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第八章
122 拉致
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リオネルは出店の花屋で一輪のバラを買い、クラウディアに手渡した。
「ディア。私はこの町で育ったんだ。だから君にもこの町を好きなってほしい」
リオネルのさりげないしぐさや言葉は、本人にそのつもりはないのだろうが胸に強く刺さる。こういう真摯な姿に魅かれる世の中の女性の気持ちがよく分かった。
その時リオネルの後ろで子供が転び、泣き出したのをリオネルが立たせたと同時に、二人の前方で劇の始まりを告げる大きな音が響き始めた。
みんなの注意がそちらに向いた瞬間、クラウディアの後ろから手がのび、口を塞ぎあっという間に連れ去った。
手慣れた様子からこれが初めてではないのだろう。
彼らはそのまま近くに隠していた馬車に乗り、あっという間にその場を後にした。周囲の人々は音の方向に意識が向いていた事と、彼らが何かしらの魔道具を使ったことが、その瞬間が気付かれなかった要因でもあった。
「ディア、劇が始まるぞ」
そう言ってリオネルが振り向いた先には、クラウディアの姿はなかった。まるで最初からそこに誰もいなかったように。しかし、一輪のバラが落ちていることが居たことを証明していた。
「ディア、どこだ?ディア!クラウディア!」
声を上げてクラウディアの名を呼んで辺りを見回すが、視界に入る範囲にのどこにもいない。すぐ側にいたはずなのにその姿はかき消したように見当たらなかった。
―――どこだ?どこにいる?
リオネルがいくら見回しても、クラウディアの姿はどこにも見当たらない。
「マーク!いるか?」
「はい、お側に」
リオネルの護衛騎士であるマークがリオネルの声に側に反応しすぐ現れた。
クラウディアを見たかの問いに、マークやほかのルーベルム騎士団の団員も音が鳴った時に視線をそらしてしまい、その行方は誰も見ていなかった。
「探せ!大切なクロスローズの令嬢だ。何があっても探し出せ!いいな!」
リオネルも近辺を探し始めるが、近くの店の中も探したがいない。
初めての町なのに勝手にどこかへ行くこともないはずだから、迷子になったとは考えにくい。
―――迷子…そうだ。カルロス殿からいただいたあの魔道具。
ポケットの中に入れていた魔道具を取り出し掌に乗せた。
―――これを使うことなどないと思っていたのだが…
掌に乗せたその魔道具が僅かに輝き始めた。どう使うのかわからないものの、動くとその光が輝きを増したり消えたりするのを見て、対の玉が近くになれば輝きが増すのだろうと直感で理解した。
とりあえず、玉が輝く方向へ移動しようとその方向を確認した。
「マーク。全員を集めろ。今すぐにだ」
そう告げてからリオネルは思案し始めた。父親のランベールから、領地内で行方不明者が多数出ているという話を聞いていたこともあり、もしかするとその被害に遭ったのではないかと考えたのだ。
行方不明者の中でも、若い女性はみんな美しいと評判だったと聞く。ではクラウディアもその連中に捕らわれたのではと考えると、胸の内に怒りがあふれてきた。
そしてリオネルはその矛先を自分自身に向けるほかない状況に唇をかみしめるのだった。
“ディア、どこにいる?ディア!”
身体に伝わる強い振動でクラウディアは目を開けた。町に入ったのは夕方で、リオネルと散策を始めたのは日が沈み始めた頃だ。そして今はもう日が沈んだのか外から日の光は差し込んでこない。
クラウディアが目にしたその場所は薄暗い空間で、少し戸惑い体を起こそうとしたが、後ろ手に縛られているようでバランスを崩して倒れこんだ。
―――この振動は馬車?確か…リオが転んだ子供を助け、大きな音がしたのよね。その時に…私、攫われたの?
薬か何かの影響だろうか。すこしボーっとする頭を振って、しばらくじっとしていると少し目が慣れてきたのか、周りを見ると、他にも数人の子供や女性が同じように縛られて横たわっているのが見えた。
―――この人達も攫われたの?
血の気が引きどうやって逃げ出すかを考えるが、腕が後ろ手に縛られているようで自由にならない。このままでは外を見る事もままならないが、その時、頭に何かが響いた。
“……ディー…どこ……ディー……”
―――この声は、リオ?どこにいるの?
リオネルの声に少し冷静を取り戻したクラウディアは、出かける前にカルロスからもらった自分が作ったあのペンダントを思い出した。
―――リオのものと対になっているから念じればリオに届くはず
“リオ、聞こえますか?リオ!”
