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第一章
9 クラウとフィオナ
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「ねえクラウ?この絵はなに?」
「どれ?これね、ゆめの中に出てきたのよ。すごーく高いたてものなんだけど、わたしもよくわからない」
そう言って二人で顔を見合わせて笑った。
クラウディアと一緒にいるのは、フィオナ・リオ・グレイシアで鮮やかなコバルトブルーの髪に、愛らしいローズピンクの瞳をしているグレイシア家の長女でクラウディアとは同じ年だ。
「クラウ。エレン、寝ちゃったね」
遊び疲れたのか、フィオナの妹のエレンはソファーに座ったまま寝てしまった。エレンもまだ四歳なのだから、そろそろお昼寝の時間なのかもしれない。
エレンもまたフィオナに似た愛らしい顔をしているが、寝ているのでその瞳は見えない。きっと姉と似たローズピンクの可愛い瞳だろう。髪の色もフィオナより少し淡い色だが、それはエレンに良く似合っていた。
「ねぇ、クラウ。一緒にお花を見に行かない?今ね、お庭にたくさん咲いてるのよ」
眠ったままのエレンを侍女に任せて、フィオナはクラウディアと一緒に庭へ向かった。
「クラウはどんなお花が好き?私はね、青いアネモネが好きなの」
「アネモネ?」
「うん。私の髪の色に似ているのよ。他にも赤とか、白とかあるの。見せてあげる」
そう言ってクラウディアの手を引いて、庭へとのびる廊下を駆けていった。
「クラウー、早くおいでよー」
先に駆けて行ったフィオナが、庭園の入り口で振り返って手を振って、大きな声で呼ぶ。
「まってぇー。はぁはぁ……早いよぉ」
フィオナを追いかけてきたクラウが肩で息をするように「はあはあ」と荒い息遣いになっている。体力のなさがあからさまにわかる。やはり屋敷に籠ったままの生活が影響しているのだろう。
「ここだよ。アネモネのお庭。キレイでしょ」
フィオナの向こう側に広がる色とりどりのアネモネは、クラウディアの想像を超える美しさだった。
「私が好きって言ったら、お母様が庭師に頼んでくれたのよ。ここは私のお庭なの」
クラウディアを連れて花畑の奥へ進んで行くと、そこには小さな白いガゼボがあった。
そこに座って周りを見ると、まるで森の中のお花畑にいるような、そんな夢のような世界が目の前に広がっている。
「ここね、お気に入りの場所なの。家から見えないし、お勉強をやりたくないときによくここで隠れてるのよ」
悪戯っ子のようにフィオナが笑い、つられるようにクラウディアも笑った。
花を摘んで花冠や指輪を作り、おしゃべりを楽しんでいた二人だったが、そこにフィオナを呼びに来た侍女から声をかけられる。
「フィオナ様。お父様が会場の方へ来るようにとのことです」
そろそろお披露目会も終盤になるので、一度顔を出すようにとのことらしく、フィオナは嫌そうな表情を浮かべて立ち上がった。
「クラウ。すぐ戻ってくるから待っていてね」
「うん。待ってるね」
フィオナが侍女と一緒に屋敷の方へと歩いていく後姿を見送りながらガセボの中へ戻った。
その静かな空間は小さな女の子が眠りにつくにはちょうどいいようで、クラウディアは気が付くと花に囲まれ夢の世界へと引き込まれていた。
「どれ?これね、ゆめの中に出てきたのよ。すごーく高いたてものなんだけど、わたしもよくわからない」
そう言って二人で顔を見合わせて笑った。
クラウディアと一緒にいるのは、フィオナ・リオ・グレイシアで鮮やかなコバルトブルーの髪に、愛らしいローズピンクの瞳をしているグレイシア家の長女でクラウディアとは同じ年だ。
「クラウ。エレン、寝ちゃったね」
遊び疲れたのか、フィオナの妹のエレンはソファーに座ったまま寝てしまった。エレンもまだ四歳なのだから、そろそろお昼寝の時間なのかもしれない。
エレンもまたフィオナに似た愛らしい顔をしているが、寝ているのでその瞳は見えない。きっと姉と似たローズピンクの可愛い瞳だろう。髪の色もフィオナより少し淡い色だが、それはエレンに良く似合っていた。
「ねぇ、クラウ。一緒にお花を見に行かない?今ね、お庭にたくさん咲いてるのよ」
眠ったままのエレンを侍女に任せて、フィオナはクラウディアと一緒に庭へ向かった。
「クラウはどんなお花が好き?私はね、青いアネモネが好きなの」
「アネモネ?」
「うん。私の髪の色に似ているのよ。他にも赤とか、白とかあるの。見せてあげる」
そう言ってクラウディアの手を引いて、庭へとのびる廊下を駆けていった。
「クラウー、早くおいでよー」
先に駆けて行ったフィオナが、庭園の入り口で振り返って手を振って、大きな声で呼ぶ。
「まってぇー。はぁはぁ……早いよぉ」
フィオナを追いかけてきたクラウが肩で息をするように「はあはあ」と荒い息遣いになっている。体力のなさがあからさまにわかる。やはり屋敷に籠ったままの生活が影響しているのだろう。
「ここだよ。アネモネのお庭。キレイでしょ」
フィオナの向こう側に広がる色とりどりのアネモネは、クラウディアの想像を超える美しさだった。
「私が好きって言ったら、お母様が庭師に頼んでくれたのよ。ここは私のお庭なの」
クラウディアを連れて花畑の奥へ進んで行くと、そこには小さな白いガゼボがあった。
そこに座って周りを見ると、まるで森の中のお花畑にいるような、そんな夢のような世界が目の前に広がっている。
「ここね、お気に入りの場所なの。家から見えないし、お勉強をやりたくないときによくここで隠れてるのよ」
悪戯っ子のようにフィオナが笑い、つられるようにクラウディアも笑った。
花を摘んで花冠や指輪を作り、おしゃべりを楽しんでいた二人だったが、そこにフィオナを呼びに来た侍女から声をかけられる。
「フィオナ様。お父様が会場の方へ来るようにとのことです」
そろそろお披露目会も終盤になるので、一度顔を出すようにとのことらしく、フィオナは嫌そうな表情を浮かべて立ち上がった。
「クラウ。すぐ戻ってくるから待っていてね」
「うん。待ってるね」
フィオナが侍女と一緒に屋敷の方へと歩いていく後姿を見送りながらガセボの中へ戻った。
その静かな空間は小さな女の子が眠りにつくにはちょうどいいようで、クラウディアは気が付くと花に囲まれ夢の世界へと引き込まれていた。
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