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結局、話し合いの末、婚約は続行とすることに決まりました。
でも、婚約の一歩前の仮婚約の時期を設ける事になり、私が婚約を継続できないと判断したら、破棄をするということを了承してもらったのよね。
今回の事で責任を感じたウィローズ公爵家からは、迷惑をかけたという事で本来私が受け取るべき予定だったものを金銭で換算したと、慰謝料を持って謝りに来られたし。
なんでも、リリアンナ様は私という婚約者の存在を知って。ルカ様が私に送った手紙や誕生日や記念日の品を、買収したコゼルス侯爵家の使用人に回収させていたとか。
ただ、その使用人も罪悪感を抱いていたのか、当たり障りのない内容を書いた手紙だけは送っていたようで、私が受け取ったのはルカ様が送った手紙の1割もなかったとか。
その時に私が受け取った、捨てられずに隠されていた手紙の中には、自分を信じてほしいと何度も書かれていて、詳しくは言えないまでも必死にあらがっていたことがその文章から感じることができた。
そしてそれに気が付かなかったコゼルス侯爵家からも、今回の事で私が負った精神的苦痛に対してできることはすると、何でも言ってくれと連絡があった。
ここで婚約解消も出来たけど、私はそうできなかった。
やはり、捨てきれない想いがまだ残っていた。だけど、だからと言って『はいそうですか』といきなり戻れるわけもない。
しばらくは一人で考えたいと、私はルカ様とは会わずゆっくりと過ごすことにした。その間に自分の中の感情と向き合ってみようとしたのだが、なかなかそう簡単にはいかなかった。
学園で過ごした約一年間に見聞きした二人の事を、思っていた以上に心の傷になっていたようで、一人になるとズキズキと胸が痛んだ。
舞踏大会の時に二人の姿を見て気にしないふりをしながらも、やっぱりどこかで気になってた。
こうしてルカ様が目の前に座って、私をジッと見て言葉を紡いでいる姿を見ると、嬉しくもあるし悲しくもあった。
ルカ様は私を想ってくれているのだろうと、彼の目を見ているとちゃんと感じるけど、でも、まだどこかで怖かったりもする。
もうリリアンナ様の事は心配しなくてもいいのかって。
私は何も考えないでルカ様の事だけを信じて行けるのかって。
だから、一人で考えたかった。
学園で、友達と一緒に何も考えずに楽しみたかった。
逃げるのかと言われるとそうかもしれないけど、少しだけ、せめて二年生になるまではこのままでいたいの。
でも、婚約の一歩前の仮婚約の時期を設ける事になり、私が婚約を継続できないと判断したら、破棄をするということを了承してもらったのよね。
今回の事で責任を感じたウィローズ公爵家からは、迷惑をかけたという事で本来私が受け取るべき予定だったものを金銭で換算したと、慰謝料を持って謝りに来られたし。
なんでも、リリアンナ様は私という婚約者の存在を知って。ルカ様が私に送った手紙や誕生日や記念日の品を、買収したコゼルス侯爵家の使用人に回収させていたとか。
ただ、その使用人も罪悪感を抱いていたのか、当たり障りのない内容を書いた手紙だけは送っていたようで、私が受け取ったのはルカ様が送った手紙の1割もなかったとか。
その時に私が受け取った、捨てられずに隠されていた手紙の中には、自分を信じてほしいと何度も書かれていて、詳しくは言えないまでも必死にあらがっていたことがその文章から感じることができた。
そしてそれに気が付かなかったコゼルス侯爵家からも、今回の事で私が負った精神的苦痛に対してできることはすると、何でも言ってくれと連絡があった。
ここで婚約解消も出来たけど、私はそうできなかった。
やはり、捨てきれない想いがまだ残っていた。だけど、だからと言って『はいそうですか』といきなり戻れるわけもない。
しばらくは一人で考えたいと、私はルカ様とは会わずゆっくりと過ごすことにした。その間に自分の中の感情と向き合ってみようとしたのだが、なかなかそう簡単にはいかなかった。
学園で過ごした約一年間に見聞きした二人の事を、思っていた以上に心の傷になっていたようで、一人になるとズキズキと胸が痛んだ。
舞踏大会の時に二人の姿を見て気にしないふりをしながらも、やっぱりどこかで気になってた。
こうしてルカ様が目の前に座って、私をジッと見て言葉を紡いでいる姿を見ると、嬉しくもあるし悲しくもあった。
ルカ様は私を想ってくれているのだろうと、彼の目を見ているとちゃんと感じるけど、でも、まだどこかで怖かったりもする。
もうリリアンナ様の事は心配しなくてもいいのかって。
私は何も考えないでルカ様の事だけを信じて行けるのかって。
だから、一人で考えたかった。
学園で、友達と一緒に何も考えずに楽しみたかった。
逃げるのかと言われるとそうかもしれないけど、少しだけ、せめて二年生になるまではこのままでいたいの。
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