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第四章

35 回復魔法

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 図書室にある回復魔法に関係する本を読み漁っていたが、少ししか情報は得られなかった。


 ――― 回復魔法が廃れたのは理由があったんだ


  歴史書の中で回復魔法に触れられた箇所を何度も読みながら考えを巡らす。
 


【回復魔法を多用する事により自己免疫能力が落ちることが判明。重症の患者に対する回復魔法に関しては、術者側の魔力量が必要魔力量を超える事が多々あり、術者側の負担が多い。基本的には使用を禁止とするが、魔力量を鑑みてできる範囲の重症者の治療に関しては、この限りではない】
 

 ―――多用のし過ぎで自己免疫力が落ちると、次に怪我や病気になるとまた魔法に頼ることになるのか。重傷者に回復魔法を使って、術者が亡くなったりした?それで禁止になった?でも、回復魔法の詠唱に関しては、どこにも書いてない。何かヒントがあれば、失われた魔法が復活するかも。どこかになにかしら書いてあるはずだから、どこから攻めていこうかな。詠唱することで力が出るのなら、その言葉を調べ出せば突破口になる?


 考えながらも次の手を模索した。


 ―――超回復薬みたいのってどうしてないんだろう?薬の概念がない?いや…そんなこともなかったな。


 回復薬がない事も気になった。魔法のある世界で魔物もいるのに、どうしてこの分野が発展していないのだろうかと不思議に思う。そう考えると色々な物が作れるのではないかという考えが鎌首をもたげる。


 ―――この世界、変えてやる!……なんて大層なことはできないけど、作れるものは作ってみようかな。


 そんなことを考えながら、何があって何がないのか、何があれば便利なんかを考え始めた。
 
 10歳になり、ここ数年で色々なことに挑戦してきたなと思いながらも、まだまだ満足しきれず、春の訪れとともに行動を開始しようかと考えながら冬の間に書きためたことを読み返していた。


「冬も終わったし、そろそろ動こうかな」


 窓の外を見ながら、この先、どれから始めようかと考えた。


 ―――体力をつけるのはカイラードお兄様との練習でカバーできるけど、薬草とかは誰かに聞いた方が確実よね…誰に頼もうかな?





  魔法の勉強をしている時間に、キリがいいからといつもより早い時間に授業は終わり「何か聞きたいことはある?」とジルベルトに聞かれたので、回復魔法について聞いてみた。
 自分の考察が間違っていなかったのか確認することも理由だったが、何か知っていることがあるのかと思ったのだ。そして、薬草のことやポーションのことも調べたかったのだ。

 
「叔父様。回復魔法については何かご存じですか?」

「回復魔法…かい?」

「はい。私の記憶ではここには軽度の怪我を治す以外の回復魔法の類、それに劇的に効く薬も存在しないと」

「そうだね。回復魔法は遥か昔に途絶えている。それにクラウディアが考えているような薬もないな」

「そう…ですか…」

「それを…復活させたい。作りたい。といったところかな?」


 図星を付かれて目を見開いた。


「…できると思いますか?」

「できない……ということはないだろうね。昔の記録を探せば何か見つかる可能性はあるだろう。古い医療関係者の手記などに記述がないか、私の方で探してみよう」 


 ジルベルトは早速知り合いに手紙を書き始めた。仕事柄、医療関係者には知り合いが多いようでその返事が楽しみになる。
 だが、軽度の怪我なら治す回復魔法があるのならば、その上位魔法を使えるようになればいいのだと考えた。他の魔力での下位魔法と上位魔法の違いを調べれば発動条件がわかるかもしれないと色々と考えてみた。



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