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第八章
102 エアストン国へ
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この日からニコラスは外交関連の交渉の為、エアストン国へ向かう王弟の護衛の一員としてその一行に同行していた。
日程は一週間ということだが、その前後には準備やらなにやらで二週間以上の日が抑えられている為、ウィルバートでの練習には参加できないでいた。ということは、ニコラスにとってクラウディアに会える貴重な時間を奪われるという事で、正直苛立っていた.
近衛第一騎士団の主要メンバーが護衛のリストに選抜されていること、今回の外交先が友好国でもあるエアストン国という事もあって、危険が及ぶ心配はほとんどない。
そしてエアストン国のレイン騎士団の厳重な警備もあり、そこまで気負うことなく訪れることができるのだ。
今回は国境付近で増えつつある魔物の被害に関する各協定を話し合うために、詳細の資料を持ち寄り話し合いを重ねるために訪れたのだ。
以前から国境付近の森に、多数の魔物が住んでいることも確認されていたが、このところ人的被害が出るようになり、作物の被害も時折見られるようになった。
その魔物も狂暴化が見られる個体もあり、その原因と対策の協議に王弟自らエアストン国を訪れていたのだ。
そしてニコラスがそのメンバーに選ばれたのも、紅蓮の狼の名を持つ人物の実力を見たいというレイン騎士団の上層部の要望が通った形なのだ。
王弟が使節団の一員と共に協議に取り組んでいる頃、ニコラスの姿は王宮の一角にあるレイン騎士団の団長室にあった。
「ようこそエアストン国のレイン騎士団へ。デフュール公爵令息殿。私はレイン騎士団団長、ジェイク・フォン・ガジュラスと申す」
「こちらこそ、お招きにあずかり心より感謝しております。ニコラス・ファロ・デフュールです」
お互いに握手を交わすがその目は笑っておらず、相手の実力を測るようなそんな気迫のようなものが感じられる。
その証拠に、側に控えている補佐官たちの身体はわずかに震えている様だ。
「今日は是非、我らが騎士団の練習に参加してほしいのだが、時間はあるのだろう?ニコラス殿」
「ええ、そのつもりで参りました。ウィルバート公爵からもくれぐれもよろしくと伝えて欲しいと言われておりますし」
「ほう。ジークフリートか。昔はよくやり合ったものだが、あいつもまだ現役なのだな」
そんな話をしながら、練習をしている鍛錬場へと足を向けた。
団長室から鍛錬場は歩いてもほんの数分で、部屋を出るとすぐににぎやかな声が耳に届く。剣の交わる音も聞こえ、ニコラスの気持ちも上がる。
「みんな、集まれ」
ジェイクは鍛錬場にいる団員に声をかけた。
その響く声は、一番遠くにいる団員にも届き、すぐに駆け足で集まってくるが、その動きはとても早く集まって並んだ姿は綺麗に一直線に足先が揃っている。さすがエアストン国でもエリートでもあるレイン騎士団だ。
「エストレージャ王国からの客人だ。みんなもよく知っているだろう。紅蓮の狼の名を持つデフュール公爵令息だ」
ニコラスは内心、その紹介の仕方はないだろうと思いながら、ジェイクに視線を向けつつ団員へと挨拶をした。
「ニコラス・ファロ・デフュールです。今日は、高名なレイン騎士団の練習に参加できることを楽しみにしています」
その言葉で、団員からは驚きの声と共に歓喜の悲鳴に似た叫び声が湧いた。
日程は一週間ということだが、その前後には準備やらなにやらで二週間以上の日が抑えられている為、ウィルバートでの練習には参加できないでいた。ということは、ニコラスにとってクラウディアに会える貴重な時間を奪われるという事で、正直苛立っていた.
近衛第一騎士団の主要メンバーが護衛のリストに選抜されていること、今回の外交先が友好国でもあるエアストン国という事もあって、危険が及ぶ心配はほとんどない。
そしてエアストン国のレイン騎士団の厳重な警備もあり、そこまで気負うことなく訪れることができるのだ。
今回は国境付近で増えつつある魔物の被害に関する各協定を話し合うために、詳細の資料を持ち寄り話し合いを重ねるために訪れたのだ。
以前から国境付近の森に、多数の魔物が住んでいることも確認されていたが、このところ人的被害が出るようになり、作物の被害も時折見られるようになった。
その魔物も狂暴化が見られる個体もあり、その原因と対策の協議に王弟自らエアストン国を訪れていたのだ。
そしてニコラスがそのメンバーに選ばれたのも、紅蓮の狼の名を持つ人物の実力を見たいというレイン騎士団の上層部の要望が通った形なのだ。
王弟が使節団の一員と共に協議に取り組んでいる頃、ニコラスの姿は王宮の一角にあるレイン騎士団の団長室にあった。
「ようこそエアストン国のレイン騎士団へ。デフュール公爵令息殿。私はレイン騎士団団長、ジェイク・フォン・ガジュラスと申す」
「こちらこそ、お招きにあずかり心より感謝しております。ニコラス・ファロ・デフュールです」
お互いに握手を交わすがその目は笑っておらず、相手の実力を測るようなそんな気迫のようなものが感じられる。
その証拠に、側に控えている補佐官たちの身体はわずかに震えている様だ。
「今日は是非、我らが騎士団の練習に参加してほしいのだが、時間はあるのだろう?ニコラス殿」
「ええ、そのつもりで参りました。ウィルバート公爵からもくれぐれもよろしくと伝えて欲しいと言われておりますし」
「ほう。ジークフリートか。昔はよくやり合ったものだが、あいつもまだ現役なのだな」
そんな話をしながら、練習をしている鍛錬場へと足を向けた。
団長室から鍛錬場は歩いてもほんの数分で、部屋を出るとすぐににぎやかな声が耳に届く。剣の交わる音も聞こえ、ニコラスの気持ちも上がる。
「みんな、集まれ」
ジェイクは鍛錬場にいる団員に声をかけた。
その響く声は、一番遠くにいる団員にも届き、すぐに駆け足で集まってくるが、その動きはとても早く集まって並んだ姿は綺麗に一直線に足先が揃っている。さすがエアストン国でもエリートでもあるレイン騎士団だ。
「エストレージャ王国からの客人だ。みんなもよく知っているだろう。紅蓮の狼の名を持つデフュール公爵令息だ」
ニコラスは内心、その紹介の仕方はないだろうと思いながら、ジェイクに視線を向けつつ団員へと挨拶をした。
「ニコラス・ファロ・デフュールです。今日は、高名なレイン騎士団の練習に参加できることを楽しみにしています」
その言葉で、団員からは驚きの声と共に歓喜の悲鳴に似た叫び声が湧いた。
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