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第八章
117 テオにバレる
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「大丈夫か!?」
テオドールは自身の剣に伝わった僅かな振動を感じ、血の気が引く思いがした。
場所が場所だけに、顔に怪我をしていたらと気が気ではなかった。
「大丈夫…ごめん」
手を取って起き上がった。
「怪我はないか?顔を見せろ」
いきなり顔を両手で掴まれ、どこにも怪我がないかを確認し始めた。
間近で見るテオドールの顔が、格好良くて綺麗で顔が赤くなるのがわかる。クラウディアの時に見る、もう一つの彼の表情を思い出して、ドキドキが止まらない。
テオドールもクラウディアがそんなことを考えているとは知らずに、顔の横から耳、そして髪を書き上げるようにして怪我がないかを何度も確認している。
「…良かった。顔にけがはないな…」
真っ青だったテオドールの顔は、徐々に血の気を取り戻したのか、少し血色がよくなってきたのだが、自身の手で少女の顔を押さえ目の前に固定している事を思い出し、その顔の近さに照れているようだった。
「悪い…」
「ディアーナ、今のは危なかったぞ。さっきサラも言ってたように、軸をしっかりしないとな。サラ、少し教えてやれ」
ジークフリートから助言され、サラと少し離れた場所で、体の軸の鍛え方を教えてもらいながら、ニコラスとテオドールが手合わせしているのを見て話をしていた。
「さっき、ディアが倒れた時、ニック、すごかったわよ。もう真っ青になってて。まあ、私もびっくりしたわ。怪我がなくて本当に良かった」
「私も、正直焦ったのよね。金属音を聞いたような気がするのよ、もしかしたら、イヤーカフに当たってたかも。気を付けなきゃ」
「こうやって力を入れて、こうするのよ」とトレーニング方法を教えてもらい、毎日やることを決めた。
少しでも欠点をなくすことが上達への近道なのだから。
「剣舞も合わせてやるといいわ。もっと体の使い方がわかるわ」
それからしばらく相手を変えて手合わせし、練習を終えたのは昼を回った頃だった。夏を感じる強い日差しの元、みんなくたくたで、地面に転がっていた。
「ねえ、小川に行かない?足だけでも水につけてこようよ」
サラが満面の笑みで提案してきた。
彼女が言う小川とは、ウィルバート公爵家の敷地内を流れる川の事だが、小川というには川幅も流量もそこそこあって、彼らが子供の頃から親しんだ場所の様で、涼みやすい場所もわかっているようだ。
「いいね、行こう」
ローラントが賛成したので、皆でその後を付いていく。
川は思ったよりも遠くもなく、クールダウンするには丁度いい距離だった。
「着いたー」
ローラントが真っ先に川に入り、子供のようにはしゃぎ始めた。
「ディア」
声をかけられ、ローラントから水をかけられる。それが練習明けの暑い日には気持ちよくて、思わずやり返していた。
「ロー!もう」
バシャッ、ってかけ返すが、すぐにその倍の量がかけられる。
そして、テオドールもニコラスもローラントの洗礼を浴びていた。
それに対抗するように、サラも水を掛け始める。
「サラ!お前、なにするんだ」
ニコラスが思わず叫んでいたので彼の方を見ると、テオドールと二人で濡れた髪をかき上げているその姿がとてつもなく色っぽかった。
これはとても心臓に悪くて、とても凝視できない。
その方向を見ないように見ないようにと気を付けていると、思わず川底の石に足を取られ、体勢を崩した。
しかも、なぜかそこは少し深かった。クラウディアは、ばしゃーんという音と共に、川の中に倒れ込み、慌てて体制を戻そうとしたが、思いっきり頭から水を被った後だった。
「もう、どうしてこうなるの??」
水がしたたる前髪をかき上げるように手を上げた時、何かが引っかかった気がした。その瞬間に、ニコラスの声が聞こえた。
「ディア!顔を上げるな!」
何を言っているのだろう?と、そう思って顔を上げると、驚いた顔のテオドールの顔が目に入った。それも一瞬で、すぐにニコラスに抱き止められた。
―――何??何が起きたの??
