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雪の過去
雪の幼い頃の話☆2
しおりを挟む李流の祖母同士は腹違いの歳の離れた姉妹だった。
雪の母は季節に恋愛を反対されて駆け落ち同然で結婚して音沙汰がなかった。
「駆け落ちということは経済状況とか困窮したのか?」
よくテレビとかドラマを観るとそんなことになっているのをよくみる。
晴房は宮中から外に出る事がない分暇さえあればテレビを見ていた。
今や瑠香が教えたネットにハマって世間の情報を見ている。
「駆け落ち当時は苦しかったらしいけれど、万馬券を大当たりして成金になってたらしいわね」
季節が反対した理由に、父が賭け事が好きだったという事がわかる。
堅実な季節とは対照的だったようだ。
幼い雪はお金に関してよく知らなかったが、この歳になれば大体の想像はつく。
そして、ピアノを買ってもらって喜んだことも母がピアノを教えてくれたことも唯一の温かい記憶なのだ。
「そして、夜に交通事故を起こして私を残して死んでしまったの……」
その時のことは事故の衝撃で覚えていない。
幸せは脆く崩れることをこの時悟った……
とても悲しくショックでしばらく自分のことも忘れていた……
その事がさらに犯人に好都合だった……
「だが、元宮家の家系でもある桜庭家のものが施設にしばらく預けられるというのもおかしな話よな?すぐに見つかるはずだろうに…」
晴房は雪の過去を推理するよう檜扇を口元に当ててにいう。
「ハル様って結構現実的ですよね?世間のことを変に知ってる感じがします」
李流は感心した。
「ふふ、私も神の化身といえど、世間を知る人間の大人ぞ?ふっふっふっ」
神と言いながら人間まさにその通りなんだけど、なんだかつっこみたいけどつっこめないことに李流は悶々とする。
李流に感心されて晴房は気分が良いが、最近探偵のアニメにハマっている影響なのは秘密だ。
「あの時は複雑なさらわれ方したの。事故直後に取り替えられっ子をされたの」
「なんと…⁉︎」
両親を事故で失いさらに事件に巻き込まれるとは不安すぎる。
「大怪我してたら、身元を確認してくれたかもしれないけど、無傷で気絶していた時に取り替えっこされちゃったのよね。
その日のうちに児童施設の前に捨てられて、当時は名前しか思い出せなかったわ。
しばらくして思い出しても信じてもらえなかったわ」
その影響で擦れた性格になったと思う。
雪の運命を翻弄する神はなにを考えているのだろうか……と晴房はむつかる。
「取り替えっこは計画的なものだったんですよね?お義父さん?」
雪はゆったりと椅子に座る季節に話を振る。
「世間には出せない結果にはなったがな」
季節はあの時のことを鮮明に思い出す。
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