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37:マクシミリアン side

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 明け方、昨晩のことを思い出し、俺の腕の中で眠りについているリディを抱きしめる腕に力が入った。

 彼女の甘い声が、何度も喘いだその嬌声が思い出され、俺のものだという独占欲が湧いてくる。抱きしめる腕のぬくもりに、それが夢ではなかったと確認した。


 しかし、初めての彼女に対してやりすぎた感が否めず、文句を言われることは覚悟した。だが、自分の気持ちを自覚してしまった以上、止めることはできなかった。

 できることなら、もっとリディと繋がっていたい。そう思うのは仕方ないだろう。



 空が白み始め、部屋の中に太陽の光が差し込み始める時間。
 腕の中で眠っていたリディが身動ぎをした。起きようとしているのか?

 眠ったふりをしてそのまま様子を観察していると、もぞもぞしていた動きがピタッと止まった。

 そして腕の力を少し抜いてやると、その狭い空間で背中を向けていた彼女がこちら側をむいて「どうして…?」と呟いた。もしかして、酔っていて記憶がないのだろうか。しかし、そんなに飲んでいた記憶はないのだが、お酒に弱いのか。


 俺は今起きたように腕に力を込めて抱きしめ、彼女の名を呼んだ。



「起きたのか?リディ」

「マ……マックス?」

「おはよう、俺のリディ。愛してるよ」


 起きている彼女にそう伝えた。初めて伝えるその言葉に顔を真っ赤にして狼狽えている様子が見て取れた。
 俺の前ではいつも冷静に、何事にも興味がないという態度しかとらなかった彼女が、明らかに動揺している。


「なんで……だって、マックスは白い結婚だって言って契約…したわよね」

「ああ、それについては謝らせてほしい。すまない」

「すまないって……」

「その契約を破棄したい。俺は、リディと本当の夫婦として寄り添っていきたい。リディが俺に対して何の気持ちもないことは理解しているつもりだ。だが、昨日は君への想いが止められなかった」

「だって、マックスは……」

「確かに、リディと結婚したときは義母に…ヴィレンヌに想いがあったのは確かだ。だが、今はもう違う。君にさとられてからというもの、リディのことしか考えていなかった。そしてあの舞踏会で君の姿を見て、正直焦った。いつか俺と別れた時、リディの手を取る男がいると思うと我慢できなくなった」

「気持ちを自覚して一夜を共にした以上、もう遠慮はしない。リディに俺を好きになってもらうように努力する。でも……」

「でも……?」

「昨日の夜の様子だと、俺のことは嫌いじゃないと思ってもいいのだろう?あんなに積極的に……」

「あぁぁぁぁ!言わないで!」


 顔を赤くして手で俺の口を押さえるリディが可愛すぎて、その手のひらをペロッと舐めた。するとさらに顔を真っ赤にして「何するの」と抗議する顔がまた可愛くて、そのまま彼女を抱きしめて口付けをした。


「遠慮しないって言っただろう?」


 俺は高ぶる気持ちを彼女にぶつけるように、また、彼女と繋がった。

 アルコールの抜けた彼女は昨日とは違い、恥じらいからか、逃げようとさえする。そんな姿に俺の嗜虐心が刺激され、彼女を啼かせたいという思いが湧き出てくる。自身もまた彼女と交わることが気持ちよすぎて抜け出す事が出来なかった。

 気が付くと、また幾度も彼女を絶頂へと追いやってしまっていた。
 そして俺は、腕の中で気を失うように横になる彼女の温もりを抱きながら、彼女に対して気が咎めた。



 俺は獣か……
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