「サラ!何か羽織るものはないのか?サラ!」
「どうして……ニック、あなた知ってたの??」
少し表情を硬くしたニコラスが「今はそんなことはいい」と声をかける。
何かを言っているテオドールの声も聞こえたが、ニコラスに抱きしめられているからその姿が見えない。
―――どうした…の?
その瞬間、何かが落ちるのを感じ、視線がそこへ動く。
そこにあったのは、傷が入り、どう見ても壊れているイヤーカフだった。あの時に聞こえた、わずかな金属音の正体はこれだったのだ。
「ニコラス!お前、何が…なぜ…どうしてクラウディア嬢が…」
テオドールの頭の中で、今見たことが理解できないまま、何をきけばいいのかもわからずにいたのに、ニコラスは何かを知っている態度だったのが釈然としない。
ローラントもまた、ただ驚きの顔をしてその場に立ち尽くしていた。
「ニック…もういいよ……」
このまま帰ることも出来ないとわかっていたので、腹をくくる。
ニコラスもその言葉の意味を感じたのか、諦めたように腕を解いてクラウディアの顔を見た。その表情は、眉をひそめ何とも言えない悲し気な感じがした。
―――ディアだよな…確かに、ディアだったよな。どうしてクラウディア嬢の姿に…
何度もそう言いながら一歩ずつ近づいてきて、正面から両肩を掴んで顔を食い入るように見つめた。
その時のテオドールの顔は、何が起こっているのか信じられないと言った表情を浮かべているが、頬を赤らめているのがわかる。
「テオ、彼女を離せ」
「ニック…サラ…これはどういうことだ?お前達、知ってたのか?」
二人は顔を見合わせてため息を吐いた。サラはそっとクラウディアに寄り添うように立っている。
「……私は女同士だもの、最初にお父様から聞いているわ。一緒に練習する条件が身元を隠すことだっていうから、内緒にしてたのよ。でも、ニックは…」
「はぁ……俺は、ついこの間、知ったんだ」
テオドールがクラウディアに向き直り、説明を求める視線を送ってきている。
それはそうだろう。あれだけ深層の令嬢をアピールしていたクラウディアが目の前にいて、一緒に練習をしていたのだから、理由を求めるのは理解ができる。そしてローラントもまた同じような視線を向けてきている。
「…テオ…ロー……。騙していた形になって…ごめんなさい」
それからどうしてこうしていたのか、そのことを内緒にしていたかを話したが、その話の間中、テオドールの視線はクラウディアをじっと見たまま身動き一つとらなかった。ただただ、顔を見つめているだけだった。
そして、当初の約束通り、知られた以上参加にはできないことを告げた。
「私は嫌よ。まだまだディアと一緒に練習したいわ」
サラがクラウディアを思いっきり抱き締めた。
「俺だって、ディアとやりたい。ディアと練習するのが楽しいんだ」
ローラントもまた、サラに抱きしめられているクラウディアを見ている。その目は少し潤んでいるように見えた。
「…では、見なかったことにすればいいだろう?」
テオドールがポツリと呟くように言い、クラウディアへと歩み寄って手を取った。
「それでいいだろう?クラウディア嬢…いや、ディア」
クラウディアに向けられているであろうその優しい微笑みに、思わず引き込まれそうになる。
「テオ……私だって、まだ、みんなと一緒にやりたいわ」
「そうだろう?では、決まりだ」
クラウディアを優しく抱き寄せる。
甘く蕩けるような表情を見せるその姿を見て、ニコラスの心は穏やかではなかった。テオドールがディアーナの正体を知ってしまったことで、これからの生活は一変するだろうと予想が出来た。
そしてこの行動は、テオドールの心の奥底での、ニコラスに対する牽制の意味合いが込められている行動だろうと想像できた。
サラも、兄がクラウディアを抱き寄せる姿を見ながら、ニコラスに視線を移した。
そして彼の表情に、悲しく苦々しい色が浮かんでいたのを見逃さなかった。
