう思っていたのかもわからない。
―――でも、私も覚えていないのだから、どうしようもないか。
色々な事を考えてみたものの、結局そう言う考えに至った。
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