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スケバンの恋の行方
4☆第一印象
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榊のバイクに乗って現場に着いた。
深夜二時ちょうど、霊たちが元気な時だ。
退魔の太刀を授かってから悪霊やあやかしを雪は見ることができるようになっていた。
人工のトンネルの中に闇を照らすライトが付いているのはわかるが、退魔の太刀の瞳でトンネルを見るとブラックホールのようなトンネルにゆらめく煙のような手が手招きしている。
不気味すぎる。
「言い忘れてたけど、助っ人頼んでおいたんだー。雪ちゃんと気が合いそうなんだよね」
「もしかして一般人じゃないんですか?」
悪霊退治に一般人を連れてくる事はないのでそう尋ねる。
「うーん?むしろ人ではないかもしれないよね?」
榊はいつも疑問系で微笑んではぐらかすので掴みどころはない。
「人手なしと気は会いたくないですね……まして友達なんて…」
と会話をわざと合わせてみる。
「いや、人ではないけど、人手なしじゃなくて任侠に熱い女の子だよ」
「任侠って……」
雪はジトっとした瞳で榊誠を見る。
「や、ヤクザじゃ…ないよ…似たようなことしてるけど……」
「まぁ、会ってみなきゃわからないですからね、何事も……」
雪はため息を吐く。
雪は噂で人を判断したくない。
自分の目で見たもので判断したい。
榊誠はのほほんとしていて緊張感は皆無で面倒ごとを持ち込み頼んでくるけど、こっちの面倒ごとも快く引き受けてくれる。
高貴なお方をお守りする規律厳しい「太刀の者」の名家の中で話しやすいお兄さん的存在だった。
そんな榊誠と助っ人の女の子を待っているとブロロロロ!という、けたたましい音を鳴らしたバイクがこちらに向かって来た。
「あ、来たみたいだ、こっちだよー!」
榊誠は手を振って合図する。
「暴走族……?」
雪が思う第一印象は決まってしまった。
ライトを盛大に上げて近所迷惑にも関わらず騒音を撒き散らかしてバイクを乗る女の子なんて人でなしと同等だと嫌な印象を受けた。
「こんな時間に呼ぶなんて……意外と積極的…!」
と、緒丹子はルンルン気分だった。
「私とツーリングしたいなんて言われて断れるわけないじゃないかっ!」
と現場に来るまで乙女心を爆誕させていた。
けれど、榊の隣に華奢な女子高校生がいた。
「んん?なんで女連れ込んでんだよ……っ!」
しかも自分と違って華奢で繊細そうな女だった。
そう、思うと怒りが湧いてバイクを乱暴に円を半円描いて、投げ捨てるよに停める。
「連れ込むなら私だけにしろやぁぁぁあっ!」
いつの間にか手に召喚した金棒を榊誠の足元に炸裂させて怒鳴って榊誠の襟首を掴んでガクガク言わせる。
榊誠と身長差が変わらないように見える。
「レディース……?しかも総長?」
ショッキングピンクの特攻服には総長と書いてあった。
深夜二時ちょうど、霊たちが元気な時だ。
退魔の太刀を授かってから悪霊やあやかしを雪は見ることができるようになっていた。
人工のトンネルの中に闇を照らすライトが付いているのはわかるが、退魔の太刀の瞳でトンネルを見るとブラックホールのようなトンネルにゆらめく煙のような手が手招きしている。
不気味すぎる。
「言い忘れてたけど、助っ人頼んでおいたんだー。雪ちゃんと気が合いそうなんだよね」
「もしかして一般人じゃないんですか?」
悪霊退治に一般人を連れてくる事はないのでそう尋ねる。
「うーん?むしろ人ではないかもしれないよね?」
榊はいつも疑問系で微笑んではぐらかすので掴みどころはない。
「人手なしと気は会いたくないですね……まして友達なんて…」
と会話をわざと合わせてみる。
「いや、人ではないけど、人手なしじゃなくて任侠に熱い女の子だよ」
「任侠って……」
雪はジトっとした瞳で榊誠を見る。
「や、ヤクザじゃ…ないよ…似たようなことしてるけど……」
「まぁ、会ってみなきゃわからないですからね、何事も……」
雪はため息を吐く。
雪は噂で人を判断したくない。
自分の目で見たもので判断したい。
榊誠はのほほんとしていて緊張感は皆無で面倒ごとを持ち込み頼んでくるけど、こっちの面倒ごとも快く引き受けてくれる。
高貴なお方をお守りする規律厳しい「太刀の者」の名家の中で話しやすいお兄さん的存在だった。
そんな榊誠と助っ人の女の子を待っているとブロロロロ!という、けたたましい音を鳴らしたバイクがこちらに向かって来た。
「あ、来たみたいだ、こっちだよー!」
榊誠は手を振って合図する。
「暴走族……?」
雪が思う第一印象は決まってしまった。
ライトを盛大に上げて近所迷惑にも関わらず騒音を撒き散らかしてバイクを乗る女の子なんて人でなしと同等だと嫌な印象を受けた。
「こんな時間に呼ぶなんて……意外と積極的…!」
と、緒丹子はルンルン気分だった。
「私とツーリングしたいなんて言われて断れるわけないじゃないかっ!」
と現場に来るまで乙女心を爆誕させていた。
けれど、榊の隣に華奢な女子高校生がいた。
「んん?なんで女連れ込んでんだよ……っ!」
しかも自分と違って華奢で繊細そうな女だった。
そう、思うと怒りが湧いてバイクを乱暴に円を半円描いて、投げ捨てるよに停める。
「連れ込むなら私だけにしろやぁぁぁあっ!」
いつの間にか手に召喚した金棒を榊誠の足元に炸裂させて怒鳴って榊誠の襟首を掴んでガクガク言わせる。
榊誠と身長差が変わらないように見える。
「レディース……?しかも総長?」
ショッキングピンクの特攻服には総長と書いてあった。
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