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偽装結婚 自体、正直言って願ったり叶ったりだが、そんな美味しい話を信じてもいいのだろうか。こんな美男子なら令嬢など選び放題だろうに。
どうして私のような行き遅れで容姿も普通な人間にそんな事を頼むのか理解できない。
「失礼ですが、あなたなら美しくて由緒正しい家柄のお相手がすぐ見つかるでしょう?どうして偽装する必要があるのですか?」
「私は…結婚したくないんだ。ルシアンが『妹は結婚する気がなくて困っている』と言っていてね。それで私と同じ考えの人間なら話も合うんじゃないかと思ってね」
「それに、君なら条件を呑んでくれそうな気がしたんだ」
「条件?ですか」
「ああ、私から愛されようなどとは思わないということだ」
なんだこいつ。
自分に自信があるのか?
まあ確かに、この美しさなら今までにいろいろなことがあっただろうと少なからず想像はできるけど……
まあ、鑑賞のしがいがある顔なのは確かだよね。よくよく聞けば、夫人としての仕事も必要なものだけでいいらしい。しかも月毎に報酬も出してくれるみたいだし、こんな高待遇なら頷くのが正解?
「ご令息の言いたい事はわかりました。では、その申し出、受けましょう」
「本当か?」
「ええ、こちらからの条件を受けていただけるなら…ですが」
「いいだろう。では、条件を話し合おうじゃないか」
そして双方の条件を出し合った。
この事は口外しないようにしっかりと明記され、後は公爵家の名誉を損なうようなことはしない、必要以上に接触しない、くらいかな?
私からは、・私のすることに干渉はしない、・社交はしたくない、くらいだろうか。
他にも細かいことも挙げられていたけど、納得できるものばっかりだった。まあ、大丈夫だろう。
「では、来週の同じ時刻にまたここで。その時に契約書を持ってくるからサインを頼む。今後の予定もその時に話そう。くれぐれも言っておくが、今日の事は家族にも誰にも口外しないように」
「わかりました。では来週に」
どうして私のような行き遅れで容姿も普通な人間にそんな事を頼むのか理解できない。
「失礼ですが、あなたなら美しくて由緒正しい家柄のお相手がすぐ見つかるでしょう?どうして偽装する必要があるのですか?」
「私は…結婚したくないんだ。ルシアンが『妹は結婚する気がなくて困っている』と言っていてね。それで私と同じ考えの人間なら話も合うんじゃないかと思ってね」
「それに、君なら条件を呑んでくれそうな気がしたんだ」
「条件?ですか」
「ああ、私から愛されようなどとは思わないということだ」
なんだこいつ。
自分に自信があるのか?
まあ確かに、この美しさなら今までにいろいろなことがあっただろうと少なからず想像はできるけど……
まあ、鑑賞のしがいがある顔なのは確かだよね。よくよく聞けば、夫人としての仕事も必要なものだけでいいらしい。しかも月毎に報酬も出してくれるみたいだし、こんな高待遇なら頷くのが正解?
「ご令息の言いたい事はわかりました。では、その申し出、受けましょう」
「本当か?」
「ええ、こちらからの条件を受けていただけるなら…ですが」
「いいだろう。では、条件を話し合おうじゃないか」
そして双方の条件を出し合った。
この事は口外しないようにしっかりと明記され、後は公爵家の名誉を損なうようなことはしない、必要以上に接触しない、くらいかな?
私からは、・私のすることに干渉はしない、・社交はしたくない、くらいだろうか。
他にも細かいことも挙げられていたけど、納得できるものばっかりだった。まあ、大丈夫だろう。
「では、来週の同じ時刻にまたここで。その時に契約書を持ってくるからサインを頼む。今後の予定もその時に話そう。くれぐれも言っておくが、今日の事は家族にも誰にも口外しないように」
「わかりました。では来週に」
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