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16:マクシミリアン side

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 翌週になって親に紹介したのはいいが、ヴィレンヌの喜んでいる顔とクソ親父の勝ち誇ったような顔を見て何とも言えない気持ちになるが何とか表面上を取り繕った。

 ウェズリーズ伯爵夫妻は『本当にリディアでよいのか』と何度も確認をしていた。やはり適齢期を過ぎた子供を持つ親はこんなものなのかもしれない。


 結婚式も簡素に終わらせ、住む場所も離れにしたためにクソ親父にもヴィレンヌにもそんなに顔を合わせることはないのがせめてもの救いかもしれない。尚且つ、結婚式後に領地へ視察に行ったので、なおのこと気を使わなくてもいいことに安堵した。

 
 そしてリディアは、最初に契約書を交わした通り必要最低限の社交のみをこなし、空いている時間は何をしているのか知らないが、精力的に出かけたりしているらしい。
 護衛騎士からの報告では、町のカフェに行ったり、友人の店に顔を出したりしているとのことで特に心配する必要はなさそうだ。

 一応、契約とはいえ公爵家の一員の自覚はあるようだ。



 それが先日、ヴィレンヌが領地から帰ってきてリディアとお茶をしていると聞いてその場に向かった。そしてリディアの離席中に、ヴィレンヌと二人だけで話す事が出来た。
 あのクソ親父のいない貴重な時間だ。彼女の声を聞き、彼女の笑顔を見て久しぶりに幸せな感じに包まれた。その時にリディアが戻ってきて、俺を見る彼女の表情を見てもしかしてこの想いを気付かれたのかと一抹の不安に駆られた。


 しかし、そのまま彼女は約束があると出掛けてしまい、実際に気が付いているのかの確認を取れない。そして夕方になってもリディアは戻ってこず、どういうわけか彼女がどこへ行き何をしているのか気になって仕方がない。

 夜の帳が降り始めるころにリディアが帰ってきたと報告があり、食事を共にすると伝えてすぐに護衛騎士を呼び、何処へ行っていたか確認を取った。
 いつもの通り友人の店に行ってからカフェで時間を過ごして、もう一度友人の店により帰ってきたとの事だった。

 リディアの行動で一番多いパターンだが、この店の店主の女生徒はリディアと学園に一定期間一緒に通っていた仲のようで、俺からこの話を持ち掛ける前からの付き合いなのであまりうるさくは言わないようにしている。
 干渉しないという約束なのだから、よほどのことがない限りは放っておくつもりだ。


 そしてこの日の夕食時、話をすることにして給仕にすべて置いていくように告げて人払いをした。

 もし契約の事やヴィレンヌの事に話が及ぼうものなら、目も当てられないからだ。

 しかし、彼女の不機嫌そうな顔を見ていると、つい口調がきつくなってしまった。
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