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夫婦のつながりの証
8☆誓約の証、繫がりの証
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「……き、雪!雪!」
いつも訪れる深夜、晴房はコンコン!と窓を叩いた。
空を飛んで訪れるのには深夜が一番バレないためだ。
雪は期待をして待っていた横になっている間に眠っていた。
急いで窓を開けると、晴房は、ずざざざざっ!と滑り込むように雪に向かって土下座した。
「すまん!私が悪かった!ひどい夫だった!許してくれ!」
大声でそう謝った。
許してもらえない限り顔を上げないつもりだ。
晴房の必死な土下座にプッ!と笑ってしまった。
窓を閉めて、近くによって
「もう、堕ろせなんていっちゃだめよ。そしたら許してあげる…」
その言葉にバっと顔を上げて雪の手を取り、
「ああ!言わぬ!だから、命を引き替えにしてでも私の子を産んでくれ!」
と、必死に訴えた。
「……命を引き換えにって…
それって私に死ねっていってるの?」
またもや、あまりのトンデモ発言に笑顔で凄んだ。
晴房は青ざめてハッ!として自分の言の葉にしまった!と思い慌てる。
「いや、その時は私も一緒に死ぬ!」
雪のか細い両手をさらにぎゅっと握り込んで、真剣な表情でそういった。
晴房の本気さに雪のほうが怯んで、
「それって陛下を裏……んっ!」
雪の言葉をキスで塞いだ。
ハァ…っと息を吐くと、
「その言の葉は言ってはならぬ……」
ムッとした表情でわざと晴房は言った。
そしてまたキスをして、今度は笑みあい、
「……無事、私の…私達の子供を産んでくれ…」
懇願するように雪に願う。
「そうすれば、私は陛下を裏切らない…これは誓約だ。」
「誓約?」
聞きなれない言葉に雪は首を傾げる。
「これは懸けごとだ。条件を言い合い約束をはたせばさらなる祝福が約束されるのだ。」
更に指切りをする。
「なら、絶対に無事に三人産んでみせるから、晴房さんは陛下をお守りする宮中の仕事に専念してね。」
「うぬ。雪を抱けない分。私は仕事に専念しながら雪のための安産平癒を欠かせぬ!きっと良い子が三人無事に生まれる」
「神様の祈りなら必ず無事に産むことできるわね」
そういってお腹を撫でる。
晴房は雪をあぐらに乗せ抱きしめながら、お腹の子が無事に生まれてくるように願った。
そして、二人見つめ合って微笑んだ。
夜ふかしは体に触ると思いベットに入って語り合うことにした。
「今度、私と結婚指輪を選びに行かぬか?」
「お仕事は?」
「瑠香、李流に任せる。少しぐらいなら大丈夫だ。」
「……誓約違反にならない?」
お仕事に専念するって約束したのにと不安に思う。
「雪と指輪を買いに行きたい。
雪と離れていても繋がっている証が私も欲しい。」
婚約指は雪しかしていないが、結婚指輪なら同じものを指にはめられる。
それは夫婦でとしての繫がりの証だ。
左指に嵌めて晴房の妻として他の男を更に近づけさせたくない。
「それに……私は三つ子の誕生に立ち会えない…だけど、二人繋がっている証があれば私は雪の無事を祈れる…祈らせてほしい…」
そういって雪をギュッ!と抱きしめ耳元で刹那げに、
「母子無事でいてほしい…
私のようになってほしくないのだ……」
と震えた声でささやくと涙があふれていた。
生まれた直前の記憶はないが、ないゆえに、思うと悲しくて辛くなった…
親がいないからと寂しい事はなかったが、雪や子供たちがもし自分と同じことになったとしたらと思ったら悲しかった。
情けないところを妻である雪に見せていると思うが雪は受け入れてくれている。
涙を優しく拭ってくれて優しさがさらに心にしみる。
「泣かないで、無事に三人産んでみせるから。」
晴房の気持ちが痛いほど伝わって雪も涙する。
だが、声は気丈に振る舞った強いものだ。
「晴房さんは私達の無事を祈ってくれているならそれだけで力になるわ。」
