勝の道 〜喧嘩甲子園編〜

オラフ

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第一勝 喧嘩甲子園

喧嘩甲子園とは何だ?

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「喧嘩甲子園とは日本中の高校生の中で一番強いものを選ぶ大会だ。私たちが終わりというまで喧嘩をさせ、勝ち残ったものが残る」 



「なかなか面白そうだな、場所はどこでやるんですか? 」 



「場所は日本全国どこでいつはじめても良い、費用も全て私たちが支払う。国が公認の大会だから警察に止められる心配もない。一位になったものには10億円が手に入る」 



「10億円!? なんか匂うな」 



「実は今強い人間を国が集めているのだ。理由を説明することはできないが賞金を渡すことは保証する」



 その時、さっき倒した男が立ち上がった。 



「兄貴来てくれたのか、そいつ殺してくれ」 



 顔が真っ赤だ。



 僕に走って近づいてくる。



 光ってるものが見えた。



 折りたたみナイフだ。 
 


 握っている手を高だかく上げ、僕の顔目掛けて振り下ろした。



「やめろ隆史」



 兄貴の方が一喝する。



 ナイフを持った弟は僕の腹に刺さる一歩手前で止まった。



 兄貴の声もあったが僕の右拳が腹にめり込んでいたからだ。



 弟はナイフを落とし、また気絶した。 



「弟を二度もやられちゃあ、黙ってることができねえな。しかしお前が喧嘩甲子園に出ると言うのならば今日は引いてやってもいいんだが、どうする? 」



 兄貴の方は弟のように簡単には行かないだろう。



 天羽の前でこれ以上危ない目に遭わせるわけにはいかない。



「わかった、その喧嘩甲子園とかやらに出ようじゃないか」 



「鬼ちゃん、危ないよ」



 今まで黙っていた天羽が喋った。



 心配してくれてるなんてありがたいな。 



「大丈夫だよ、僕強いから」



「それならば、また明日の昼にお迎えします」



 スーツを着てサングラスをつけた若い男がそう告げ、暗闇に帰っていった。 



「あんた、名前は? 」 



「僕は鬼越 勝だ」 



「勝か、良い名前だ。俺は男虎 剛だ。お互い優勝しそうな名前だな、せいぜい最後まで頑張ってくれよ」

 

 そう言って兄貴である剛が気絶している弟の隆史を拾って暗闇に帰っていった。



「僕たちも帰ろっか」



 また誰が襲ってくるか分からないので天羽をすぐ近くの家まで送った。 



「ごめんね、家の近くで面倒に巻き込んじゃって」 



「鬼ちゃんは悪くないでしょ、その喧嘩甲子園とか言うやつ危なかったらすぐやめてね。私が守ってあげるから」 



「それは頼りにしてるよ、じゃあね」 



「明日の学校帰り一緒に帰らない? 言いたいことがあるから」 



「今言えば良いじゃん」 



「もう遅いから、明日が良い」



「分かったよ、じゃまた明日」



「うん、また明日ね」



 天羽はそのまま家に入っていった。



 面倒なものに巻き込まれたが明日も天羽と帰れるのか。



 別に楽しみじゃないけど。



 でも言いたいことって何だろ?



 今日では言い切れないことなんだろうな。



 やっぱ楽しみだな。



 考えているとオンボロアパートの前に着いていた。
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