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しおりを挟むしばらく4人で話をして、日が傾き始めた頃にまた明日、学校で会おうと言って別れて家へ帰りました。
家に戻ると、またお兄様が出迎えてくれました。いつものように私をギュウギュウに抱きしめながら、楽しかったかって。ええ、楽しかったですわ。
「あ、お兄様。ローズマリー達から聞いたのすが、今日、ルカ様がいらしたのですか?」
「聞いたのか。ああ、ルカ殿が来たよ」
「それで、何をお話になったのですか?まさか私に言えない様なことなのですか?」
お兄様は私が知っているだろうと思っていたようですが、まさか面と向かって聞かれるとは思っていなかったのかしら。
でも、お兄様ってこんな時は表情筋が動かないのよね。
「いや、言えない事ではないが…色々と説明クサイことを述べてただけだな。まあ、それで分かったことは、ルカ殿はバカだったということだな」
「はっ?バカって…」
「その通りだが…まあ、お前が…リズがルカを信じられないと言うのであれば、お前が思う通りに行動すればいい。私も両親も反対しない」
お兄様のその言葉はなんだか含みのある言い方よね。
お顔もなんだかか楽しんでいるようだし、何の話をしたのかしら。気になるけど、これ以上聞いても教えてくれないわよね。ルカ様に聞くのもねぇ。まあ、どうでもいいかな。
そして舞踏会後初めての登校の日、いつもの通り馬車に乗って学園へと向かい、いつものように馬車停めで馬車を降りた。
あと再来月からは二年生なのねと、教室までゆっくりと向かったんだけど、そこで『リズ』と呼ぶ声がどこからか聞こえたんだけど、私は学園では『エリー』って呼ばれてるから違うわよね。『リズ』って呼ぶのは身内くらいだし。などと考えていると、後ろから腕を掴まれて引っ張られた。
「リズ!聞こえているのだろう!」
「え…あ、ルカ…様?」
「私以外に誰がいるんだ?さっきから呼んでいるのになぜ止まらない!」
「私は学園では『リズ』と呼ばれておりませんので、私の事ではないと思っておりました」
「私の声を覚えていないのか!」
「そうおっしゃいましても、最後にルカ様の声を聞きましたのはもう4年近く前です。私が領地から戻ってきて一年ほど経ちますが、その間、一度もお誘いも無ければお声をかけていただくこともなかったですもの。それに、私からお誘いしても時間がないと一蹴されましたし。それで声は覚えておけなどと理不尽ではありませんか?」
それだけ会ってないんですよと嫌味のように言ってしまったわ。
でも、それほど頭に来ていると理解してほしいのです。少しは歩み寄ろうとする私の気持ちを全く考えないルカ様に呆れているのも事実でしたし。
でも、そう言われても仕方ないと思いませんか?
ねえ、そこで惚けた顔しているあなた。それに、そこで立って聞き耳を立てているあなたもです。
「そ、それは…わ、悪かった」
「悪かったの一言だけですのね。手を離していただけます?痛いのですけど」
なんだか傷ついたような顔をして慌てて手を離したルカ様ですが、そんな顔をされると悪いのは私の様ではないですか。
「ルカ~こんなところでなにをしているの?」
「リリー」
「あら?どなた?」
「ウィローズ公爵令嬢様、初めてお目にかかります。エリザベス・リンデンと申します」
「エリザベス様……そう。ねえルカ、早く行きましょう?」
リリアンナ様はルカ様の腕に手を回して、如何にも親しいですという雰囲気を振り撒いて、私の前にいたルカ様を引っ張りながら校舎に向かって歩き出しました。
ルカ様はチラッと私の方を見たような気もしたけど、私は一体何を見せられたのかしら。
でも、初めて身近でリリアンナ様にお会いしたけど、栗色の柔らかそうな巻髪にピンク色の瞳が可愛らしい方だったわね。
ルカ様が側に居たいお気持ちがわかるわ。
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