ふふっと笑う雪に晴房は抱きしめ、口づけを何度も繰り返し安堵して二人眠りに落ちたのだった。
いつも訪れる深夜、晴房はコンコン!と窓を叩いた。
空を飛んで訪れるのには深夜が一番バレないためだ。
雪は期待をして待っていた横になっている間に眠っていた。
急いで窓を開けると、晴房は、ずざざざざっ!と滑り込むように雪に向かって土下座した。
「すまん!私が悪かった!ひどい夫だった!許してくれ!」
大声でそう謝った。
許してもらえない限り顔を上げないつもりだ。
晴房の必死な土下座にプッ!と笑ってしまった。
窓を閉めて、近くによって
「もう、堕ろせなんていっちゃだめよ。そしたら許してあげる…」
その言葉にバっと顔を上げて雪の手を取り、
「ああ!言わぬ!だから、命を引き替えにしてでも私の子を産んでくれ!」
と、必死に訴えた。
「……命を引き換えにって…
それって私に死ねっていってるの?」
またもや、あまりのトンデモ発言に笑顔で凄んだ。
晴房は青ざめてハッ!として自分の言の葉にしまった!と思い慌てる。
「いや、その時は私も一緒に死ぬ!」
雪のか細い両手をさらにぎゅっと握り込んで、真剣な表情でそういった。
晴房の本気さに雪のほうが怯んで、
「それって陛下を裏……んっ!」
雪の言葉をキスで塞いだ。
ハァ…っと息を吐くと、
「その言の葉は言ってはならぬ……」
ムッとした表情でわざと晴房は言った。
そしてまたキスをして、今度は笑みあい、
「……無事、私の…私達の子供を産んでくれ…」
懇願するように雪に願う。
「そうすれば、私は陛下を裏切らない…これは誓約だ。」
「誓約?」
聞きなれない言葉に雪は首を傾げる。
「これは懸けごとだ。条件を言い合い約束をはたせばさらなる祝福が約束されるのだ。」
更に指切りをする。
「なら、絶対に無事に三人産んでみせるから、晴房さんは陛下をお守りする宮中の仕事に専念してね。」
「うぬ。雪を抱けない分。私は仕事に専念しながら雪のための安産平癒を欠かせぬ!きっと良い子が三人無事に生まれる」
「神様の祈りなら必ず無事に産むことできるわね」
そういってお腹を撫でる。
晴房は雪をあぐらに乗せ抱きしめながら、お腹の子が無事に生まれてくるように願った。
そして、二人見つめ合って微笑んだ。
夜ふかしは体に触ると思いベットに入って語り合うことにした。
「今度、私と結婚指輪を選びに行かぬか?」
「お仕事は?」
「瑠香、李流に任せる。少しぐらいなら大丈夫だ。」
「……誓約違反にならない?」
お仕事に専念するって約束したのにと不安に思う。
「雪と指輪を買いに行きたい。
雪と離れていても繋がっている証が私も欲しい。」
婚約指は雪しかしていないが、結婚指輪なら同じものを指にはめられる。
それは夫婦でとしての繫がりの証だ。
左指に嵌めて晴房の妻として他の男を更に近づけさせたくない。
「それに……私は三つ子の誕生に立ち会えない…だけど、二人繋がっている証があれば私は雪の無事を祈れる…祈らせてほしい…」
そういって雪をギュッ!と抱きしめ耳元で刹那げに、
「母子無事でいてほしい…
私のようになってほしくないのだ……」
と震えた声でささやくと涙があふれていた。
生まれた直前の記憶はないが、ないゆえに、思うと悲しくて辛くなった…
親がいないからと寂しい事はなかったが、雪や子供たちがもし自分と同じことになったとしたらと思ったら悲しかった。
情けないところを妻である雪に見せていると思うが雪は受け入れてくれている。
涙を優しく拭ってくれて優しさがさらに心にしみる。
「泣かないで、無事に三人産んでみせるから。」
晴房の気持ちが痛いほど伝わって雪も涙する。
だが、声は気丈に振る舞った強いものだ。
「晴房さんは私達の無事を祈ってくれているならそれだけで力になるわ。」
ふふっと笑う雪に晴房は抱きしめ、口づけを何度も繰り返し安堵して二人眠りに落ちたのだった。
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