テオドールは自身の剣に伝わった僅かな振動を感じ、血の気が引く思いがした。
場所が場所だけに、顔に怪我をしていたらと気が気ではなかった。
「大丈夫…ごめん」
手を取って起き上がった。
「怪我はないか?顔を見せろ」
いきなり顔を両手で掴まれ、どこにも怪我がないかを確認し始めた。
間近で見るテオドールの顔が、格好良くて綺麗で顔が赤くなるのがわかる。クラウディアの時に見る、もう一つの彼の表情を思い出して、ドキドキが止まらない。
テオドールもクラウディアがそんなことを考えているとは知らずに、顔の横から耳、そして髪を書き上げるようにして怪我がないかを何度も確認している。
「…良かった。顔にけがはないな…」
真っ青だったテオドールの顔は、徐々に血の気を取り戻したのか、少し血色がよくなってきたのだが、自身の手で少女の顔を押さえ目の前に固定している事を思い出し、その顔の近さに照れているようだった。
「悪い…」
「ディアーナ、今のは危なかったぞ。さっきサラも言ってたように、軸をしっかりしないとな。サラ、少し教えてやれ」
ジークフリートから助言され、サラと少し離れた場所で、体の軸の鍛え方を教えてもらいながら、ニコラスとテオドールが手合わせしているのを見て話をしていた。
「さっき、ディアが倒れた時、ニック、すごかったわよ。もう真っ青になってて。まあ、私もびっくりしたわ。怪我がなくて本当に良かった」
「私も、正直焦ったのよね。金属音を聞いたような気がするのよ、もしかしたら、イヤーカフに当たってたかも。気を付けなきゃ」
「こうやって力を入れて、こうするのよ」とトレーニング方法を教えてもらい、毎日やることを決めた。
少しでも欠点をなくすことが上達への近道なのだから。
「剣舞も合わせてやるといいわ。もっと体の使い方がわかるわ」
それからしばらく相手を変えて手合わせし、練習を終えたのは昼を回った頃だった。夏を感じる強い日差しの元、みんなくたくたで、地面に転がっていた。
「ねえ、小川に行かない?足だけでも水につけてこようよ」
サラが満面の笑みで提案してきた。
彼女が言う小川とは、ウィルバート公爵家の敷地内を流れる川の事だが、小川というには川幅も流量もそこそこあって、彼らが子供の頃から親しんだ場所の様で、涼みやすい場所もわかっているようだ。
「いいね、行こう」
ローラントが賛成したので、皆でその後を付いていく。
川は思ったよりも遠くもなく、クールダウンするには丁度いい距離だった。
「着いたー」
ローラントが真っ先に川に入り、子供のようにはしゃぎ始めた。
「ディア」
声をかけられ、ローラントから水をかけられる。それが練習明けの暑い日には気持ちよくて、思わずやり返していた。
「ロー!もう」
バシャッ、ってかけ返すが、すぐにその倍の量がかけられる。
そして、テオドールもニコラスもローラントの洗礼を浴びていた。
それに対抗するように、サラも水を掛け始める。
「サラ!お前、なにするんだ」
ニコラスが思わず叫んでいたので彼の方を見ると、テオドールと二人で濡れた髪をかき上げているその姿がとてつもなく色っぽかった。
これはとても心臓に悪くて、とても凝視できない。
その方向を見ないように見ないようにと気を付けていると、思わず川底の石に足を取られ、体勢を崩した。
しかも、なぜかそこは少し深かった。クラウディアは、ばしゃーんという音と共に、川の中に倒れ込み、慌てて体制を戻そうとしたが、思いっきり頭から水を被った後だった。
「もう、どうしてこうなるの??」
水がしたたる前髪をかき上げるように手を上げた時、何かが引っかかった気がした。その瞬間に、ニコラスの声が聞こえた。
「ディア!顔を上げるな!」
何を言っているのだろう?と、そう思って顔を上げると、驚いた顔のテオドールの顔が目に入った。それも一瞬で、すぐにニコラスに抱き止められた。
―――何??何が起きたの??
