主婦と神様の恋愛事情

花咲マイコ

文字の大きさ
上 下
9 / 84

9☆雪と晴房の恋愛事情☆ハルの力

しおりを挟む
「雪から離れろ!」
 晴房はそう怒鳴り、檜扇を相良の脇腹に当てると軽く持ち上げ壁に勢い良く叩きつける。

「ぐはっ!」

 肋骨の何本かヒビが入った音がきこえた。
 晴房は雪を優しく起こす。
「晴房さん…」
 晴房が来たことに正直驚いたので手を触り確認する。
「雪、大丈夫か?私が来たから安心だっ!」
 相良はなんとか起き上がり、晴房を睨む。
「お前が晴房か?間男がいたなんて雪さんに幻滅だっ!」

「あんたに言われたくないわ!」

 雪はつっこまずにいられない!
 こんな最低男を少しかわいいと思ったことに後悔した。

「本来なら陛下に仇名す者のための力だが今回は特別に許可を得た………」

 晴房は相良を殺気を込めた瞳で見つめて指を鳴らすと
 相良の髪の毛がピカピカ光って消えていく。
 その感覚に相良は頭に手を置くと髪が消えている事におののく。
 その間に服も消えていく。
 キラキラと服は輝き裸になる。

「この特徴のない体…誰かもわからぬな……指紋も見てみろ……」
 不敵に声を低くして脅すように晴房は言う。

 両手のひらの指紋がキラキラと発光する。
 指紋が消えていく……

 「うわァァぁ!!」
 
 と身を縮めて恐怖する。

「雪に不埒な真似をすることは万死に値する。」
 ドスを聞かせた声で男に言い放ち、

「雪を孕ませて良いのは私だけだ!」
 と真剣に宣言する。

 雪の瞳がじとっと、半閉じとなる。
 途中まで格好よかったのに…
 同じ穴の狢ではないかと雪と相良は思った。
 相良はこれ以上言えば今度は命を取られる。

「晴房さん、もういいわ。この男をもとに戻してあげられないの?」

 あまりにも恐怖で怯えてる相良を雪は哀れに思ってそういった。
 許すつもりはないけれど、もう、彼とは関わりたくないからと言って霊的に生まれ変わらせるはやりすぎだ。

「雪が望むなら指紋ぐらいは戻してやっても良いぞ。それ以外は戻すつもり無い。」

 パンと両手を合わせると、指に指紋が戻る。
 あまりのことに、信じられない現象に自ら言葉をなくし、慌てて逃げていった。

「もうあやつはこの屋敷に訪れないだろう。今度、現れたときには…………」

 晴房は本気で相良を消すだろう。
「すまんな雪。李流を家に返さなかったばかりに…」

 晴房は雪の肩を抱く。
 雪はホッとした途端涙があふれる。
 そして震える体で晴房に抱きつく。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界で育児と冒険は両立できますか?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:22

プニプニほっぺの魔王様

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:98

不眠症の上司と―― 千夜一夜の物語

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:119

悪役令嬢の幸せは新月の晩に

恋愛 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:561

女騎士と鴉の秘密

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:372

青い鳥の居場所☆

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:235pt お気に入り:0

(R18)おとなのお話BOX(短編集)

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:8

愛されない皇妃~最強の母になります!~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:702pt お気に入り:3,407

転生したら母乳チートになりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:58

処理中です...