夢の架け橋に君が隠れる

オラフ

文字の大きさ
上 下
16 / 16

もう離さない

しおりを挟む
          2年後
「行ってくる」
 俺は大学に行くために家を出た。
 俺たち家族は東京に去年引っ越してきたばかり。
 親父の仕事と俺の大学が東京にあるからだ。

「行ってらっしゃい」

 まだ親父は飯を食って、母ちゃんは咲の準備を手伝っている。
 家を出て、電車に乗り大学に行く。
 この一年間はずっとこんな毎日だ。
 
「結城~、一緒に行こうぜ」

 歩いていると圭太がいた。
 圭太は俺と同じ大学でアパートを借りて一人暮らししている。
 俺ら二人は一緒に電車に乗り、大学に向かう。
 
「そういえばさ、日暖ちゃんってどうなったの? 」

「良い大学行ってるらしいぜ、頭良かったからな」
 
「そうじゃなくて結城とはどうなんだよ」

「それは別に良いんだよ」

「別に良いってなんかあるんでしょ? 無視すんなよ」


 電車が目的地に着いたので圭太を無視して降りた。

「そこ降りても大学ねぇぞ」

「良いんだよ、先に大学行っててな」

 圭太を乗せた電車が出発していった。
 俺はそのままその駅を出た。
 いつもの待ち合わせ場所に向かう。
 横断歩道橋の下だ。
 
「悪い、少し待たせた」

「遅いよ、もう離さないって言ったのに」

 夢の架け橋に隠れていた君が昼の橋の下にいる。
 俺は君に近づき、手を取った。

「ほら、これでもう離れない。ほら行こうぜ、日暖」



 
 
 

 

 
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

不倫をしている私ですが、妻を愛しています。

ふまさ
恋愛
「──それをあなたが言うの?」

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

利害一致の結婚

詩織
恋愛
私達は仲のいい夫婦。 けど、お互い条件が一致しての結婚。辛いから私は少しでも早く離れたかった。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

処理中です...