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ここは普通の洋装店ではなく、貴族の令嬢が着なくなったドレスを引き取り、それをリメイクして貸し出すレンタルドレスの店【ラ・シュエット】だ。
この国の学園は優秀であれば平民でも通うことができるが、その割合はまだ少ない。
学園行事では生徒会が主催する舞踏会も開催されていたが、その舞踏会に参加する時にドレスが準備できずに制服を着用する生徒がいることを知って、その友人と考えたのだ。
もちろん学園とは協力体制を取っており、舞踏会時期には優先的に貸し出すようにして生徒に思い出を作る手助けをしている。
ラ・シュエットではドレスのレンタル以外にも、今どきのデザインにリメイクしたものを販売したり、サイズを変えてみたりと色々挑戦している。使えそうにないと判断したものは、布やレースなどに解体して再利用に回している。
今はドレスを処分するなら寄付を…ということを友人たちに話してドレスを調達しているので、元手はそんなにかかってはいない。
一定以上の利益は教会に寄付をし、そこの孤児院の子供たちに裁縫や刺繍を教え、いずれは店で働いてくれればと考えている。
「イザベラ。ひさしぶりー」
「リディア、本当に久しぶりね。あんた、いきなり結婚するから驚いたわよ。しかもあのレヴァント公爵家のイケメン令息でしょ?何か理由があるんだろうなって思ったけどさぁ」
「色々あんのよ」
溜息を付きながらイザベラが勧める椅子に腰を掛ける。
イザベラはマスカッド子爵家の令嬢で、彼女の実家は王国内でも比較的有名な商会を営んでいる。働かなくても十分な資産を持っている子爵家だが、元々が商人気質なのか自分の手で稼ぐことが好きらしい。
「さあ、次期公爵夫人様。私でよければ何でも聞きますわよ」
笑いながらそんなことを言うイザベラ。絶対に面白がってるな。
でも、彼女は必要以上に踏み込んでこないので、話をしても一緒に居ても心地よい。
この国の学園は優秀であれば平民でも通うことができるが、その割合はまだ少ない。
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今はドレスを処分するなら寄付を…ということを友人たちに話してドレスを調達しているので、元手はそんなにかかってはいない。
一定以上の利益は教会に寄付をし、そこの孤児院の子供たちに裁縫や刺繍を教え、いずれは店で働いてくれればと考えている。
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