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「はぁぁぁぁぁ……」
ラ・シュエットについて、店の奥の控室で盛大にため息を吐いた。そんな私を見て、イザベラは面白そうなことになってると考えているだろう顔で私を見ている。
「もう、イザベラったらそんな顔で見ないでよ」
「ふふっ、昨日の舞踏会、さっさと帰ったから何かあったんじゃないかって思ったけど」
「なによ」
「二人が帰った後にさぁ、リディの美貌も周知されたから、あの参加者達の視線にあんたの旦那が悋気を起こして三曲も踊ったんじゃないかって言う話が出たんだよ」
「はぁぁ?何それ」
何が美貌なんだか、誰が悋気だか、イザベラがわけわかんない事を言い始めたので、思わず怪訝そうに返事を返したが、彼女の浮かべる表情は冗談を言っているようには見えない。
しかし、面白がっているのは長年の付き合いだからよく分かった。でも今回は彼女の推測は間違っているだろうな。
「マックスが悋気を?ないない。あの人には本命がいるもん」
「ああ、そうだったね。契約結婚だっけ」
彼女には結婚後、早々に見破られ問い詰められたんだよね。婚約段階で疑ってたらしいけど、結婚後の私の生活態度でピンときたらしい。
でも、誰にも話すこともなくいてくれるのはやはり一番の親友だわ。
「そうよ。それなのにあんなこと……」
昨日の口付けを思い出して顔に熱が集まるのがわかり、手元に合ったクッションに顔を埋めた。
「でもさぁ、昔から思ってたけど、リディは素がいいんだから本気出せばそこらの令嬢なんて足元にも及ばないんだよ。昨日の自分の姿、見たでしょ?」
「だって、面倒じゃない。昨日はみんなが頑張ってくれたから底上げできたけど、いつもやってられないわ」
「リディらしいね。でも、マクシミリアン様もリディの本当の姿に気が付いたから、惚れられるんじゃないの?」
楽しそうにコロコロと笑うイザベラを横目に、頼んでおいたものを出してもらった。
以前から、レ・グランで従業員をお揃いの制服で揃えたいと思っていて、先月にそのデザインも終え完成していたのを一着、取っておいてもらったのだ。もちろん、自分用に。
店ではもう着用が始まっているので、紛れても違和感はないだろうとある計画を考えていたのだ。
ラ・シュエットについて、店の奥の控室で盛大にため息を吐いた。そんな私を見て、イザベラは面白そうなことになってると考えているだろう顔で私を見ている。
「もう、イザベラったらそんな顔で見ないでよ」
「ふふっ、昨日の舞踏会、さっさと帰ったから何かあったんじゃないかって思ったけど」
「なによ」
「二人が帰った後にさぁ、リディの美貌も周知されたから、あの参加者達の視線にあんたの旦那が悋気を起こして三曲も踊ったんじゃないかって言う話が出たんだよ」
「はぁぁ?何それ」
何が美貌なんだか、誰が悋気だか、イザベラがわけわかんない事を言い始めたので、思わず怪訝そうに返事を返したが、彼女の浮かべる表情は冗談を言っているようには見えない。
しかし、面白がっているのは長年の付き合いだからよく分かった。でも今回は彼女の推測は間違っているだろうな。
「マックスが悋気を?ないない。あの人には本命がいるもん」
「ああ、そうだったね。契約結婚だっけ」
彼女には結婚後、早々に見破られ問い詰められたんだよね。婚約段階で疑ってたらしいけど、結婚後の私の生活態度でピンときたらしい。
でも、誰にも話すこともなくいてくれるのはやはり一番の親友だわ。
「そうよ。それなのにあんなこと……」
昨日の口付けを思い出して顔に熱が集まるのがわかり、手元に合ったクッションに顔を埋めた。
「でもさぁ、昔から思ってたけど、リディは素がいいんだから本気出せばそこらの令嬢なんて足元にも及ばないんだよ。昨日の自分の姿、見たでしょ?」
「だって、面倒じゃない。昨日はみんなが頑張ってくれたから底上げできたけど、いつもやってられないわ」
「リディらしいね。でも、マクシミリアン様もリディの本当の姿に気が付いたから、惚れられるんじゃないの?」
楽しそうにコロコロと笑うイザベラを横目に、頼んでおいたものを出してもらった。
以前から、レ・グランで従業員をお揃いの制服で揃えたいと思っていて、先月にそのデザインも終え完成していたのを一着、取っておいてもらったのだ。もちろん、自分用に。
店ではもう着用が始まっているので、紛れても違和感はないだろうとある計画を考えていたのだ。
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