38 / 41
37:マクシミリアン side
しおりを挟む
明け方、昨晩のことを思い出し、俺の腕の中で眠りについているリディを抱きしめる腕に力が入った。
彼女の甘い声が、何度も喘いだその嬌声が思い出され、俺のものだという独占欲が湧いてくる。抱きしめる腕のぬくもりに、それが夢ではなかったと確認した。
しかし、初めての彼女に対してやりすぎた感が否めず、文句を言われることは覚悟した。だが、自分の気持ちを自覚してしまった以上、止めることはできなかった。
できることなら、もっとリディと繋がっていたい。そう思うのは仕方ないだろう。
空が白み始め、部屋の中に太陽の光が差し込み始める時間。
腕の中で眠っていたリディが身動ぎをした。起きようとしているのか?
眠ったふりをしてそのまま様子を観察していると、もぞもぞしていた動きがピタッと止まった。
そして腕の力を少し抜いてやると、その狭い空間で背中を向けていた彼女がこちら側をむいて「どうして…?」と呟いた。もしかして、酔っていて記憶がないのだろうか。しかし、そんなに飲んでいた記憶はないのだが、お酒に弱いのか。
俺は今起きたように腕に力を込めて抱きしめ、彼女の名を呼んだ。
「起きたのか?リディ」
「マ……マックス?」
「おはよう、俺のリディ。愛してるよ」
起きている彼女にそう伝えた。初めて伝えるその言葉に顔を真っ赤にして狼狽えている様子が見て取れた。
俺の前ではいつも冷静に、何事にも興味がないという態度しかとらなかった彼女が、明らかに動揺している。
「なんで……だって、マックスは白い結婚だって言って契約…したわよね」
「ああ、それについては謝らせてほしい。すまない」
「すまないって……」
「その契約を破棄したい。俺は、リディと本当の夫婦として寄り添っていきたい。リディが俺に対して何の気持ちもないことは理解しているつもりだ。だが、昨日は君への想いが止められなかった」
「だって、マックスは……」
「確かに、リディと結婚したときは義母に…ヴィレンヌに想いがあったのは確かだ。だが、今はもう違う。君に覚られてからというもの、リディのことしか考えていなかった。そしてあの舞踏会で君の姿を見て、正直焦った。いつか俺と別れた時、リディの手を取る男がいると思うと我慢できなくなった」
「気持ちを自覚して一夜を共にした以上、もう遠慮はしない。リディに俺を好きになってもらうように努力する。でも……」
「でも……?」
「昨日の夜の様子だと、俺のことは嫌いじゃないと思ってもいいのだろう?あんなに積極的に……」
「あぁぁぁぁ!言わないで!」
顔を赤くして手で俺の口を押さえるリディが可愛すぎて、その手のひらをペロッと舐めた。するとさらに顔を真っ赤にして「何するの」と抗議する顔がまた可愛くて、そのまま彼女を抱きしめて口付けをした。
「遠慮しないって言っただろう?」
俺は高ぶる気持ちを彼女にぶつけるように、また、彼女と繋がった。
アルコールの抜けた彼女は昨日とは違い、恥じらいからか、逃げようとさえする。そんな姿に俺の嗜虐心が刺激され、彼女を啼かせたいという思いが湧き出てくる。自身もまた彼女と交わることが気持ちよすぎて抜け出す事が出来なかった。
気が付くと、また幾度も彼女を絶頂へと追いやってしまっていた。
そして俺は、腕の中で気を失うように横になる彼女の温もりを抱きながら、彼女に対して気が咎めた。
俺は獣か……
彼女の甘い声が、何度も喘いだその嬌声が思い出され、俺のものだという独占欲が湧いてくる。抱きしめる腕のぬくもりに、それが夢ではなかったと確認した。
しかし、初めての彼女に対してやりすぎた感が否めず、文句を言われることは覚悟した。だが、自分の気持ちを自覚してしまった以上、止めることはできなかった。
できることなら、もっとリディと繋がっていたい。そう思うのは仕方ないだろう。
空が白み始め、部屋の中に太陽の光が差し込み始める時間。
腕の中で眠っていたリディが身動ぎをした。起きようとしているのか?
