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スケバンの恋の行方
1☆雪の親友の榊緒丹子
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葉桜になった季節。
雪は息子の李流が友達の香茂薫を自宅に遊びに連れてきた事に嬉しくなり、お菓子とジュースを部屋まで持って行く。
「お待たせー。お菓子とジュース持ってきたわよーあけて!」
李流の部屋のドアの前で声をかける。
「母さん!身重なのに無理しないで。オレが用意するから……重たいもの持っちゃダメ!」
李流は母からお菓子とジュースのコップを乗せた盆を雪から慌てて取り上げる。
「だって、李流が友達を連れてくるなんて初めてだしお母さんとしてお菓子とか用意してあげたいじゃない」
久しぶりに帰宅した息子の李流の友達をもてなしたいと思うのは母として嬉しいし楽しいからだ。
「お母さんだってお友達来たんでしょ?オレたちは部屋で楽しむからお母さんも楽しみなよ」
「ありがとう。でも、篁君もきてくれたのよ」
「お邪魔してまーす。母と一緒に来ちゃった」
雪の後ろから後輩の篁がひょっこり現れた。
そして、その後ろに背が高くて黒髪のストレートの腰まであるサラサラで輝く長髪で威圧のある女性が立っていた。
迫力ある美女だった。
「うわ、美魔女!」
薫は正直に口に出した。
「僕のお母さんなんだー」
篁はそう自慢した。
「お久しぶりです。」
李流は篁の母に挨拶する。
「久しいな。悪いが篁も仲間に入れてくれぬだろうか?」
言葉遣いが武士の嫁みたいだと薫は思う。
今日は二人だけで宿題とかテレビゲームをして遊ぼうと思っていた。
篁がいても楽しいと李流は思う。
「いいよな?薫」
「おう…仲良くしようぜ……」
薫は仲良く見せるために手を差し出す。
「仲良くして差し上げますよ…」
篁は手を握り上から目線の言葉だった。
それは篁の悪い癖でなかなか治らない。
その言葉に薫はムッとしてやっぱりヤダ!と言おうかと思う。
前より仲良くなったとしても二人牽制し合う。
その様子を察した篁の母は息子を持ち上げ、瞳を合わせて目を光らせる。
「親しき中にも礼儀あり。先輩には下手にでろ…いいな?」
「はっ、はいぃぃ…」
篁はしゅんとした。
「誠さんは優しいのにお母さんは鬼のように怖いな」
薫は正直な感想を言う。
「だって母さん本物の鬼だもん!」
「こら!バラすな!」
ゴッ!と篁を拳骨で制裁する。
「だ、大丈夫だよ!李流先輩も薫先輩も僕の正体知ってるし。むしろ薫先輩のお父さんの方が怖い鬼だし。」
篁は裏で詰められたことお思い出して震え上がる。
「俺の父さんは母さんの悪口言われると俺よりキレるし許さないからなぁ……」
薫は篁がされただろうことを思うと同情してしまう。
父の瑠香は道場を壊したことよりもその事に怒りの重きを置いてしまっていた。
「そうなのか……ああ、この間の道場破壊事件の九尾殿の息子とはそなたのことか」
篁の母は納得した。
「篁に勘違いさせてすまぬ。まぁ、夫殿がきちんと説明しなかったのが原因だけどな……」
と言ってため息を吐くが、キリリとした眉毛を下げて、ポッと赤らめた頬を押さえながら困ったような顔をして、
「もう、あの人ったら、そういう甘いところも可愛いんだけどぉ……」
いきなり乙女のようにデレる母に、篁は呆れて、
「うちの母、父にとても甘いんです。大好きすぎて人格変わるんです…」
篁は真顔になって
「なので、父のことは禁句です」
と、念を押した。
「いえ、ケンカは終わったことなんでいいですよ。今後は仲良くなれればそれでな?」
「はい。よろしくです薫先輩」
篁はようやく地面に降ろされる。
「母さんは大好きだけど、怖いのがね…」
「悪さをしなければ鬼に戻らん!」
「緒丹子は相変わらずね……」
「雪にもデレられる新たな夫ができたんでしょ?親友なら話してよぉーその話を聞くためにきたんだからぁ」
緒丹子は雪の肩をツンツンしてまたデレる。恋バナに態度を変えるようだ。
「えー?そんなに知りたいの?」
雪も聞いてもらいたいようだ。
「親友だし知りたいに決まってんじゃーん。あんなに愛していた前夫より良い男なんでしょ?」
「前の父については母さんに禁句です…」
李流は青ざめ母の様子を伺うと。
「そうね、あの時の若い頃の強い恋心とは違って、色々問題も多いけど素敵な人と出会えたと思うの。穏やかなような…子供っぽいところがあって甘えん坊で、いつもいない寂しさもあるけどこの子達を授けてくれた人だから…まだまだ、互いに知らないことがあって…」
「雪も言いたいことあるじゃないか。」
今日は徹夜で恋バナと夫自慢に花を咲かせる予定だ。
薫は尻尾と耳が思わず出て瞳をキラキラ輝かせて雪と緒丹子を見る。
「俺、恋バナ大好きなんです!俺も混ぜてください!」
「おい、薫。女性の恋話に首を突っ込んじゃダメだよ」
李流は薫の意外な一面を見れて嬉しいがせっかく遊びにきてくれたのに…と思う。
「それと…もしかして、ハル様がスケバン対決をしてたと言っていたのは緒丹子さんの事ですか?」
薫はその話が気になっていた。
雪と緒丹子は目を合わせて笑う。
「じゃ、広間の方でお話ししましょうか?」
