【GunSHOP】スキルで銃無双

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閑話 新井さんの日常 #2

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閑話 新井さんの日常 #2















「えぇ!?そんな事があったんですか?」



「そうなんですよ、大変でした」



「け、怪我はありませんか?」



「ははっ大丈夫ですよ、どこにも怪我はありませんから」



「香織は心配しすぎじゃない?探索者ってそういうもんじゃないの?」



「七海はダンジョン行ったことないからわからないでしょ!【ダンジョンウォーカー】って本当に危険なんだから!高ランクの人でも死んじゃうことがあるんだからね!」



「はいはい」



「もう!お酒おかわり!」



「はいはい」



現在、私がいるのは探索者交流会の打ち上げでも使わせてもらった【花咲】というお店。実はここ花井さんに教えてもらったんですよね。



そんな彼女の事を香織と呼ぶのはここの店主の宇瀬七海さん、有名なレストランでシェフとして修業を積んでいたらしくその腕前は一流です。



「修二さんも気を付けてくださいよ!命は一つしかないんですからね!」



「はい」



さっきまでの標的が宇瀬さんから私に切り替わってしまった、花井さんは私の事を心配していってくれているのがわかるので何も言い返せない。

そして宇瀬さんは我関せずとムンちゃんとじゃれあっている。









◇  ◇  ◇  ◇









「おはようございます!待たせちゃいましたか?」



「いいえ、私達も今来た所ですよ」



「そうですか、よかった……ムンちゃんもおはよう!」



「きゅ!」



昨日お店で花井さんと一緒に食事をした時に「明日は装備を新調しに行きましょう!」と言われ、今日は探索者専門の大型ショッピングモールに来ました。



今日の花井さんの恰好はいつも通りのおしゃれさんです、ふわっとしたフレアスカートにまだ少し肌寒い事が多いので長袖の薄いニット、それに小さな肩掛けのカバンだ。



「今日の服装も可愛らしいですね」



「えっ!あっ、ありがとうございます」



花井さんは照れているのか抱き上げていたムンちゃんに顔をうずめています。



狐の召喚獣であるムンちゃんが普通に公共の場にいていいのか?っていう疑問をお持ちの皆さん、安心してください。

普通のペットと違い、テイムされた従魔や召喚された召喚獣は主と意思の疎通が出来ます。

こちらの言う事をちゃんと聞いてくれて、見た目が威圧的でなければ公共の場に召喚獣などを連れて歩くことは許可されています。

その代わりといってはなんですが普通のペットとは違い特殊なタグが付いた首輪が必要になりますが、それも国に申請する事によってもらえます。



まぁそういったわけで、こういう場所にもムンちゃんを連れて歩けるのです。





「それじゃぁ早速行きましょうか」



「はい!」



「きゅきゅ!」



集合場所は最寄りの駅前、そこにこれから向かう探索者専門のお店が入ったショッピングモールがあります。



探索者専門となっていますが実際には成人していれば誰でも入る事ができます、未成年の人は保護者がいれば一緒に入れるようになっています。

一応探索者専門ですから、中には武器なども展示されていて危ないので未成年は保護者ありになっています。



まぁその保護者ありもほとんど建前で、高校生ぐらいなら自分達だけできちゃうんですけどね。

彼ら彼女らも探索者ライセンスをもった大人と言えますから、そこは暗黙の了解というか黙認されているというか。



「まずは、どこに行きましょうか?」



「ん~防具から見に行きましょうっか」



「わかりました、防具は………5階の西側ですね」



案内板を見て行先を確認してから歩き出します、ここには探索者専門のお店以外にも普通の飲食店やスーパー、服屋さんやアクセサリー屋さん。映画館など色んなお店があります。



イメージとしては一般的な大型ショッピングモールに探索者専門のお店がさらに追加されたって思えばいいです。



エレベーターに乗り目的地へと向かう。



「ここを見てみましょうか」



ひとつ目の店舗は【ハヤブサ】という防具専門のお店、軽装の防具を専門に取り扱っており国内シェアはそこそこの有名企業だ。



店内に入ると服屋さんみたいにマネキンなどが防具を着て立っており一例としてわかりやすくなっている。



「高いですね……」



「目玉商品ですかね?」



まず目に入った防具の商品説明を見てみる。





『サイクロプスの革鎧』



サイクロプスの革を基本に薄いミスリルを裏打ちしデビルシープの毛で補強した一品。

防御力もさることながらミスリルにより魔法防御力も上げる事に成功しました。





サイクロプスはAランクの魔物でその肌は硬く、スキル効果の無い攻撃ならほとんどはじき返してしまうほどらしい。



ミスリルは色んな物語で出てくる不思議鉱物、ダンジョンが現実になった現代でも一部のダンジョンでドロップする事が判明した物だ。鉱物としての特性は物語の中で出てくる物とほとんど同じで、魔法が通りやすく軽く硬いとかそんな感じだ。詳しくは知らない。

