主婦と神様の恋愛事情

花咲蝶ちょ

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雪の過去

雪の幼い頃の話☆1

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「雪は大事件に巻き込まれて児童施設に入れられていたのは、なぜなのだ?」
 一般公開の宮中雅楽舞楽の宴が終わって数日後のこと、季節も李流もいるリビングで晴房は驚いた。
 季節はもちろん、李流も母の過去のことは知っている。
 家族の中で知らないのは晴房だけだ。
「家族になったらな、もっと雪のことも知っておきたいし、私のことも知って欲しい、家族には特に知ってもらいたいのだ!」
 と晴房は檜扇を手のひらにパシパシ叩きながらそう言った。
 晴房の過去のことは陛下の守護とちょっとしたレッドスパイどもをこの世から排除したり、たまに呪術とか、占いとか神事とかの暴露しても支障のない事を語る。

 そんな毎日の晴房自身は大したことはないと思うのだが、
「さすが神様ですねー…」
 と李流は感心する。
 その事が晴房にとってうれしく楽しいし、雪は晴房の不思議の話や神事の仕事をしている話が好きなようだった。

 だが、雪の前の夫と出会う前の雪の過去は衝撃的だった。
 雪のスケバンだった時の過去よりももっと幼い時のまだ前夫に遭っていないときの雪のことを知りたかった。

 晴房は神の力で雪の過去を見ることもできるし消すことも可能だが、雪の言葉から雪の過去を聞きたかった。
 この間のようにブチ切れられてしまうのはトラウマだ。
 雪が語るということは自分のことを知って欲しいコミニュケーションなのだから雪から語ってもらえると晴房も嬉しいが……
「それは、語ることは辛いことではないのか?」
 晴房は確認する。
「私も今はあんまり覚えてないから、お義父さんの話も交えて晴房さんに聞いてもらっても構わないし、李流も幼い頃に一度聞いただけだから…聞きたい?」
 息子の李流は家族の血筋に関する過去はあまり好きじゃないのを知っているので聞いてみる。
「うーん…聞きたい。ハル様と一緒で知っておきたいと思うよ」
 母の過去は一度聞いたがもう一度聞きたいと思っていた。
 小学生の時に聞いた時とは違う感覚で聞けると思う。
「みんな一致だな、雪が覚えている限りで話せ、補足はわしがしてやる」
 季節は雪が生まれる前の出来事まで知っている。
 本来雪の母の姉である咲羅子さきらこがいればもう少し詳しくなったのだがな…と季節は密かに思う。
「じゃ、改めて私の過去を話すわね」
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