「サラ!何か羽織るものはないのか?サラ!」
「どうして……ニック、あなた知ってたの??」
少し表情を硬くしたニコラスが「今はそんなことはいい」と声をかける。
何かを言っているテオドールの声も聞こえたが、ニコラスに抱きしめられているからその姿が見えない。
―――どうした…の?
その瞬間、何かが落ちるのを感じ、視線がそこへ動く。
そこにあったのは、傷が入り、どう見ても壊れているイヤーカフだった。あの時に聞こえた、わずかな金属音の正体はこれだったのだ。
「ニコラス!お前、何が…なぜ…どうしてクラウディア嬢が…」
テオドールの頭の中で、今見たことが理解できないまま、何をきけばいいのかもわからずにいたのに、ニコラスは何かを知っている態度だったのが釈然としない。
ローラントもまた、ただ驚きの顔をしてその場に立ち尽くしていた。
「ニック…もういいよ……」
このまま帰ることも出来ないとわかっていたので、腹をくくる。
ニコラスもその言葉の意味を感じたのか、諦めたように腕を解いてクラウディアの顔を見た。その表情は、眉をひそめ何とも言えない悲し気な感じがした。
―――ディアだよな…確かに、ディアだったよな。どうしてクラウディア嬢の姿に…
何度もそう言いながら一歩ずつ近づいてきて、正面から両肩を掴んで顔を食い入るように見つめた。
その時のテオドールの顔は、何が起こっているのか信じられないと言った表情を浮かべているが、頬を赤らめているのがわかる。
「テオ、彼女を離せ」
「ニック…サラ…これはどういうことだ?お前達、知ってたのか?」
二人は顔を見合わせてため息を吐いた。サラはそっとクラウディアに寄り添うように立っている。
「……私は女同士だもの、最初にお父様から聞いているわ。一緒に練習する条件が身元を隠すことだっていうから、内緒にしてたのよ。でも、ニックは…」
「はぁ……俺は、ついこの間、知ったんだ」
テオドールがクラウディアに向き直り、説明を求める視線を送ってきている。
それはそうだろう。あれだけ深層の令嬢をアピールしていたクラウディアが目の前にいて、一緒に練習をしていたのだから、理由を求めるのは理解ができる。そしてローラントもまた同じような視線を向けてきている。
「…テオ…ロー……。騙していた形になって…ごめんなさい」
それからどうしてこうしていたのか、そのことを内緒にしていたかを話したが、その話の間中、テオドールの視線はクラウディアをじっと見たまま身動き一つとらなかった。ただただ、顔を見つめているだけだった。
そして、当初の約束通り、知られた以上参加にはできないことを告げた。
「私は嫌よ。まだまだディアと一緒に練習したいわ」
サラがクラウディアを思いっきり抱き締めた。
「俺だって、ディアとやりたい。ディアと練習するのが楽しいんだ」
ローラントもまた、サラに抱きしめられているクラウディアを見ている。その目は少し潤んでいるように見えた。
「…では、見なかったことにすればいいだろう?」
テオドールがポツリと呟くように言い、クラウディアへと歩み寄って手を取った。
「それでいいだろう?クラウディア嬢…いや、ディア」
クラウディアに向けられているであろうその優しい微笑みに、思わず引き込まれそうになる。
「テオ……私だって、まだ、みんなと一緒にやりたいわ」
「そうだろう?では、決まりだ」
クラウディアを優しく抱き寄せる。
甘く蕩けるような表情を見せるその姿を見て、ニコラスの心は穏やかではなかった。テオドールがディアーナの正体を知ってしまったことで、これからの生活は一変するだろうと予想が出来た。
そしてこの行動は、テオドールの心の奥底での、ニコラスに対する牽制の意味合いが込められている行動だろうと想像できた。
サラも、兄がクラウディアを抱き寄せる姿を見ながら、ニコラスに視線を移した。
そして彼の表情に、悲しく苦々しい色が浮かんでいたのを見逃さなかった。
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