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第一勝 喧嘩甲子園
大会のルール
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「この、クソガキが」
今僕の目の前には学校で一番怖いと言われている体育教師の亀田がいる。
さっきからうるさく喋っているが寝起きなので何も聞こえてこなかった。
「おい聞いてんのか、勝」
「さっきから何を怒ってるんですか? 」
「終業式の遅刻、ドアの破損、校長先生へのクソみたいな態度、そして終業式での居眠り。逆に怒られないところがないだろ」
「それはなかなかですね、誰がそんなことしたんですか? 」
「お前以外誰がいんだ」
「そうですか、それはすいませんでした。では、私はこれで」
バッグを持って職員室を出る。
「まだ話は終わってないぞ、勝、座りなさい」
「すいません先生、今から約束がありまして。また夏休み明けにお願いします」
「おい待て」
亀田が怒って教員室から出て来る前に学校を走って出た。
「全く、天羽と帰る約束があるっていうのに」
校門の前に向かって歩いてった。
さてと、どこにいるのだろうか。
校門を出て周りを見渡す。
見渡すと天羽はいなかったがその代わりに黒いワゴン車が止まっていた。
しばらくして車からスーツを着てサングラスをかけた若い男が降りてきた。
そういえば昨日、今日の昼にまた迎えに来
ると言っていたな。
しかし昨日見た男とは違う男だな。
「鬼越 勝さんで間違い無いでしょうか? 」
その男は僕に向かってそう尋ねてきた。
「鬼越 勝とは僕ですが」
「そうですか、こちらの書類にサインをしてください」
男から一枚の紙とペンをもらった。
その紙には僕の顔写真、名前、住所など個人情報が書かれていた。
これを見て僕を探していたのだろう。
「何で個人情報が書かれているのですか? 」
「喧嘩甲子園は国が公認ですから、個人情報などは全て把握しています」
まあ、良いや。
個人情報がバレていようと別に何の問題もないし。
その紙の一番下のところに自分の名前をサインした。
「ありがとうございます。これで正式に喧嘩甲子園の選手としてエントリーしました。これを腕につけてください」
男から腕時計らしきものを受け取り、それを腕につけた。
「これはアップルウオッチみたいなもので画面を動かすことができます。今は時間が表示されていると思いますが、一回タップしてもらうと画面が変わります」
早速タップしてみると小さい日本地図が出てきた。
その地図の中に青い点が一つと赤い点がいくつかあった。
「その赤い点はですね喧嘩甲子園の選手の位置を分かることができます。青い点は自分の位置がわかります。試しに青い点を押してみてください」
青い点を押してみると自分の位置情報が展開されていた。
「このようにいつでも選手同士が位置を共有することができます。位置は分かってもその位置にいるのが誰かまでは分からないので注意してください。他の選手と半径100メートル以内に入ると知らせてくれる機能も入っています。さあ、ここから喧嘩甲子園のルール説明をさせてもらいます。ルールその一、いつどこで何をしていても喧嘩をして良い。他の人に被害を与えない限り、誰にも止めさせませんので力を十分発揮して思いっきり喧嘩してください。ルールその二、時計を外してはいけない。全選手がフェアに喧嘩するために時計を取ってはいけません。その時計は防水対策しておりますのでお風呂や海水浴も安心してつけてください。どうしても外したい場合は私たちに伝えてください。一応外れないように鍵をかけさせてもらいます」
この腕時計のバックル(バンドとバンドを繋げるところ)に鍵を差し込むところがある。
男はそこに鍵を差し込み鍵をかけた。
「続けさせてもらいます。ルールその三、殺してはいけない。相手が戦闘不能になったら止めますのでその後も続けて喧嘩はしてはいけません。ルールその四、一回でも喧嘩に負けたら喧嘩甲子園を続けることはできません。ルールその五、優勝するには最後の一人にならなくてはいけません。これまでが大まかなルールですが、大会をスムーズに進行するために優勝候補者制度というものがあります。選手30名の中に6人の優勝候補者がおりますが、その候補者を倒すことが出来ましたら1000万円手に入れることができます」
「1000万?! 」
さっきまで黙って聞いていた僕も数字の大きさにを驚いてしまった。
「一人でも倒すことができたら1000万円もらえるんですか? 」
「一人と言わず二人倒せば2000万円もらうことが出来ます」
「そいつはすげえや。ちなみにその中に男虎 剛って名前はありますか? 」
「よくご存知で。他にも男虎 剛さんだけでなく、北の巨大熊 熊頭 撤兵など強者がたくさんおります。これらの優勝候補を倒すことができますとあなた御自身も優勝候補の仲間入りができます」
「その優勝候補になると何か良い特典はあるんですか? 」
「特に何もありません」
何にもないのかよ。
「私どもは近くで見張らさせて貰いますので、存分に頑張ってください」
そう言って若い男は車に帰っていった。
男が車に乗ったタイミングと同時に校門から天羽がやって来た。
「あの人、昨日と同じ人? 」
「違う人だね、ていうか待たせてごめん」
「大丈夫、いつものとこで踊ってたから。でも冷房壊れてたからめちゃくちゃ汗かいちゃったけど」
天羽は少し前を歩きながら手で自分を扇いでいる。
ジンジンと暑い日差しが僕たちを照らす。
少し歩くと自動販売機がある。
「ちょっと待ってて」
僕は自動販売機でCCレモンを二本買った。
「これあげる、待たせたからさ」
天羽はゆっくり手を伸ばしてCCレモンを僕の手から取った。
とびきりの笑顔で
