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夫婦のつながりの証
5☆ほとぼり
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「どうだった?」
学校から宮中陰陽寮に出仕した李流に晴房は真剣な顔で詰め寄った。
「まだ怒ってますよ…」
と、正直に言う。
朝も晴房の話題を言える空気ではなかった。
「それなら、まだ希望はあるな。よかったな。気に止めてもらって」
と、瑠香は苦笑しながら晴房の肩を叩き慰めた。
「そ、そうか、そうだな!
怒ってる分、私を思っていてくれているということだからな!」
晴房は、明るくそういった。寧ろ喜んでいる晴房に李流は反省してないようだと思ってため息を吐いて、ジトッと晴房を睨む。
「イライラはお腹の子供に影響与えるかもしれないんですよ!早く仲直りしてください。」
「う、うむ。そうする」
ふたたび緊張した顔をして頷いた。
「行事が終わったら土下座してでも謝りに行くのだ。……許してくれる気になったらだけどな……」
檜扇を広げて百面相する顔を隠した。
「……そんな、ほとぼりが冷めたらホントの離婚になってしまいますよ」
母の怒りは相当のものだと李流は思う。
ほんとにこのまま離婚してしまうんじゃないかとか不安に思う。
「私も、もやもやしていたら仕事に支障をきしてしまうからな……早く謝りたい……」
弱音のような本音を扇の影につぶやいた。
「仕事のために謝るんですか?」
李流はムッとして聞いた。
李流が怒っていると雪に怒られている気分になる……
「わ、私に今できることは仕事をきちんとこなすことこそ雪に誠意を持つということだと思うから今は仕事一筋でがんばるのだあぁァァァァァァァっ!」
そう、大声で宣言して李流の視線から逃げるようにドタドタと陰陽寮の廊下をかけていった。
「子供……」
晴房のその様子をつい吐き捨てるようにつぶやいた。
こんなのが継父…というよりか世話のやく兄…
正直、不服だ。
腕を組んで悩む李流の頭を瑠香はポンポンと撫で、
「晴房のどうにもならない、心のもどかしさを落ち着かせる方法だな。ほっておいてやってくれ。」
瑠香は晴房のもどかしさを理解しているのか包容力があると思う。
「あいつは外にあまり出たことがない分ああやってストレス解消していたときが子供の頃からあったんだよ。すぐ雲隠れするしな。」
それは臣さんも言っていた。
「ハル様の性格は、オレにはまたま把握できないです…」
なんというか、掴みづらい性格をしていると思う。
初めてあったときの神秘的で怖いイメージ。
だが、今は子供みたいな純粋な大の大人。
どちらも晴房だ。
「雪さんの存在があいつの本性を育てているんだよ。
まぁ、私から見たら今も昔も変わらないけれどね」
変わるとすれば、ハルの神と同調したときの晴房は非情になるくらいかな…まだ、その本性を李流は、知らない。
ハルの神そのものにあったとしても人を霊的に消し去る力の片鱗に無意識に恐怖することもあるだろう。
今後知ることもあるかもしれないが、そこが見え隠れしているから晴房がわからなくなるのだ。
そんな晴房を、審神者でもないのに、受け入れた雪はすごい女性だと瑠香は感心していた。
☆
李流は今夜も自宅に帰り宮中の事と晴房の子供っぽい様子を怒りながら伝えた。
そんな李流に雪はフフッと笑った。
「母さんまだ、怒ってる?」
晴房の意外な一面を聞いて心が和んだことを雪は自覚を素直に受け入れた。
「だいぶ、落ち着いたけど…」
あの言葉を思い出すと、ため息を吐いた。
「私は晴房さんに謝って欲しいだけなの……」
今にも謝ってくれたら許せる。だけど仕事があるなら仕方がない…
「晴房さんから子供がほしいと言ってたのに、子供ができたら出来たで堕ろせって…
私達のつながりをも、なかったことにする気なの?と思っちゃって……」
李流は雪のその言葉はもう晴房につたえて、荒御魂吹き荒れるほどのショックを与えた。
それほど晴房は反省している事を李流は思い出した。
それなのに、意地悪を言ってしまった。
その事を李流は悪かったな…と、反省した。
「ただ、心配だったんだと思うよ。
オレも母さんの命の危険があるとすれば同じことを、言うかもしれないよ……」
自分も母に酷いこと言っているのかな…と不安になって母を見る。
「ハル様は度が過ぎた心配をしただけで……」
つい、晴房の言葉をフォローしていた。それは自分のさっき言った言葉もだ。
雪は少し悲しげに微笑んで、
「……そうかもしれないわね。晴房さんだものね…」
そういってお腹を擦った。
学校から宮中陰陽寮に出仕した李流に晴房は真剣な顔で詰め寄った。
「まだ怒ってますよ…」
と、正直に言う。
朝も晴房の話題を言える空気ではなかった。
「それなら、まだ希望はあるな。よかったな。気に止めてもらって」
と、瑠香は苦笑しながら晴房の肩を叩き慰めた。
「そ、そうか、そうだな!
