【完結】令嬢憧れの騎士様に結婚を申し込まれました。でも利害一致の契約です。

稲垣桜

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 そして、この日はレ・グランのお菓子を大量に持って孤児院へと行った。

 前に焼き菓子を持ってきたときにあの可愛い目を輝かせ「食べていいの?」と聞いてくる子供たちをまた見たくて、今回は試作品で大量に作ってしまったケーキも一緒に持ってきたのよね。
 孤児院の子供たちはケーキを初めて見る子も多いだろうけど、このことが生きる為の原動力になるなら安いものだ。そう、公爵家にとっては微々たる、本当に微々たる出費だ。


 子供たちに見送られて屋敷へと戻った私は、今日の可愛い子供たちの表情を思い出して、幸せに浸っていた。だって、純粋な子供と触れ合えるって、こんなに幸せなことだとは思わなかったものね。
 領地にも孤児院はあるはずだし、一度顔を出してみようかな?でも、領地に行くことなんてないから、義母にお願いしておこうか。
 顔を合わせた時に頼もう。


 じゃあ、明日はレ・グランに行って、子供たちの様子を伝えてこなきゃな。
 みんなもきっと顔を見たいって言うだろうな。そうしたら、バザーの時にでも焼き菓子を出品するのもいいだろう。


 公爵家の人間としての品質維持費みたいな予算も多くて使いきれない分、寄付に回すこともできるし。

 マックスと結婚して、こんなところにお金が使えるのは良かった事だな。
 しかし、社交をしなくていいというけれど、対外的に私の立場はどんな感じなんだろう。一度聞いてみたいものだ。

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