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バレた……?でも…どうしてわかるの?
胡麻化そうと言葉を濁そうとしたけれど、どうやらマックスは確信があるようで私を見る目には力強い光がともっている。
「ランバンたちはどうしたんだ?」
「あの……上に…います」
いつもここで変装している時間は、この建物の二階で待っていてもらっている。二階はいずれは落ち着いた雰囲気で男性向けのカフェを展開しようと思い、内装だけは仕上げていたのだ。そしてランバンとバーナードはそこで待機している。マーサは何かあった時の用心の為に屋敷で待っている。
「リディ……二階?じゃあ、そこでじっくりと話を聞かせてもらおうか」
「え……はい…わかりました……」
ナイアスに後を頼んでマックスを二階へと案内する。多分、二階の扉を開けた瞬間に、ランバンたちは凍り付くだろう。
でも、どうして私だとわかったんだろう。いや、それ以前に、どうしてこの店に来たのかがわからない。
これから何を聞かれるのか、どんな処分があるのかなんて一つも考えずに、そんなことばかり思い浮かぶ。
階段を一歩一歩踏みしめるごとに、ドキ、ドキと心臓が痛い。
あぁ、逃げ出したい。
私はもう公爵家から追い出されるのだろうなぁ……
二階の扉をノックすると、ランバンが扉を開ける。そして、思っていた通り、マックスの顔を見て凍り付いた。もちろんバーナードも一緒だ。
「マクシミリアン様……」
「二人とも、今すぐ屋敷へ戻れ。リディは俺が連れていく」
「はい」
二人は私に一瞬視線を向けたが、素早い動きで階段を降りて行ってしまった。
ああ、私の味方がぁぁ……
これから、地獄の尋問が始まるのね……
私の頭の中には逃げられない、逃げたい、その二つの言葉がグルグルと回り続けていた。
胡麻化そうと言葉を濁そうとしたけれど、どうやらマックスは確信があるようで私を見る目には力強い光がともっている。
「ランバンたちはどうしたんだ?」
「あの……上に…います」
いつもここで変装している時間は、この建物の二階で待っていてもらっている。二階はいずれは落ち着いた雰囲気で男性向けのカフェを展開しようと思い、内装だけは仕上げていたのだ。そしてランバンとバーナードはそこで待機している。マーサは何かあった時の用心の為に屋敷で待っている。
「リディ……二階?じゃあ、そこでじっくりと話を聞かせてもらおうか」
「え……はい…わかりました……」
ナイアスに後を頼んでマックスを二階へと案内する。多分、二階の扉を開けた瞬間に、ランバンたちは凍り付くだろう。
でも、どうして私だとわかったんだろう。いや、それ以前に、どうしてこの店に来たのかがわからない。
これから何を聞かれるのか、どんな処分があるのかなんて一つも考えずに、そんなことばかり思い浮かぶ。
階段を一歩一歩踏みしめるごとに、ドキ、ドキと心臓が痛い。
あぁ、逃げ出したい。
私はもう公爵家から追い出されるのだろうなぁ……
二階の扉をノックすると、ランバンが扉を開ける。そして、思っていた通り、マックスの顔を見て凍り付いた。もちろんバーナードも一緒だ。
「マクシミリアン様……」
「二人とも、今すぐ屋敷へ戻れ。リディは俺が連れていく」
「はい」
二人は私に一瞬視線を向けたが、素早い動きで階段を降りて行ってしまった。
ああ、私の味方がぁぁ……
これから、地獄の尋問が始まるのね……
私の頭の中には逃げられない、逃げたい、その二つの言葉がグルグルと回り続けていた。
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