【完結】令嬢憧れの騎士様に結婚を申し込まれました。でも利害一致の契約です。

３３

「じゃあ、説明をしてもらおうか？リディ」


　ソファーに座った私の横に、なぜかマックスが座る。

　そしてしっかりと腰に手を回して、私が動けないようにがっしりと力が込められている。彼の綺麗な顔が俯いている私の顔を下から覗き込むようにして、不気味な微笑みを浮かべている。

　普通、前に座るでしょ？怖いんですけど。その微笑みは違う意味で破壊力抜群なんですけど。

　あぁ……公爵家を追い出されたらイザベラの店で働こう。
　もう覚悟を決めて、全て吐いたほうがいいかな……


「ここ、私の店なの……」

「は？リディの店？」

「そうよ。結婚する前から計画はしてたの。でも、名前は出してないわ。ナイアスに全て任せてあるから」

「ナイアスってさっきの男か？」

「そうよ。他のみんなと一緒に雇い入れたんだけど、実家が接客業らしくて店長を任せたの」

「それで、その服と髪はどうしたんだ？」

「店のお客さんたちの話を聞いて、流行っているものを聞いたりお菓子の感想を聞いたりするのにいいかなって。でも私だってわからないほうがいいから、友達に協力してもらったのよ」

「友達って……ああ、イザベラ嬢か」

「どうしてそれを……あっ、ランバンね」


　ランバンが私の行動を報告していると聞いていたから推測で導き出したのだろう。ラ・シュエットに顔を出してからレ・グランに顔を出しているのだから。


「君は……次期公爵夫人だろう？どうしてこんなことを」

「なりたくてなった訳じゃないわ。マックスだって知ってるじゃない。私は結婚する気なんてなかったって。それに私のすることに干渉しないって契約でしょ？好きなことしてもいいんでしょ？今の今まで誰も私だって気が付いてなかったじゃない」

「それは……だが、何があるかわからないだろう。色々な人間が出入りするんだ。君に何かあったらどうする」

「私に何かあっても、あなたには関係ないわ！それに、もう私がいなくてもいいでしょ？一度結婚したわけだし、私がいなくても、もう何も言われないわよ。公爵家に相応しくないなら、追い出せばいいじゃない。そうね、出ていくわ。もう用済みよね」


　言いたいことも言ったけど、それについてはマックスは納得してないのか、その表情は固い。めんどくさい。


「だめだ！出ていくなんて許さない。帰るぞ」

「……」

「言いたいことがあるなら、屋敷に戻ってから聞く。いいな」


　……どうして？？