「ありがと」
と言いながら、僕の顔を下から覗き込んだ。
か、可愛いすぎんだろ。
今僕の目の前には学校で一番怖いと言われている体育教師の亀田がいる。
さっきからうるさく喋っているが寝起きなので何も聞こえてこなかった。
「おい聞いてんのか、勝」
「さっきから何を怒ってるんですか? 」
「終業式の遅刻、ドアの破損、校長先生へのクソみたいな態度、そして終業式での居眠り。逆に怒られないところがないだろ」
「それはなかなかですね、誰がそんなことしたんですか? 」
「お前以外誰がいんだ」
「そうですか、それはすいませんでした。では、私はこれで」
バッグを持って職員室を出る。
「まだ話は終わってないぞ、勝、座りなさい」
「すいません先生、今から約束がありまして。また夏休み明けにお願いします」
「おい待て」
亀田が怒って教員室から出て来る前に学校を走って出た。
「全く、天羽と帰る約束があるっていうのに」
校門の前に向かって歩いてった。
さてと、どこにいるのだろうか。
校門を出て周りを見渡す。
見渡すと天羽はいなかったがその代わりに黒いワゴン車が止まっていた。
しばらくして車からスーツを着てサングラスをかけた若い男が降りてきた。
そういえば昨日、今日の昼にまた迎えに来
ると言っていたな。
しかし昨日見た男とは違う男だな。
「鬼越 勝さんで間違い無いでしょうか? 」
その男は僕に向かってそう尋ねてきた。
「鬼越 勝とは僕ですが」
「そうですか、こちらの書類にサインをしてください」
男から一枚の紙とペンをもらった。
その紙には僕の顔写真、名前、住所など個人情報が書かれていた。
これを見て僕を探していたのだろう。
「何で個人情報が書かれているのですか? 」
「喧嘩甲子園は国が公認ですから、個人情報などは全て把握しています」
まあ、良いや。
個人情報がバレていようと別に何の問題もないし。
その紙の一番下のところに自分の名前をサインした。
「ありがとうございます。これで正式に喧嘩甲子園の選手としてエントリーしました。これを腕につけてください」
男から腕時計らしきものを受け取り、それを腕につけた。
「これはアップルウオッチみたいなもので画面を動かすことができます。今は時間が表示されていると思いますが、一回タップしてもらうと画面が変わります」
早速タップしてみると小さい日本地図が出てきた。
その地図の中に青い点が一つと赤い点がいくつかあった。
「その赤い点はですね喧嘩甲子園の選手の位置を分かることができます。青い点は自分の位置がわかります。試しに青い点を押してみてください」
青い点を押してみると自分の位置情報が展開されていた。
「このようにいつでも選手同士が位置を共有することができます。位置は分かってもその位置にいるのが誰かまでは分からないので注意してください。他の選手と半径100メートル以内に入ると知らせてくれる機能も入っています。さあ、ここから喧嘩甲子園のルール説明をさせてもらいます。ルールその一、いつどこで何をしていても喧嘩をして良い。他の人に被害を与えない限り、誰にも止めさせませんので力を十分発揮して思いっきり喧嘩してください。ルールその二、時計を外してはいけない。全選手がフェアに喧嘩するために時計を取ってはいけません。その時計は防水対策しておりますのでお風呂や海水浴も安心してつけてください。どうしても外したい場合は私たちに伝えてください。一応外れないように鍵をかけさせてもらいます」
この腕時計のバックル(バンドとバンドを繋げるところ)に鍵を差し込むところがある。
男はそこに鍵を差し込み鍵をかけた。
「続けさせてもらいます。ルールその三、殺してはいけない。相手が戦闘不能になったら止めますのでその後も続けて喧嘩はしてはいけません。ルールその四、一回でも喧嘩に負けたら喧嘩甲子園を続けることはできません。ルールその五、優勝するには最後の一人にならなくてはいけません。これまでが大まかなルールですが、大会をスムーズに進行するために優勝候補者制度というものがあります。選手30名の中に6人の優勝候補者がおりますが、その候補者を倒すことが出来ましたら1000万円手に入れることができます」
「1000万?! 」
さっきまで黙って聞いていた僕も数字の大きさにを驚いてしまった。
「一人でも倒すことができたら1000万円もらえるんですか? 」
「一人と言わず二人倒せば2000万円もらうことが出来ます」
「そいつはすげえや。ちなみにその中に男虎 剛って名前はありますか? 」
「よくご存知で。他にも男虎 剛さんだけでなく、北の巨大熊 熊頭 撤兵など強者がたくさんおります。これらの優勝候補を倒すことができますとあなた御自身も優勝候補の仲間入りができます」
「その優勝候補になると何か良い特典はあるんですか? 」
「特に何もありません」
何にもないのかよ。
「私どもは近くで見張らさせて貰いますので、存分に頑張ってください」
そう言って若い男は車に帰っていった。
男が車に乗ったタイミングと同時に校門から天羽がやって来た。
「あの人、昨日と同じ人? 」
「違う人だね、ていうか待たせてごめん」
「大丈夫、いつものとこで踊ってたから。でも冷房壊れてたからめちゃくちゃ汗かいちゃったけど」
天羽は少し前を歩きながら手で自分を扇いでいる。
ジンジンと暑い日差しが僕たちを照らす。
少し歩くと自動販売機がある。
「ちょっと待ってて」
僕は自動販売機でCCレモンを二本買った。
「これあげる、待たせたからさ」
天羽はゆっくり手を伸ばしてCCレモンを僕の手から取った。
とびきりの笑顔で
「ありがと」
と言いながら、僕の顔を下から覗き込んだ。
か、可愛いすぎんだろ。
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