そんなミスリルが落ちるダンジョンはAランク以上からなので必然的に高価になってしまう。



デビルシープは【魔界】ダンジョンと呼ばれるBランクのダンジョンにいる魔物からとれる毛で、衝撃耐性が強く防刃性、防汚性など色んな面で優れているのでよく防具などに使われている。

一般の服にも使えるので需要は結構あり、人気素材なのでいろんな人が稼ぎに狩りに行っている。





「流石にこれは買えないですね」



「ですね、6000万かぁ」



この革鎧、胴体部分だけで6000万するのだ。これに手足の部分をつけると1億超えてしまう。

防具にそんなお金かけれるのか?って思うかもしれませんが自分の命を守る物だから金に糸目を付けれない。



後、探索者ってそんなに稼げるの?ってお思いかもしれませんが。Cランクを越えてくるとその稼ぎは高くなっていく。



例えばさっき話しに出ていたBランクのデビルシープ。一匹倒すだけで230万ほどになる。

ミスリルならキロ700万、サイクロプスなら1500万ぐらいだったはずだ。





物知りだなって?ふふふ、探索者になる上で情報は大事ですからね。いっぱい調べましたよ。

例え今はいけないランクでもいつかは………ってね。



「修二さん!こっちはどうですか?」



「ふむ?これはアイスアリゲーターの革鎧ですか」



「そうです、修二さんって【棒術】使うようになってから動く事が多くなったでしょう?これならいいんじゃないかと思って」



『アイスアリゲーター』はDランク【氷角の岬】ダンジョンで出てくるワニの魔物で革事体にそこそこの防御力があるのに加え、その革で作られた鎧は体を冷やし一定の温度に保つ効果がある。

その効果から探索者には人気のある革で他の革鎧にも裏地として使われることが多いが、今見てるのは『アイスアリゲーター』の革を加工しワニ感を無くした見た目は普通の革鎧だ。サイズも丁度よさそうだし全身揃っている。



