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しおりを挟む学園の入学式当日。
「ルシア!ジーナ!」
「エリー!久しぶり!」
馬車を降りて入学者の受付に向かう途中で、二人を見つけて淑女らしくない大きな声を出してしまい、すぐに周りを見たんだけど、私みたいにはしゃいでる人が多くて少しほっと胸をなでおろしました。
皆様は私のことをエリーと呼びます。家族はリズと。そう言えば、ルカ様もリズだったわね。
ローズマリーはまだ来ていないけど、来た人から先に講堂へ行くように先生方から追いやられたので、その場を移動して講堂へ向かいました。
入学式は新入生代表と在校生代表の挨拶があって、学園長や先生方の紹介もサクサクと進み、あっという間に解散。それぞれのクラスへと移動となりました。
レイフォール学園のクラスは成績順で、特Aクラスの次がB、Cとなっていて、特Aクラスは16名。Bクラスは30名、CとDはそれぞれ40名になっているのです。そして私達はみんな特Aクラス。入学前に頑張った甲斐があるというものです。
それからクラス内で自己紹介をしてから、そのまま交流という名の雑談の時間になったのです。
「ねえ、お昼は食堂で食べる?それともランチボックス?外にも食べる場所が多いから、天気の良い日は外で食べない?」
「食堂って全校生徒が利用するんでしょ?上級生と一緒だと気後れしちゃうし、それがいいかも」
それを聞いて、ルカ様はお昼は無理って言ってたけど、それって変よね?何も毎回って言っている訳ではないのに、どうして無理って言ったのかしら。もしかしてリリアンナ様と一緒だから?
「エリー?眉間にしわ寄せちゃって、どうしたの?」
「えっ…あ、ちょっとね」
せっかく友達と話している楽しい時間なのに何を考えているのかしら。ルカ様の事はこれからの事だし、今は考えるのをやめておこう。
「エリーはその長い前髪、切っちゃわない?目が見えると、もっと可愛くなるわよ」
「私の瞳はお兄様たちみたいに澄んでないから、あんまり出したくないのよね」
「そんなことないわよ。私はエリーの瞳が好きよ」
「私も好きよ。髪もいい具合にカールしてるから、それを利用してアレンジしたらいいわよ」
みんなにそんなことを言われて、ちょっと、ちょっとだけど切ろうかなって思っちゃった。こだわり過ぎなのかもしれないし。今度、考えてみようかな。
「君たち、友達なの?」
前の席に座っている男の人が、振り向いて私たちに声をかけてきたんだけど、この人、可愛らしい顔してるわ。なんだか、同級生っていうより弟って雰囲気だわ。
「僕はヒース・オルダーウッド。よろしく」
子犬のような柔らかそうな髪を指で弄っている姿が、見ていてもホントに可愛らしいわ。
ジーナなんて可愛いもの好きだから、絶対に目がハートになってるわよ。ほら、やっぱりハートになってる。でも、後々聞くと異性としてのハートではなく、可愛いものとしてのハートらしいのだけど。ヒース様には内緒にしておこうかしら。
「良かったら、僕もお昼、仲間に入れてくれない?僕、知り合いもいないんだ」
何でもヒース様は幼少の頃からご病気で、つい昨年に治療法が見つかり今では健康になられたのだとか。でも家族が心配して、学園に入学する直前まで家から出られなかったとらしいの。
それはそれで大変だわ。私も病気になった時は、治ってからも心配されてたわね。
「いいですわよ。人数は多いほうが楽しいですものね」
そして私たち五人組は、この日から一緒に行動することが多くなったのです。
もちろん、お昼も一緒ですわ。
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