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5☆雪と晴房の恋愛事情☆瑠香の助言
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陰陽寮に戻ると、他の職員は各局(つぼね)や自宅に帰った。
いつも残って仕事の終わりの点検と明日の仕事の用意を確認しているのは陰陽寮副長の瑠香だった。
晴房より九歳年上の瑠香は巫女のように長い髪を後ろでまとめ、キリリとした顔をして男らしい色気ただよう。
そんな彼は毎日、コツコツと仕事をこなしている。
外に遊びに行こうとはしない。仕事が終われば自分の局に帰り寝て毎日同じような仕事をこなしていた。
それとは対象的に晴房はふらっとどこかに行ってしまう。
それは、テロを起こす者を見張り処罰するためでもあるが、晴房の行動範囲は生まれた時から宮中宮殿以外あまり外に出ない。
今回はどうしても雪に会いたくて宮中の外に出て行ってしまった。
そんな晴房は満面の笑顔で帰ってきて瑠香に詰め寄った。
その笑顔は、まるで純粋な子供のようだと瑠香は思った。
なのに、開口一番、
「ルカ、子作りの本を貸してくれっ!」
晴房は、両手を合わせて拝むように言ってきた。
瑠香の局には読書が趣味で殆どほんで埋め尽くされているのを知っているが本を借りるには許可がいる。
「教育用か?」
「実践用だ!」
《ねぇよ》
瑠香のテレパシーが頭の中で響いた。
テレパシーだと瑠香は、すこぶる口が悪い。
それは晴房限定かもしれないが…
《……本気で大魔法使い卒業するのか?》
《大魔法使いより上の位ぞ!
それにいまだに大魔法使いなんかいるのか?》
《…お前だよ。童貞》
晴房は顔を真っ赤にして瑠香の頭をぽかりと叩く。
瑠香は叩かれても無表情で頭をなでながら、
《魂の卒業されるのは相手の方になる可能性もある……》
瑠香は経験者だった。
なんだかの言霊を言ってしまい妻を亡くした。
子供二人は祖父母に預けられている。
それは、禁忌な言霊を親神に許可もせず吐いたときだ。
それはどの言霊か知らされていないから、言霊を晴房や瑠香は慎重にあつかう。
お互いテレパシーが使えるので、晴房と瑠香は言いたい放題だ。
だが、一般人に対しては違う。だから言葉は重要。
話すは『離す』に通じるから大切な言霊は言えない。
「まぁ、近衛の局なら1冊くらいもってるんじゃないか?」
瑠香は適当にそう言った。
「臣に没収されてるものとか漁ってみるといいさ。」
臣とは宮廷警備の長だ。
晴房や瑠香とは旧知の仲だ。
仕事上連携も多々ある。
年頃の男が集まることが多い部署なら何冊かあるとるかは瑠香は確信してそう言った。
「そうか、わかった。」
晴房は早速、臣のもとへ行ってしまった。
晴房の去っていく足取り良さそうな足音を聴きながら、瑠香はクスッと笑ったことは晴房は知らない。
いつも残って仕事の終わりの点検と明日の仕事の用意を確認しているのは陰陽寮副長の瑠香だった。
晴房より九歳年上の瑠香は巫女のように長い髪を後ろでまとめ、キリリとした顔をして男らしい色気ただよう。
そんな彼は毎日、コツコツと仕事をこなしている。
外に遊びに行こうとはしない。仕事が終われば自分の局に帰り寝て毎日同じような仕事をこなしていた。
それとは対象的に晴房はふらっとどこかに行ってしまう。
それは、テロを起こす者を見張り処罰するためでもあるが、晴房の行動範囲は生まれた時から宮中宮殿以外あまり外に出ない。
今回はどうしても雪に会いたくて宮中の外に出て行ってしまった。
そんな晴房は満面の笑顔で帰ってきて瑠香に詰め寄った。
その笑顔は、まるで純粋な子供のようだと瑠香は思った。
なのに、開口一番、
「ルカ、子作りの本を貸してくれっ!」
晴房は、両手を合わせて拝むように言ってきた。
瑠香の局には読書が趣味で殆どほんで埋め尽くされているのを知っているが本を借りるには許可がいる。
「教育用か?」
「実践用だ!」
《ねぇよ》
瑠香のテレパシーが頭の中で響いた。
テレパシーだと瑠香は、すこぶる口が悪い。
それは晴房限定かもしれないが…
《……本気で大魔法使い卒業するのか?》
《大魔法使いより上の位ぞ!
それにいまだに大魔法使いなんかいるのか?》
《…お前だよ。童貞》
晴房は顔を真っ赤にして瑠香の頭をぽかりと叩く。
瑠香は叩かれても無表情で頭をなでながら、
《魂の卒業されるのは相手の方になる可能性もある……》
瑠香は経験者だった。
なんだかの言霊を言ってしまい妻を亡くした。
子供二人は祖父母に預けられている。
それは、禁忌な言霊を親神に許可もせず吐いたときだ。
それはどの言霊か知らされていないから、言霊を晴房や瑠香は慎重にあつかう。
お互いテレパシーが使えるので、晴房と瑠香は言いたい放題だ。
だが、一般人に対しては違う。だから言葉は重要。
話すは『離す』に通じるから大切な言霊は言えない。
「まぁ、近衛の局なら1冊くらいもってるんじゃないか?」
瑠香は適当にそう言った。
「臣に没収されてるものとか漁ってみるといいさ。」
臣とは宮廷警備の長だ。
晴房や瑠香とは旧知の仲だ。
仕事上連携も多々ある。
年頃の男が集まることが多い部署なら何冊かあるとるかは瑠香は確信してそう言った。
「そうか、わかった。」
晴房は早速、臣のもとへ行ってしまった。
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