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しおりを挟むある日、町へと出掛けた時にローズマリーと偶然会いました。
ローズマリーはお兄様のブレイク様とご一緒で、兄妹ですがよくお似合いのお二人です。
ヴィルマ侯爵家のご当主様…ローズマリーのご両親はお二人とも美形でお優しそうな方ですから、どちらに似ても注目の的になるのは間違いないですけど、ブレイク様はお父様、ローズマリーはお母様似ですわね。
でも次期宰相との呼び声も高い、宰相補佐のブレイク様とこんなところでお会いするとは思いませんでしたわ。
「君がエリザベス嬢?妹から君の事を聞いて、会ってみたかったんだ」
ブレイク様が私に?ローズマリー…一体何を話したのよ!変なこと言ってないでしょうね。
「安心して、エリー。変なことは言ってないわよ。仲の良い大切な友達だって話してるから」
耳元でコソッとそう言ったローズマリーなんだけど、突然芝居がかった話し方になって「あら?そう言えば私、用事があったのよね。お兄様、エリーと一緒に行ってくださる?」ってブレイク様にそんなことを言ってササっと帰って行ってしまったのよね。
「エリザベス嬢、すまないな。ローズマリーはいつもあんな感じなんだよ」
「いえ、かまいませんがご迷惑ではないですか?」
「いや、こちらこそ悪い。実は後輩が婚約してね。贈り物を選びに来たんだ。ローズマリーに選んでもらおうと思っていたんだが、エリザベス嬢、君に頼んでも良いかな?高価なものではなくて、簡単なものでいいんだ」
「そうですね。では、私で良ければお手伝いしますね」
それから店先に並ぶ品を見ながら、いくつかの店を回り、何が喜ばれそうかを話していたんだけど、どうやらその婚約者の方は甘いものがお好きなのと、可愛いものがお好きらしいので、いつものレモンパイを食べるお店へ行く事に。
「ブレイク様。これなんてどうですか?このクッキー缶なんですけど、中のクッキーに色のついた砂糖で絵が描かれてて、入れ物も選べるんです」
「これは素晴らしいね。これにしようか」
「この落ち着いた柄なら年代問わずですし、こちらのであればお祝い事にぴったりだと思いますよ」
店先でブレイク様と中に入れるクッキーの種類や箱を選んで、準備してもらっている時に、持ち帰りのケースに出来立てのレモンパイが並べられて、思わずじーっと見てしまったのをブレイク様が見てて「食べたい?」って聞かれてしまいました。
「ローズマリー達と、この店によく来るのです。このレモンパイが美味しくて。今日も買って帰るつもりだったんですよ」
そう話すとブレイク様は「じゃあ、そのお薦めのレモンパイを食べて行こうか。選んでくれたお礼に奢らせてくれないか?」って。すっごくイケメンですね。
そして通りの見えるテラス席に案内されて、目の前にはレモンパイと紅茶のセット。そして目の前にはイケメン。なんとも言えない時間です。
「ブレイク様、今日はお休みなんですね?お忙しいと聞いていましたけど」
「宰相殿の補佐は私だけではないし、順に休みを取らないといざという時に対応できなくなるからな。君は、学園生活は楽しいか?ローズマリーがいつも君たちの事を話してくれるが、いつも羨ましくてね」
「羨ましい…ですか?」
「ああ、私も学園が懐かしくてね。今は仕事仕事で楽しい時間がめっきり減ったからな。うん、これは美味いな」
レモンパイを口に入れたブレイク様は、サクサクのパイ生地に少し酸味の効いたレモンクリーム、そしてふわっふわのメレンゲに感動されて、お店の方に持ち帰り分を頼んでいらっしゃいます。
そうですよ。このお店は美味しいんです!
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