眠ったふりをしてそのまま様子を観察していると、もぞもぞしていた動きがピタッと止まった。
そして腕の力を少し抜いてやると、その狭い空間で背中を向けていた彼女がこちら側をむいて「どうして…?」と呟いた。もしかして、酔っていて記憶がないのだろうか。しかし、そんなに飲んでいた記憶はないのだが、お酒に弱いのか。
俺は今起きたように腕に力を込めて抱きしめ、彼女の名を呼んだ。
「起きたのか?リディ」
「マ……マックス?」
「おはよう、俺のリディ。愛してるよ」
起きている彼女にそう伝えた。初めて伝えるその言葉に顔を真っ赤にして狼狽えている様子が見て取れた。
俺の前ではいつも冷静に、何事にも興味がないという態度しかとらなかった彼女が、明らかに動揺している。
「なんで……だって、マックスは白い結婚だって言って契約…したわよね」
「ああ、それについては謝らせてほしい。すまない」
「すまないって……」
「その契約を破棄したい。俺は、リディと本当の夫婦として寄り添っていきたい。リディが俺に対して何の気持ちもないことは理解しているつもりだ。だが、昨日は君への想いが止められなかった」
「だって、マックスは……」
「確かに、リディと結婚したときは義母に…ヴィレンヌに想いがあったのは確かだ。だが、今はもう違う。君に覚られてからというもの、リディのことしか考えていなかった。そしてあの舞踏会で君の姿を見て、正直焦った。いつか俺と別れた時、リディの手を取る男がいると思うと我慢できなくなった」
「気持ちを自覚して一夜を共にした以上、もう遠慮はしない。リディに俺を好きになってもらうように努力する。でも……」
「でも……?」
「昨日の夜の様子だと、俺のことは嫌いじゃないと思ってもいいのだろう?あんなに積極的に……」
「あぁぁぁぁ!言わないで!」
顔を赤くして手で俺の口を押さえるリディが可愛すぎて、その手のひらをペロッと舐めた。するとさらに顔を真っ赤にして「何するの」と抗議する顔がまた可愛くて、そのまま彼女を抱きしめて口付けをした。
「遠慮しないって言っただろう?」
俺は高ぶる気持ちを彼女にぶつけるように、また、彼女と繋がった。
アルコールの抜けた彼女は昨日とは違い、恥じらいからか、逃げようとさえする。そんな姿に俺の嗜虐心が刺激され、彼女を啼かせたいという思いが湧き出てくる。自身もまた彼女と交わることが気持ちよすぎて抜け出す事が出来なかった。
気が付くと、また幾度も彼女を絶頂へと追いやってしまっていた。
そして俺は、腕の中で気を失うように横になる彼女の温もりを抱きながら、彼女に対して気が咎めた。
俺は獣か……
266
お気に入りに追加
1,385
あなたにおすすめの小説
【完結】憧れの人の元へ望まれて嫁いだはずなのに「君じゃない」と言われました
Rohdea
恋愛
特別、目立つ存在でもないうえに、結婚適齢期が少し過ぎてしまっていた、
伯爵令嬢のマーゴット。
そんな彼女の元に、憧れの公爵令息ナイジェルの家から求婚の手紙が……
戸惑いはあったものの、ナイジェルが強く自分を望んでくれている様子だった為、
その話を受けて嫁ぐ決意をしたマーゴット。
しかし、いざ彼の元に嫁いでみると……
「君じゃない」
とある勘違いと誤解により、
彼が本当に望んでいたのは自分ではなかったことを知った────……
【完結】没落寸前の貧乏令嬢、お飾りの妻が欲しかったらしい旦那様と白い結婚をしましたら
Rohdea
恋愛
婚期を逃し、没落寸前の貧乏男爵令嬢のアリスは、
ある日、父親から結婚相手を紹介される。
そのお相手は、この国の王女殿下の護衛騎士だったギルバート。
彼は最近、とある事情で王女の護衛騎士を辞めて実家の爵位を継いでいた。
そんな彼が何故、借金の肩代わりをしてまで私と結婚を……?