何度も呼びかけても返事のない状況に、試作品だからちゃんと動かないのではないかという心配が頭をよぎる。だがそう考えた直後、頭に声が響いた。
“ディア!ディアか!よかった。無事か?今どこだ”
リオネルからの返事があったものの、今いるのはこの振動からおそらく馬車だろう。まだ移動中という事であれば居場所の特定ができない。そうなると、安心できる状態ははないのだ。
“リオ。それがわからないのです。馬車の荷台に乗せられているようなのですが、手を縛られているようで動けず、幌で外も見えません。私のほかにも女性や子供がいるのはわかるのですが、皆さん同じような状況で”
クラウディアからのその言葉を聞いて、リオネルは側に控えているマークに指示を出した。
「マーク、馬車を探せ!幌の付いた馬車だ!それと馬を用意しろ」
「かしこまりました。すぐに」
“ディア、すぐに助ける。私を信じろ!”
“リオ……”
リオネルの自信がこもった力強い言葉に、クラウディアは抱いていた不安が少し薄れた。
“ディア、よく聞くんだ。この先、どこかの建物に入るだろう。見たことや気付いたことを伝えてくれ。早く辿り着くためにも、少しでも居場所を確定するための情報が欲しい”
“わかりました”
リオネルは逸る気持ちを抑えきれず、ペンダントの光を頼りに馬を走らせる。
居なくなってからの時間を考えれば大体の距離はわかるが、この方向は貴族や有力商人の邸宅がある区画になる。なぜそんな場所へ移動しているのだろうかと考えながら、あることを思い出す。
「マーク。行方不明の事件は今も続いているのか?」
「わかっている限りですが、今年に入り30名は。ほとんどが子供か若い女性で、5年以上前から報告は上がっているはずです。もしや、クラウディア様も…」
「ああ、そのようだ。カルロス殿よりいただいた魔道具のおかげで彼女の無事は確認したが、急がねば…。よいか、この件は口外せぬように周知しろ。彼女の名誉にもかかわる。よいな」
「かしこまりました。では、人員の手配と共にそちらも徹底いたします」
リオネルの真意に気づいたのか、マークは早々に動き始めた。この件はリオネルだけではないデフュール公爵家の威信にもかかわることなのだから。
万が一、クラウディアの身に何かあったとすれば、デフュールが全貴族のトップに君臨する公爵家の一員とはいえただでは済まないだろう。それほどの事が今起こっているのだ。
“リオ。先ほど馬車から降りました。今、地下室です。先ほど建物の外観を見ましたが、大きな邸宅で3階はあります。蔦が生い茂った尖塔のようなものの横から屋敷に入りました”
“3階で尖塔か…わかった。すぐに向かいに行くから、待っていてくれ。何かあれば、すぐに言うんだ。わかったね”
怖がらせないように優しい口調で伝えると、光る玉を見ながらクラウディアのいる方向へと進んでいく。
この方向で馬車で30分圏内、3階で尖塔のある建物となると、リオネルが思いつく屋敷は一つだけだった。
「人身売買の情報が入った。今から現場を押さえにいく。詳しいことは道中に話すが、今日見たことは、一切、口外せぬこと。もし、口外した者は処罰対象となる。よいな」
マークがリオネルを追い越すように進んだ先には、貴族区画を警備するルーベルム騎士団の詰所がある場所だった。ルーベルム騎士団はデフュール公爵家の有する騎士団で、主に領地内で活動をしていた。
そしてマークからニコラスからだという指示を受けた騎士が、マークの後を追うように馬に乗り駆けた。
リオネルは光が強くなる方向へと馬を進めるが、進むにつれて輝きを増す玉を見て、考えていた推測が確信に変わっていくのを感じその顔に落胆の色を隠せない。
そして、少し後にマークが連れてきた騎士もリオネルに追いつき、この段階でわかっている情報を共有をすることとなった。
「向かうは……、ロウファッジ伯爵邸だ」
マークも騎士団も、リオネルの言葉に驚いた表情を隠しきれず、おもわず疑問を口にした。
「ロウファッジ伯爵と言えば、火の一族ですよ。ご自分の一族に連なるものをお疑いなのですか?」
「カルロス殿よりここへ来る前に何かあった時のためにと魔道具を渡された。それで彼女から連絡があった。今いる場所は、3階のある建物で、蔦の生い茂った尖塔がある建物だ。それは、経過時間から見てもそこしかない」
「ディア。私はこの町で育ったんだ。だから君にもこの町を好きなってほしい」
リオネルのさりげないしぐさや言葉は、本人にそのつもりはないのだろうが胸に強く刺さる。こういう真摯な姿に魅かれる世の中の女性の気持ちがよく分かった。
その時リオネルの後ろで子供が転び、泣き出したのをリオネルが立たせたと同時に、二人の前方で劇の始まりを告げる大きな音が響き始めた。
みんなの注意がそちらに向いた瞬間、クラウディアの後ろから手がのび、口を塞ぎあっという間に連れ去った。
手慣れた様子からこれが初めてではないのだろう。
彼らはそのまま近くに隠していた馬車に乗り、あっという間にその場を後にした。周囲の人々は音の方向に意識が向いていた事と、彼らが何かしらの魔道具を使ったことが、その瞬間が気付かれなかった要因でもあった。
「ディア、劇が始まるぞ」
そう言ってリオネルが振り向いた先には、クラウディアの姿はなかった。まるで最初からそこに誰もいなかったように。しかし、一輪のバラが落ちていることが居たことを証明していた。
「ディア、どこだ?ディア!クラウディア!」
声を上げてクラウディアの名を呼んで辺りを見回すが、視界に入る範囲にのどこにもいない。すぐ側にいたはずなのにその姿はかき消したように見当たらなかった。
―――どこだ?どこにいる?
リオネルがいくら見回しても、クラウディアの姿はどこにも見当たらない。
「マーク!いるか?」
「はい、お側に」
リオネルの護衛騎士であるマークがリオネルの声に側に反応しすぐ現れた。
クラウディアを見たかの問いに、マークやほかのルーベルム騎士団の団員も音が鳴った時に視線をそらしてしまい、その行方は誰も見ていなかった。
「探せ!大切なクロスローズの令嬢だ。何があっても探し出せ!いいな!」
リオネルも近辺を探し始めるが、近くの店の中も探したがいない。
初めての町なのに勝手にどこかへ行くこともないはずだから、迷子になったとは考えにくい。
―――迷子…そうだ。カルロス殿からいただいたあの魔道具。
ポケットの中に入れていた魔道具を取り出し掌に乗せた。
―――これを使うことなどないと思っていたのだが…
掌に乗せたその魔道具が僅かに輝き始めた。どう使うのかわからないものの、動くとその光が輝きを増したり消えたりするのを見て、対の玉が近くになれば輝きが増すのだろうと直感で理解した。
とりあえず、玉が輝く方向へ移動しようとその方向を確認した。
「マーク。全員を集めろ。今すぐにだ」
そう告げてからリオネルは思案し始めた。父親のランベールから、領地内で行方不明者が多数出ているという話を聞いていたこともあり、もしかするとその被害に遭ったのではないかと考えたのだ。
行方不明者の中でも、若い女性はみんな美しいと評判だったと聞く。ではクラウディアもその連中に捕らわれたのではと考えると、胸の内に怒りがあふれてきた。
そしてリオネルはその矛先を自分自身に向けるほかない状況に唇をかみしめるのだった。
“ディア、どこにいる?ディア!”
身体に伝わる強い振動でクラウディアは目を開けた。町に入ったのは夕方で、リオネルと散策を始めたのは日が沈み始めた頃だ。そして今はもう日が沈んだのか外から日の光は差し込んでこない。
クラウディアが目にしたその場所は薄暗い空間で、少し戸惑い体を起こそうとしたが、後ろ手に縛られているようでバランスを崩して倒れこんだ。
―――この振動は馬車?確か…リオが転んだ子供を助け、大きな音がしたのよね。その時に…私、攫われたの?
薬か何かの影響だろうか。すこしボーっとする頭を振って、しばらくじっとしていると少し目が慣れてきたのか、周りを見ると、他にも数人の子供や女性が同じように縛られて横たわっているのが見えた。
―――この人達も攫われたの?
血の気が引きどうやって逃げ出すかを考えるが、腕が後ろ手に縛られているようで自由にならない。このままでは外を見る事もままならないが、その時、頭に何かが響いた。
“……ディー…どこ……ディー……”
―――この声は、リオ?どこにいるの?
リオネルの声に少し冷静を取り戻したクラウディアは、出かける前にカルロスからもらった自分が作ったあのペンダントを思い出した。
―――リオのものと対になっているから念じればリオに届くはず
“リオ、聞こえますか?リオ!”
何度も呼びかけても返事のない状況に、試作品だからちゃんと動かないのではないかという心配が頭をよぎる。だがそう考えた直後、頭に声が響いた。
“ディア!ディアか!よかった。無事か?今どこだ”
リオネルからの返事があったものの、今いるのはこの振動からおそらく馬車だろう。まだ移動中という事であれば居場所の特定ができない。そうなると、安心できる状態ははないのだ。
“リオ。それがわからないのです。馬車の荷台に乗せられているようなのですが、手を縛られているようで動けず、幌で外も見えません。私のほかにも女性や子供がいるのはわかるのですが、皆さん同じような状況で”
クラウディアからのその言葉を聞いて、リオネルは側に控えているマークに指示を出した。
「マーク、馬車を探せ!幌の付いた馬車だ!それと馬を用意しろ」
「かしこまりました。すぐに」
“ディア、すぐに助ける。私を信じろ!”
“リオ……”
リオネルの自信がこもった力強い言葉に、クラウディアは抱いていた不安が少し薄れた。
“ディア、よく聞くんだ。この先、どこかの建物に入るだろう。見たことや気付いたことを伝えてくれ。早く辿り着くためにも、少しでも居場所を確定するための情報が欲しい”
“わかりました”
リオネルは逸る気持ちを抑えきれず、ペンダントの光を頼りに馬を走らせる。
居なくなってからの時間を考えれば大体の距離はわかるが、この方向は貴族や有力商人の邸宅がある区画になる。なぜそんな場所へ移動しているのだろうかと考えながら、あることを思い出す。
「マーク。行方不明の事件は今も続いているのか?」
「わかっている限りですが、今年に入り30名は。ほとんどが子供か若い女性で、5年以上前から報告は上がっているはずです。もしや、クラウディア様も…」
「ああ、そのようだ。カルロス殿よりいただいた魔道具のおかげで彼女の無事は確認したが、急がねば…。よいか、この件は口外せぬように周知しろ。彼女の名誉にもかかわる。よいな」
「かしこまりました。では、人員の手配と共にそちらも徹底いたします」
リオネルの真意に気づいたのか、マークは早々に動き始めた。この件はリオネルだけではないデフュール公爵家の威信にもかかわることなのだから。
万が一、クラウディアの身に何かあったとすれば、デフュールが全貴族のトップに君臨する公爵家の一員とはいえただでは済まないだろう。それほどの事が今起こっているのだ。
“リオ。先ほど馬車から降りました。今、地下室です。先ほど建物の外観を見ましたが、大きな邸宅で3階はあります。蔦が生い茂った尖塔のようなものの横から屋敷に入りました”
“3階で尖塔か…わかった。すぐに向かいに行くから、待っていてくれ。何かあれば、すぐに言うんだ。わかったね”
怖がらせないように優しい口調で伝えると、光る玉を見ながらクラウディアのいる方向へと進んでいく。
この方向で馬車で30分圏内、3階で尖塔のある建物となると、リオネルが思いつく屋敷は一つだけだった。
「人身売買の情報が入った。今から現場を押さえにいく。詳しいことは道中に話すが、今日見たことは、一切、口外せぬこと。もし、口外した者は処罰対象となる。よいな」
マークがリオネルを追い越すように進んだ先には、貴族区画を警備するルーベルム騎士団の詰所がある場所だった。ルーベルム騎士団はデフュール公爵家の有する騎士団で、主に領地内で活動をしていた。
そしてマークからニコラスからだという指示を受けた騎士が、マークの後を追うように馬に乗り駆けた。
リオネルは光が強くなる方向へと馬を進めるが、進むにつれて輝きを増す玉を見て、考えていた推測が確信に変わっていくのを感じその顔に落胆の色を隠せない。
そして、少し後にマークが連れてきた騎士もリオネルに追いつき、この段階でわかっている情報を共有をすることとなった。
「向かうは……、ロウファッジ伯爵邸だ」
マークも騎士団も、リオネルの言葉に驚いた表情を隠しきれず、おもわず疑問を口にした。
「ロウファッジ伯爵と言えば、火の一族ですよ。ご自分の一族に連なるものをお疑いなのですか?」
「カルロス殿よりここへ来る前に何かあった時のためにと魔道具を渡された。それで彼女から連絡があった。今いる場所は、3階のある建物で、蔦の生い茂った尖塔がある建物だ。それは、経過時間から見てもそこしかない」
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