そう言って李流の部屋から広間で二人が出会った時の話を聞くことになった。
雪は息子の李流が友達の香茂薫を自宅に遊びに連れてきた事に嬉しくなり、お菓子とジュースを部屋まで持って行く。
「お待たせー。お菓子とジュース持ってきたわよーあけて!」
李流の部屋のドアの前で声をかける。
「母さん!身重なのに無理しないで。オレが用意するから……重たいもの持っちゃダメ!」
李流は母からお菓子とジュースのコップを乗せた盆を雪から慌てて取り上げる。
「だって、李流が友達を連れてくるなんて初めてだしお母さんとしてお菓子とか用意してあげたいじゃない」
久しぶりに帰宅した息子の李流の友達をもてなしたいと思うのは母として嬉しいし楽しいからだ。
「お母さんだってお友達来たんでしょ?オレたちは部屋で楽しむからお母さんも楽しみなよ」
「ありがとう。でも、篁君もきてくれたのよ」
「お邪魔してまーす。母と一緒に来ちゃった」
雪の後ろから後輩の篁がひょっこり現れた。
そして、その後ろに背が高くて黒髪のストレートの腰まであるサラサラで輝く長髪で威圧のある女性が立っていた。
迫力ある美女だった。
「うわ、美魔女!」
薫は正直に口に出した。
「僕のお母さんなんだー」
篁はそう自慢した。
「お久しぶりです。」
李流は篁の母に挨拶する。
「久しいな。悪いが篁も仲間に入れてくれぬだろうか?」
言葉遣いが武士の嫁みたいだと薫は思う。
今日は二人だけで宿題とかテレビゲームをして遊ぼうと思っていた。
篁がいても楽しいと李流は思う。
「いいよな?薫」
「おう…仲良くしようぜ……」
薫は仲良く見せるために手を差し出す。
「仲良くして差し上げますよ…」
篁は手を握り上から目線の言葉だった。
それは篁の悪い癖でなかなか治らない。
その言葉に薫はムッとしてやっぱりヤダ!と言おうかと思う。
前より仲良くなったとしても二人牽制し合う。
その様子を察した篁の母は息子を持ち上げ、瞳を合わせて目を光らせる。
「親しき中にも礼儀あり。先輩には下手にでろ…いいな?」
「はっ、はいぃぃ…」
篁はしゅんとした。
「誠さんは優しいのにお母さんは鬼のように怖いな」
薫は正直な感想を言う。
「だって母さん本物の鬼だもん!」
「こら!バラすな!」
ゴッ!と篁を拳骨で制裁する。
「だ、大丈夫だよ!李流先輩も薫先輩も僕の正体知ってるし。むしろ薫先輩のお父さんの方が怖い鬼だし。」
篁は裏で詰められたことお思い出して震え上がる。
「俺の父さんは母さんの悪口言われると俺よりキレるし許さないからなぁ……」
薫は篁がされただろうことを思うと同情してしまう。
父の瑠香は道場を壊したことよりもその事に怒りの重きを置いてしまっていた。
「そうなのか……ああ、この間の道場破壊事件の九尾殿の息子とはそなたのことか」
篁の母は納得した。
「篁に勘違いさせてすまぬ。まぁ、夫殿がきちんと説明しなかったのが原因だけどな……」
と言ってため息を吐くが、キリリとした眉毛を下げて、ポッと赤らめた頬を押さえながら困ったような顔をして、
「もう、あの人ったら、そういう甘いところも可愛いんだけどぉ……」
いきなり乙女のようにデレる母に、篁は呆れて、
「うちの母、父にとても甘いんです。大好きすぎて人格変わるんです…」
篁は真顔になって
「なので、父のことは禁句です」
と、念を押した。
「いえ、ケンカは終わったことなんでいいですよ。今後は仲良くなれればそれでな?」
「はい。よろしくです薫先輩」
篁はようやく地面に降ろされる。
「母さんは大好きだけど、怖いのがね…」
「悪さをしなければ鬼に戻らん!」
「緒丹子は相変わらずね……」
「雪にもデレられる新たな夫ができたんでしょ?親友なら話してよぉーその話を聞くためにきたんだからぁ」
緒丹子は雪の肩をツンツンしてまたデレる。恋バナに態度を変えるようだ。
「えー?そんなに知りたいの?」
雪も聞いてもらいたいようだ。
「親友だし知りたいに決まってんじゃーん。あんなに愛していた前夫より良い男なんでしょ?」
「前の父については母さんに禁句です…」
李流は青ざめ母の様子を伺うと。
「そうね、あの時の若い頃の強い恋心とは違って、色々問題も多いけど素敵な人と出会えたと思うの。穏やかなような…子供っぽいところがあって甘えん坊で、いつもいない寂しさもあるけどこの子達を授けてくれた人だから…まだまだ、互いに知らないことがあって…」
「雪も言いたいことあるじゃないか。」
今日は徹夜で恋バナと夫自慢に花を咲かせる予定だ。
薫は尻尾と耳が思わず出て瞳をキラキラ輝かせて雪と緒丹子を見る。
「俺、恋バナ大好きなんです!俺も混ぜてください!」
「おい、薫。女性の恋話に首を突っ込んじゃダメだよ」
李流は薫の意外な一面を見れて嬉しいがせっかく遊びにきてくれたのに…と思う。
「それと…もしかして、ハル様がスケバン対決をしてたと言っていたのは緒丹子さんの事ですか?」
薫はその話が気になっていた。
雪と緒丹子は目を合わせて笑う。
「じゃ、広間の方でお話ししましょうか?」
そう言って李流の部屋から広間で二人が出会った時の話を聞くことになった。
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