怒ってる分、私を思っていてくれているということだからな!」
晴房は、明るくそういった。寧ろ喜んでいる晴房に李流は反省してないようだと思ってため息を吐いて、ジトッと晴房を睨む。
「イライラはお腹の子供に影響与えるかもしれないんですよ!早く仲直りしてください。」
「う、うむ。そうする」
ふたたび緊張した顔をして頷いた。
「行事が終わったら土下座してでも謝りに行くのだ。……許してくれる気になったらだけどな……」
檜扇を広げて百面相する顔を隠した。
「……そんな、ほとぼりが冷めたらホントの離婚になってしまいますよ」
母の怒りは相当のものだと李流は思う。
ほんとにこのまま離婚してしまうんじゃないかとか不安に思う。
「私も、もやもやしていたら仕事に支障をきしてしまうからな……早く謝りたい……」
弱音のような本音を扇の影につぶやいた。
「仕事のために謝るんですか?」
李流はムッとして聞いた。
李流が怒っていると雪に怒られている気分になる……
「わ、私に今できることは仕事をきちんとこなすことこそ雪に誠意を持つということだと思うから今は仕事一筋でがんばるのだあぁァァァァァァァっ!」
そう、大声で宣言して李流の視線から逃げるようにドタドタと陰陽寮の廊下をかけていった。
「子供……」
晴房のその様子をつい吐き捨てるようにつぶやいた。
こんなのが継父…というよりか世話のやく兄…
正直、不服だ。
腕を組んで悩む李流の頭を瑠香はポンポンと撫で、
「晴房のどうにもならない、心のもどかしさを落ち着かせる方法だな。ほっておいてやってくれ。」
瑠香は晴房のもどかしさを理解しているのか包容力があると思う。
「あいつは外にあまり出たことがない分ああやってストレス解消していたときが子供の頃からあったんだよ。すぐ雲隠れするしな。」
それは臣さんも言っていた。
「ハル様の性格は、オレにはまたま把握できないです…」
なんというか、掴みづらい性格をしていると思う。
初めてあったときの神秘的で怖いイメージ。
だが、今は子供みたいな純粋な大の大人。
どちらも晴房だ。
「雪さんの存在があいつの本性を育てているんだよ。
まぁ、私から見たら今も昔も変わらないけれどね」
変わるとすれば、ハルの神と同調したときの晴房は非情になるくらいかな…まだ、その本性を李流は、知らない。
ハルの神そのものにあったとしても人を霊的に消し去る力の片鱗に無意識に恐怖することもあるだろう。
今後知ることもあるかもしれないが、そこが見え隠れしているから晴房がわからなくなるのだ。
そんな晴房を、審神者でもないのに、受け入れた雪はすごい女性だと瑠香は感心していた。
☆
李流は今夜も自宅に帰り宮中の事と晴房の子供っぽい様子を怒りながら伝えた。
そんな李流に雪はフフッと笑った。
「母さんまだ、怒ってる?」
晴房の意外な一面を聞いて心が和んだことを雪は自覚を素直に受け入れた。
「だいぶ、落ち着いたけど…」
あの言葉を思い出すと、ため息を吐いた。
「私は晴房さんに謝って欲しいだけなの……」
今にも謝ってくれたら許せる。だけど仕事があるなら仕方がない…
「晴房さんから子供がほしいと言ってたのに、子供ができたら出来たで堕ろせって…
私達のつながりをも、なかったことにする気なの?と思っちゃって……」
李流は雪のその言葉はもう晴房につたえて、荒御魂吹き荒れるほどのショックを与えた。
それほど晴房は反省している事を李流は思い出した。
それなのに、意地悪を言ってしまった。
その事を李流は悪かったな…と、反省した。
「ただ、心配だったんだと思うよ。
オレも母さんの命の危険があるとすれば同じことを、言うかもしれないよ……」
自分も母に酷いこと言っているのかな…と不安になって母を見る。
「ハル様は度が過ぎた心配をしただけで……」
つい、晴房の言葉をフォローしていた。それは自分のさっき言った言葉もだ。
雪は少し悲しげに微笑んで、
「……そうかもしれないわね。晴房さんだものね…」
そういってお腹を擦った。
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