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9☆愛しい愛おしい子供達☆エンド☆

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 瑠香は妻が亡くなってから半分死んでいた心が戻ってきた。
 天狐の菊の魂の半分を持って、さらに宇宙人の血筋を濃く継いでいるといえど、
「自分の血も入った孫で愛しの妻の葛葉子そっくりで可愛すぎるだろぉぉ!」
 瑠香の孫への溺愛ぶりは尋常じゃなかった。
 妻の葛葉子への愛おしい故の執着が復活してしまった。
 親たちよりも孫を世話する時間の方が多くて、カグヤが仕事を促す洗脳ビームをかけても、三日で解けて、遊びに来る始末だ。
 流石に宮中の仕事を疎かにするわけではないが暇さえあれば、宮中から繋がる異界を通り世話をしに来る。
 カグヤの腕からも桂の腕からも菊を奪ってあやしてしまう……

「父さん!いい加減にしてよ!僕だって菊を愛しいんだよ!菊は父さんのものじゃないんだよ!」
 桂はキレて、抗議する。
「心配するな、菊は誰にもやらん!」
「尚更心配すぎる……」
「なら、菊も宇宙に連れて行ってしまおうかしら?」
 カグヤがそういうと、その言葉は本気に聞こえて、頻繁度が減った。
 菊は両親にも、とても可愛がられて育ったが、両親よりも、祖父の瑠香の事が大好きだった……
 もし菊が一緒に宇宙に行きたいというなら連れていく気だったが、三歳の菊に、
「わたし、地球が好き!ジィジ一番好き!いってらっしゃい!バイバイ!」
 と、元気に送り出されてしまった…。
 幼い娘が寂しい思いをするんじゃないかと……いや、むしろ寂しく思ってほしかった……


「でも、これで僕達も安心して宇宙に行けるね。今度は僕をエスコートしてくれる?」
 カグヤが呼び寄せた宇宙船に興奮しながらも、今後未知なる世界への期待と不安は大きい。
 つい、弱音を吐きたくなるが、傍にいる最強の宇宙人と名高い妻のカグヤ姫にたずねる。
《もちろんよ、どんな危険なことがあろうとも桂を守るし愛しぬくわ……私たちは運命共同体なのだから…》
「僕もだよ…」
 桂の念願の無限に広がる宇宙に桂は旅だっていってしまった。

 という、電波を瑠香は送られてきた。
 定期的に宇宙旅行の電波を瑠香、菊、薫に送るといっていたが、現実に会えないのはやはり寂しい。
 菊が物心がつく前に旅立ってくれて良かったとも思う。

(桂がいつ帰ってくるか、それともすぐ帰ってくるか、それとも一生会えないか…わからないけれど、生きていて幸せならそれでいい……)
 瑠香は傍で眠る幼い菊の小さな頭を撫でながら、

「この子を絶対に幸せにしてみせるよ……」
 と、遠いい宇宙を旅する桂に届くかわからないが、強い信念の思念を送った。


☆☆☆

「………と、言うことで、菊は季節くんにはあげたくない。」
 瑠香は菊の思い人である十三歳の季節に指を差し宣言する。
「は、はぁ……」
 季節は瑠香が菊を季節に渡さない理由を聞いて戸惑う。
「どんな壮大な作り話だ?」
 陰陽寮長で季節の父親の晴房は呆れて正直な感想を言う。
「作り話じゃなくて本当の話だって、何度言えばわかるんだ!ハル!」
 瑠香はムキになって、晴房に説明しても未だに信じてもらえないのだった。
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