と思ったら、
どうやら、彼は“お飾りの妻”を求めていたらしい。
(なるほど……そういう事だったのね)
彼の事情を理解した(つもり)のアリスは、その結婚を受け入れる事にした。
そうして始まった二人の“白い結婚”生活……これは思っていたよりうまくいっている?
と、思ったものの、
何故かギルバートの元、主人でもあり、
彼の想い人である(はずの)王女殿下が妙な動きをし始めて……
【完結】どうやら転生先は、いずれ離縁される“予定”のお飾り妻のようです
Rohdea
恋愛
伯爵夫人になったばかりのコレットは、結婚式の夜に頭を打って倒れてしまう。
目が覚めた後に思い出したのは、この世界が前世で少しだけ読んだことのある小説の世界で、
今の自分、コレットはいずれ夫に離縁される予定の伯爵夫人という事実だった。
(詰んだ!)
そう。この小説は、
若き伯爵、カイザルにはずっと妻にしたいと願うほどの好きな女性がいて、
伯爵夫人となったコレットはその事実を初夜になって初めて聞かされ、
自分が爵位継承の為だけのお飾り妻として娶られたこと、カイザルがいずれ離縁するつもりでいることを知る───……
というストーリー……
───だったはず、よね?
(どうしよう……私、この話の結末を知らないわ!)
離縁っていつなの? その後の自分はどうなるの!?
……もう、結婚しちゃったじゃないの!
(どうせ、捨てられるなら好きに生きてもいい?)
そうして始まった転生者のはずなのに全く未来が分からない、
離縁される予定のコレットの伯爵夫人生活は───……
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
必要ないと言われたので、元の日常に戻ります
黒木 楓
恋愛
私エレナは、3年間城で新たな聖女として暮らすも、突如「聖女は必要ない」と言われてしまう。
前の聖女の人は必死にルドロス国に加護を与えていたようで、私は魔力があるから問題なく加護を与えていた。
その違いから、「もう加護がなくても大丈夫だ」と思われたようで、私を追い出したいらしい。
森の中にある家で暮らしていた私は元の日常に戻り、国の異変を確認しながら過ごすことにする。
数日後――私の忠告通り、加護を失ったルドロス国は凶暴なモンスターによる被害を受け始める。
そして「助けてくれ」と城に居た人が何度も頼みに来るけど、私は動く気がなかった。
契約結婚の終わりの花が咲きます、旦那様
日室千種・ちぐ
恋愛
エブリスタ新星ファンタジーコンテストで佳作をいただいた作品を、講評を参考に全体的に手直ししました。
春を告げるラクサの花が咲いたら、この契約結婚は終わり。
夫は他の女性を追いかけて家に帰らない。私はそれに傷つきながらも、夫の弱みにつけ込んで結婚した罪悪感から、なかば諦めていた。体を弱らせながらも、寄り添ってくれる老医師に夫への想いを語り聞かせて、前を向こうとしていたのに。繰り返す女の悪夢に少しずつ壊れた私は、ついにある時、ラクサの花を咲かせてしまう――。
真実とは。老医師の決断とは。
愛する人に別れを告げられることを恐れる妻と、妻を愛していたのに契約結婚を申し出てしまった夫。悪しき魔女に掻き回された夫婦が絆を見つめ直すお話。
全十二話。完結しています。
婚約者の心の声が聞こえるようになったけど、私より妹の方がいいらしい
今川幸乃
恋愛
父の再婚で新しい母や妹が出来た公爵令嬢のエレナは継母オードリーや義妹マリーに苛められていた。
父もオードリーに情が移っており、家の中は敵ばかり。
そんなエレナが唯一気を許せるのは婚約相手のオリバーだけだった。
しかしある日、優しい婚約者だと思っていたオリバーの心の声が聞こえてしまう。
”またエレナと話すのか、面倒だな。早くマリーと会いたいけど隠すの面倒くさいな”
失意のうちに街を駆けまわったエレナは街で少し不思議な青年と出会い、親しくなる。
実は彼はお忍びで街をうろうろしていた王子ルインであった。
オリバーはマリーと結ばれるため、エレナに婚約破棄を宣言する。
その後ルインと正式に結ばれたエレナとは裏腹に、オリバーとマリーは浮気やエレナへのいじめが露見し、貴族社会で孤立していくのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる