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夫婦のつながりの証
7☆会いたくて
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二月の夜は冷える。
体を冷えないように防寒しながら、窓によりかかり星冴える空を見つめる。
あまりな晴房の発言を思い出すと怒りが湧いて雨戸を締めていた。
三日目になって寂しさが湧いてくると怒りが薄れてきた。
「晴房さん……」
いつも空から飛んできて、窓から入って雪を優しく抱きしめてくれた。
三つ子だということを喜んでくれると思ったのに堕ろせと言ったことに腹がたった。
今でも思い出せばイラッとしてしまう言葉だけれど…
窓辺にいて流石に寒くなって肩を震わせる。
お腹も冷えると思って離れるが、あの時の晴房を思い出す。
(そういえば、あのとき晴房さんは震えていた…)
不安な気持ちが伝わった。
(私を気遣って不安になっていた…?)
雪のために堕ろしても…と言うことは私を気遣ってくれていた。
その原因は…震えるほどの不安になるほどの理由…
雪は晴房のことを考える。
(晴房さんは、母親を生まれたときに亡くしたと言っていた…)
初めてあった頃に、自分を卑下するように出生のことを話してくれた。
自分が人を消すような仕事についていることをなんとも思っていなくても、穢の存在と言って辛そうに感じた。
そして、晴房は『母と共に死ぬ命だった』とも言っていた。
危険な状態になるということは母子ともに死ぬことになるという事を強く思い考えて不安に思って口走ってしまったのかもしれない……
私よりも晴房さんのほうが怖かったんだと思う。
晴房さんは今もその事を不安に感じているなら……
不安を取り除いてあげたい…
「母さん、ただいま…って…」
李流は今日は見回りは休みだったので直行で自宅に帰ったら、母が悲壮な顔していて戸惑う。
「会いたい…の…晴房さんにあいたい…」
母は突然ポロポロと泣きだした。
「情緒不安定になっているんだろう。お腹の子にも影響するかもな…」
祖父の季節は困ったように雪の背中を撫でてやる。
「待ってて!今夜中にハル様を連れてくるよ!」
李流は踵を返すと、皇居宮中に急いだ。
二月からはもう一人伝統衛士少年がいるが受験勉強の為に滝口臣が見回っていた。
ちょうど職員専用の門に入るとき一緒に入れてもらえた。
「どうしたんだい?そんなに急いで」
必死な様子で走ってきたので臣は心配する。
「母さんが会いたいって泣きだして…急いで走ってきたんです…臣さんがいてくれてほんっと良かった…」
李流は力が抜けたように流石にへたり込んだ。
「李流くんはお母さん思いだね。」
臣は李流に微笑み動けそうにない李流を背中に背負った。
背が高く体格の良い臣にとって李流は子供のように軽い。
「あ、ありがとうございます。申し訳ありませんが、陰陽寮までお願いします…」
「ああ。任せてくれ」
臣は快く引き受けた。
李流は無我夢中で全速力で走ってきた母のためにここまでする自分はマザコンかと思うが、
「いつも傍にいてあげられない分できることはしてあげたいと思ったんです……
だけど、今すぐハル様に母のそばにいてほしいのです」
自分にできる親孝行はこのくらいしかないのだから……。
「雪さんはいい息子をもって幸せだね」
臣はそういって微笑み陰陽寮まで李流をおんぶして運ぶと、李流は晴房に雪が逢いたいと言っていると伝えた。
体を冷えないように防寒しながら、窓によりかかり星冴える空を見つめる。
あまりな晴房の発言を思い出すと怒りが湧いて雨戸を締めていた。
三日目になって寂しさが湧いてくると怒りが薄れてきた。
「晴房さん……」
いつも空から飛んできて、窓から入って雪を優しく抱きしめてくれた。
三つ子だということを喜んでくれると思ったのに堕ろせと言ったことに腹がたった。
今でも思い出せばイラッとしてしまう言葉だけれど…
窓辺にいて流石に寒くなって肩を震わせる。
お腹も冷えると思って離れるが、あの時の晴房を思い出す。
(そういえば、あのとき晴房さんは震えていた…)
不安な気持ちが伝わった。
(私を気遣って不安になっていた…?)
雪のために堕ろしても…と言うことは私を気遣ってくれていた。
その原因は…震えるほどの不安になるほどの理由…
雪は晴房のことを考える。
(晴房さんは、母親を生まれたときに亡くしたと言っていた…)
初めてあった頃に、自分を卑下するように出生のことを話してくれた。
自分が人を消すような仕事についていることをなんとも思っていなくても、穢の存在と言って辛そうに感じた。
そして、晴房は『母と共に死ぬ命だった』とも言っていた。
危険な状態になるということは母子ともに死ぬことになるという事を強く思い考えて不安に思って口走ってしまったのかもしれない……
私よりも晴房さんのほうが怖かったんだと思う。
晴房さんは今もその事を不安に感じているなら……
不安を取り除いてあげたい…
「母さん、ただいま…って…」
李流は今日は見回りは休みだったので直行で自宅に帰ったら、母が悲壮な顔していて戸惑う。
「会いたい…の…晴房さんにあいたい…」
母は突然ポロポロと泣きだした。
「情緒不安定になっているんだろう。お腹の子にも影響するかもな…」
祖父の季節は困ったように雪の背中を撫でてやる。
「待ってて!今夜中にハル様を連れてくるよ!」
李流は踵を返すと、皇居宮中に急いだ。
二月からはもう一人伝統衛士少年がいるが受験勉強の為に滝口臣が見回っていた。
ちょうど職員専用の門に入るとき一緒に入れてもらえた。
「どうしたんだい?そんなに急いで」
必死な様子で走ってきたので臣は心配する。
「母さんが会いたいって泣きだして…急いで走ってきたんです…臣さんがいてくれてほんっと良かった…」
李流は力が抜けたように流石にへたり込んだ。
「李流くんはお母さん思いだね。」
臣は李流に微笑み動けそうにない李流を背中に背負った。
背が高く体格の良い臣にとって李流は子供のように軽い。
「あ、ありがとうございます。申し訳ありませんが、陰陽寮までお願いします…」
「ああ。任せてくれ」
臣は快く引き受けた。
李流は無我夢中で全速力で走ってきた母のためにここまでする自分はマザコンかと思うが、
「いつも傍にいてあげられない分できることはしてあげたいと思ったんです……
だけど、今すぐハル様に母のそばにいてほしいのです」
自分にできる親孝行はこのくらいしかないのだから……。
「雪さんはいい息子をもって幸せだね」
臣はそういって微笑み陰陽寮まで李流をおんぶして運ぶと、李流は晴房に雪が逢いたいと言っていると伝えた。
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