確かに【棒術】を使うようになってから前衛として動くこともあり汗をかくことも多くなったのでありかもしれない。



「21万ですか………買えない事もないですけど、どうしましょうか」



一応予算的には防具に30万、武器に50万までは考えているので十分予算範囲内だ。

チラッと花井さんの方を見ると期待をした目で見てくる。



「そうですね、これを買いましょうか」



「はい!そうしましょう!」



花井さんおすすめの『アイスアリゲーター』の革鎧をレジに持っていき清算する。



「いらっしゃいませ、こちら『アイスアリゲーター』の革鎧になりますがお間違えないですか?」



「はい」



「では奥で裾合わせをお願いします」



こういった防具を買う時にジーンズなどを買う時と一緒で細かく裾合わせをする。

レジの横で待機していた別の店員さんに連れられ更衣室にいきちゃんと裾合わせをする。



「ではお会計21万円になります、こちらへライセンスをかざしてください。お荷物は裾合わせが終わった後ドローン配達でお送りします」









◇  ◇  ◇  ◇









「次はここですよ!」



防具を買い終わってから次に来たのは武器屋さん【樫の木】名前に書いてあるようにここは木で出来た武器ばかりを売っている専門店だ。



店内は落ち着いた暗めの照明に木のいい匂いが香ってくる。



【棒術】に使う武器としての棒は鉄の素材の物もあるが、やはり武器として使う以上しなやかさや粘り強さを考えると木の方が強い。



「お?これなんていいんじゃないですか?」



「どれですか?『微睡エルダートレント』が素材の棒術用ですか、いいと思いますよ?」



『微睡エルダートレント』はBランクの魔物でその幹の大きさは大人が両手を広げて並んでも数十人は必要になるほどだ。

この魔物の厄介な所は攻撃があたると気力を削られる所だ。



戦っている最中にどんどんと気力を削がれていって最終的には無抵抗になりそのまま殺されてしまう、恐ろしい魔物だ。



ただその『微睡エルダートレント』の素材で出来た棒はその特殊能力を引き継いでおり、これで攻撃すると魔物の動きを鈍らせることが出来る。

特殊効果の付いた武器になる。



「これで55万ですか………ちょっと予算オーバーですが背に腹は代えられません」



長さは180センチ、太さも丁度良く扱いやすそうだ。ただ少し重いので今後のレベルアップでSTRが伸びる事を期待しないといけない。



「それを買うんですか?」



「はい、そうしようと思います」









◇  ◇  ◇  ◇









防具と武器を買い終えた後はムンちゃんのおもちゃを買いにペットショップへ行ったり、普通の服を見たりと買い物を楽しんだ。



今はショッピングモールにあるパン屋さんで軽食を食べながら休憩している所だ。



「今日はありがとうございます花井さん。おかげさまでいい買い物ができました」



「いえいえ、少しでもお役に立てたのならよかったです。それにこれホントにかってもらっちゃってよかったんですか?」



そういって花井さんが掲げるのは先ほどはいった服屋さんで今回のお礼にと買った物だ。



「もちろん、今回のお礼ですから受け取ってください」



「ありがとうございます!」



その後も楽しく雑談をしていたのですが、そんな時間も突然聞こえてきた怒号にかき消されてしまいました。



「なめてんじゃねーぞごら゛ぁ!!」



ガッシャーンと物が壊れる音が聞こえてくる。



「何ですか今の音は!」



「花井さん!危ないですよ!」



穏やかではない音が聞こえてきて花井さんはすぐに見に行ってしまったので慌ててついていく。



たこ焼き屋の前で青年3人が店員さんに対してなにか怒っているのがわかる、3人とも探索者なのか指輪型のライセンスが見える。近くには椅子と机が大きく吹き飛ばされており先ほどの音の原因に気づいた。



「そこの3人、大人しくしなさい!私はダンジョン協会の者です!」



「あ゛あ゛!?ダンジョン協会のもんがなんぼのもんじゃい!」



「いいから大人しくしなさい!この騒動の原因はなんですか!」



ダンジョン協会の人間はこういった公共の場で探索者と一般人との問題に仲裁に入る事ができる。



「見てみろよこれ!!」



「何ですか?たこ焼き?」



「おう!俺らはよぉ明太マヨ頼んだのに、来たのがネギポンだったんだよ!!取り替えろっつってんのにそれは出来ませんとしか言わねぇんだよこいつ!!」



「はぁ、何ですかその理由は。店員さんどうして取り替えができないんですか?」



「いえ、それが………彼らが頼んだのがネギポンだったのでその通りに渡しただけなんですよ」



「どういう事ですか………?」



「彼らはネギポンで注文したのに、渡す直前になって明太マヨがいいと言い出しまして」



「なんだとごらぁ!いいから取り替えろあ゛ぁ゛!?」



「無茶苦茶なのもいいところですね、あなた達大人しくしなさい。既に通報済みです、すぐに治安部隊がきます」



「あ゛あ゛!?なめてんじゃねーぞ女ぁ!」



「きゃぁっ!」



切れやすい十代だから、3人のうち1人が彼女に殴りかかってきた。



「香織!危ない!」



咄嗟に前にでて攻撃を受け流す、そのまま流れるように足をかけ押し倒す。



「大人しくしろ!これ以上騒ぎを大きくするんじゃない!」



「うっせぇ!離せおっさん!」



組み伏せているので彼は動けないが、私も動けない。



「修二さん危ない!」



1人を取り押さえてる私に向かって残りの二人が殴りかかってきたが今は動けない!



「あぶねぇ!」



「ガッ!」



「グッ!」



「神薙君!」



殴りかかってきた二人は突然出てきた神薙君が殴って大人しくさせてくれた。



「新井さん、大丈夫でしたか?」



「あぁ、ありがとう。また助けてもらったね」



「いいんですよ、友達じゃないですか」



「ふふっありがとう」



「暴れているという探索者はどこだ!」



神薙君と話していると治安部隊が来たのか騒がしくなってきた。



「ここです!ここに取り押さえられている3人がそうです!」



「ここか!おい!捕まえろ!」



治安部隊は全員で5人、既に取り押さえられているからか簡単に捕まえて連れて行ってしまった。



「取り押さえてくれたのは君か、話を聞きたいのでついてきてくれるか?」



「はい、私ともう一人………あれ?神薙君はどこいった?」



さっきまでいた神薙君がいつの間にかいなくなっている。



「うん?他にもいたのか?見当たらないが、取り合えず君だけでも来てくれ」



「は、はい」



神薙君はどこに行ったんだ?









◇  ◇  ◇  ◇









「はぁ………疲れた」



「お疲れ様です修二さん」



「花井さんもお疲れさまでした」



「きゅきゅ!」



「ムンちゃんもお疲れ様」



事情聴取は数時間にも及び、終わったのはもう夜の8時過ぎだ。



探索者が暴れていた時ムンちゃんは大人しく待っていてくれた。もしあそこでムンちゃんが出てきていたらややこしいことになっていたので大人しくしていてくれたのはよかった。



「花井さん?」



花井さんがいやに静かだ。



「もう!さっきは香織って呼んでくれたじゃないですか!もう呼んでくれないんですか?」



「うっ、さっきは咄嗟だったのでつい出ちゃっただけですよ。すいません呼び捨てにして」



「むー、香織って呼んでくださいよ」



「ん、んん」



「早く!」



「か、香織さん………」



「ふぅ、まぁいいでしょう。今後はそう呼んでくださいね?修二さん」



「は、はい」















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