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しおりを挟む「ローズマリーも来たわね」
ジーナが人の隙間からローズマリーのあでやかなストロベリーブロンドを見つけて、そちらへ手を振ったところ、過ぎに気が付いてくださったようです。
「エリー、ルシア、ジーナ。みんな可愛いわね」
眩しい笑顔で名前を呼ばれて可愛いだなんて言われると、嬉しいですわね。それほど、ローズマリーの笑顔は破壊力抜群です。殿方には見せられませんわ。
「あら?来てないのね」
私の周囲を見て、ローズマリーは呆れたような声でそう言いました。ルカ様の事ですね。はい、いませんわ。
「あの男、何考えているのかしら?15や16じゃあるまいし、もう20でしょうに」
「ふふっ、ローズマリーに言われると、あのお方も子供になるのね」
「そうでしょう?あんな女に侍ってる様じゃ、先が知れるわ」
ローズマリーは侯爵家です。
上位貴族のお茶会などにも母親と一緒に参加することも多々あるようで、ウィローズ公爵家のリリアンナ様とも面識があるとか。
そして彼女が言うには「天然ぶってる頭空っぽ女」とか、「男好きのバカ女」だそうで、侯爵令嬢の口から出る言葉ではありません。
そんな事を話している間に、全ての入場が終わったようで、公爵家から順に王族への挨拶となります。
そう思って前を見ますと、音楽が高々と奏でられて二階の大きな扉が開き、王族の方々が入場されました。
王族の方々は青みががった銀髪をお持ちになって、ここからは見えませんが、その瞳は輝くような金色だそうです。そして、とてもお美しいのです。
お兄様もルカ様もお顔が整っていまけど、それを軽く飛び越えてしまうほどの神々しさです。
そしてお名前を呼ばれた順に、挨拶の為に前へと進みます。
お兄様は私のエスコートができなかったからと、卒業してからの上司になられるリュベルス王太子殿下のお近くにいらっしゃるようですが、お忙しそうですわ。
さあ、我が家の順です。
「リンデン伯爵、今年は可愛い令嬢のエスコートで羨ましいな」
「陛下、娘のエリザベスです」
なんでも、お父様と国王陛下は学園での同窓だそうで、よく交流を持っていたとか。話を聞く限り、相当仲が良さそうなのですが、私、今まで知りませんでしたわ。
「エリザベス嬢は婚約者のエスコートを断るよう父上に頼まれたのか?」
王太子殿下が、少し心配そうなお顔をして私に聞いてきましたが、お兄様から何か聞いていらっしゃるのかしら?
正直に話そうか悩みましたが、言葉に詰まるとお父様が「いえ、娘の晴れ舞台はやはり父親の役目かと。それに、連絡を寄越さないようでは、とても任せることなどできません」お父様は笑顔を浮かべていますが、本当はもっと言いたいのでしょうね。
「ユーゴは何か聞いていないのか?お前はルカと同級だろう?」
王太子殿下がユーゴ殿下に、私がルカ様と婚約していることを話すと、ユーゴ様は驚いた顔をされました。
「い、いえ、そのような話は一切しておりません。そもそも、彼女がルカの婚約者ということも今知りましたし」
「は?お前は何を言ってるんだ?4年も前から婚約しているんだぞ?」
「そ、そうなのですか?これは失礼いたしました。私の不徳の致すところです、申し訳ない」
…なんだか、ルカ様の中での私の扱いってこの程度だったのかしら?
御学友…第二王子殿下にも自身の婚約者のことを話していないなんて、私の存在はないのかしらね。
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