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第六章
55 ポーションの事業計画
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クラウディアは薬草に関して学びながらポーションの実用化が出来ないものかと悩み続けていた。
いくつか試作品を作って商品としても通用するかを考えながらこの先の事を考えた。
そらも、ジルベルトとクインと一緒にポーションについて話し合ったとき、事業化の事を考えてみた方がいいと言われていたのだ。
この先、商品化したところで希少価値が付き価格が高騰してしまうと、高位貴族のみがその恩恵にあずかり医者にかかることが出来ない低所得者が手に入れる事も、見る事もできないような代物になってしまう可能性がないとはいえない。
そこで、広い視野で一度考え直してみようと最近はポーションの試作よりも色々な統計指標とにらめっこしていることの方が多かった。だが、それで気が付いたこともあり、それを総合的に考えて事業計画書を作ってみようとペンを取った。
「拠点はトランが一番いいかも。人材の確保の方法と薬草の取引先、そして拠点の運営にかかる費用も書いた方が良いわよね。それから、肝心なのは……」
目の前に並べられた試作品の一つを手に取り、中の液体を太陽の光にかざした。
その揺れる液体を見ながら少し考えて再度ペンを取る。『当面は、高価なものを作るより、手軽に手に入り安価なものがいい。治験の必要性は鑑定で副作用もわかるのだから必要はなさそうね』そう思って、言葉を選んで書いていく。
熱や咳といったものから始め、最終的には、騎士団が安心して魔獣退治に行けるような治療薬を作りたいとも記した。
「叔父様もクインお兄様も厳しいから、もう少し現実味のある事を書かないとダメ出しされるわよね」
このままではそうなるだろうと予想ができるので、いくつか聞かれそうなことを考えてみた。
ポーションが完成して大量に作る為にはどうするか。その流通方法は?人員は?場所は?直接かかわるのか?等々、すぐに答えられるように、色々なことを想定してみた。
今の段階ではどれだけの原価がかかり、どのくらいの量を作ることができるのかもわからないので、その辺りは追々報告するという事にしたのだが、それにもかかわらず事業計画書はかなりの枚数になった。
事業計画書の前半にはポーションについての詳細を書いて、後半には流通確定後の工場の建設予定や確保人員の予想を書いておいたのだが大丈夫だろうかと思いながらも、その本の様な厚さを見て「これで大丈夫」と自信を持った。
事業計画書を書き上げて、魔術の授業が終わった時にジルベルトに渡しておいたのだが、読み終えたとの連絡と共に執務室へ来るように伝言をもらい急いで執務室へ向かった。
扉をノックして部屋に入ると、デスクの上に広がる書類を片付け終わったようで、手に持っていた書類もその書類の山の上に重ねていた。
ジルベルトは部屋に入ってきたクラウディアの顔を見てニコッと笑う。
「叔父様。どうでしたか?」
クラウディアが作った本のような厚さの事業報告書を目の前に置いて、ジルベルトは少しクスッと笑った。
『どこかダメなところがあったのだろうか……』そう心配しながら、ジルベルトが何を言うのだろうかと言葉を待った。その時間がとても長く感じて、心臓の音が聞こえるのではないかというほどドキドキと響いている。
「なかなかに良くできているよ」
「本当ですか?」
「ああ。今の段階でここまで考えているのは流石だね。ポーションが完成すれば、この計画書の後半部分がもっと現実的になるだろう」
「この事業を始める時には私からも幾分か出資をしよう。そうだね……稼働してから最初の2年の間にかかった費用は私が出そう」
「叔父様。そんなに……」
「何を言っているんだい?そのくらい安いものだ。もちろん、ベイリーにも話しは通しておくよ。おそらく娘の為だと言って私の支援はいらないと言うだろうけどね」
ニッコリと笑ったジルベルトは自身の甥の事もよくわかっている。この計画書を渡せば、自分の入る隙はなくなるかもしれないと。
いくつか試作品を作って商品としても通用するかを考えながらこの先の事を考えた。
そらも、ジルベルトとクインと一緒にポーションについて話し合ったとき、事業化の事を考えてみた方がいいと言われていたのだ。
この先、商品化したところで希少価値が付き価格が高騰してしまうと、高位貴族のみがその恩恵にあずかり医者にかかることが出来ない低所得者が手に入れる事も、見る事もできないような代物になってしまう可能性がないとはいえない。
そこで、広い視野で一度考え直してみようと最近はポーションの試作よりも色々な統計指標とにらめっこしていることの方が多かった。だが、それで気が付いたこともあり、それを総合的に考えて事業計画書を作ってみようとペンを取った。
「拠点はトランが一番いいかも。人材の確保の方法と薬草の取引先、そして拠点の運営にかかる費用も書いた方が良いわよね。それから、肝心なのは……」
目の前に並べられた試作品の一つを手に取り、中の液体を太陽の光にかざした。
その揺れる液体を見ながら少し考えて再度ペンを取る。『当面は、高価なものを作るより、手軽に手に入り安価なものがいい。治験の必要性は鑑定で副作用もわかるのだから必要はなさそうね』そう思って、言葉を選んで書いていく。
熱や咳といったものから始め、最終的には、騎士団が安心して魔獣退治に行けるような治療薬を作りたいとも記した。
「叔父様もクインお兄様も厳しいから、もう少し現実味のある事を書かないとダメ出しされるわよね」
このままではそうなるだろうと予想ができるので、いくつか聞かれそうなことを考えてみた。
ポーションが完成して大量に作る為にはどうするか。その流通方法は?人員は?場所は?直接かかわるのか?等々、すぐに答えられるように、色々なことを想定してみた。
今の段階ではどれだけの原価がかかり、どのくらいの量を作ることができるのかもわからないので、その辺りは追々報告するという事にしたのだが、それにもかかわらず事業計画書はかなりの枚数になった。
事業計画書の前半にはポーションについての詳細を書いて、後半には流通確定後の工場の建設予定や確保人員の予想を書いておいたのだが大丈夫だろうかと思いながらも、その本の様な厚さを見て「これで大丈夫」と自信を持った。
事業計画書を書き上げて、魔術の授業が終わった時にジルベルトに渡しておいたのだが、読み終えたとの連絡と共に執務室へ来るように伝言をもらい急いで執務室へ向かった。
扉をノックして部屋に入ると、デスクの上に広がる書類を片付け終わったようで、手に持っていた書類もその書類の山の上に重ねていた。
ジルベルトは部屋に入ってきたクラウディアの顔を見てニコッと笑う。
「叔父様。どうでしたか?」
クラウディアが作った本のような厚さの事業報告書を目の前に置いて、ジルベルトは少しクスッと笑った。
『どこかダメなところがあったのだろうか……』そう心配しながら、ジルベルトが何を言うのだろうかと言葉を待った。その時間がとても長く感じて、心臓の音が聞こえるのではないかというほどドキドキと響いている。
「なかなかに良くできているよ」
「本当ですか?」
「ああ。今の段階でここまで考えているのは流石だね。ポーションが完成すれば、この計画書の後半部分がもっと現実的になるだろう」
「この事業を始める時には私からも幾分か出資をしよう。そうだね……稼働してから最初の2年の間にかかった費用は私が出そう」
「叔父様。そんなに……」
「何を言っているんだい?そのくらい安いものだ。もちろん、ベイリーにも話しは通しておくよ。おそらく娘の為だと言って私の支援はいらないと言うだろうけどね」
ニッコリと笑ったジルベルトは自身の甥の事もよくわかっている。この計画書を渡せば、自分の入る隙はなくなるかもしれないと。
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